朱漆器「根来」を紹介する展覧会 ― サントリー美術館で開催
サントリー美術館「NEGORO 根来 — 赤と黒のうるし」会場
中世の根來寺を中心に花開いた朱漆塗漆器「根来」を、源流から近代の再評価まで体系的に紹介する展覧会が、東京で開催される。
根来塗は、堅牢な木地に黒漆の中塗と朱漆を重ねる技法による朱漆器。寺院や神社での儀礼用品としてだけでなく、民衆の生活の中でも広く用いられてきた。その力強くしなやかな造形は、江戸時代以降「根来」の名で知られ、国内外のコレクターから高い評価を受けている。
展覧会では、根來寺が繁栄を極めた中世に制作された漆工品を中心に、前後の時代の年紀を持つ品や伝来が確かな名品を展示。赤と黒の漆文化の起源に遡り、先史時代にまで及ぶ漆工の歴史を資料によって示すほか、「根来」という名称が定着する前の重要作品を紹介する。
また、根來寺坊院跡の発掘調査資料や寺院資料を通して、当時の寺院の姿を具体的に示し、同時代の各地で制作された「根来」も併せて紹介。さらに、江戸時代以降に高まった根来への関心、明治期の知識人による研究や模写、民藝運動による再評価などを取り上げ、白洲正子、松永耳庵、黒澤明らが蒐集し愛用した作品も公開する。
生活の道具としての価値から、美術工芸品としての美、さらには精神性を示す表現へと広がる「根来」の多様な姿を鑑賞することができる。
「NEGORO 根来 — 赤と黒のうるし」は、2025年11月22日(土)~2026年1月12日(月・祝)までサントリー美術館で開催。入館料は一般 1,800円など。
サントリー美術館「NEGORO 根来 — 赤と黒のうるし」会場
サントリー美術館「NEGORO 根来 — 赤と黒のうるし」会場
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