ビジネスで使える部下から嫌われない「叱りテクニック」とは?【相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学】
部下から嫌われない叱りテクニック
人格が浮き彫りになる叱り方
リモートワークが増え、部下と対面して話す機会も少なくなってきました。そのぶん、ひさしぶりに会社で会った部下のダメっぷりが今まで以上に目につき、つい声を荒らげて叱ってしまうことも多くなったのではないでしょうか。叱ると自分はすっきりした気分になりますが、叱られた相手は意気消沈。上司であるあなたを疎ましく思うようになるかもしれません。そんな事態を避けるためには、部下に嫌われずにしっかりと指摘できるテクニックを身につけたいものです。
ちょっと思い出してみてください。あなたは部下を叱る時、どんな態勢をとっているでしょうか。もし、部下を立たせて、あなたは椅子に座っている状態でガミガミいっているのなら、すぐにやめるべきでしょう。心理学では、この態勢は部下を仲間とは思っておらず、一人前の大人として扱っていないと分析します。自分は部下よりはるかに高いポジションにいて、部下の話を聞く必要はないと考えている可能性があるのです。また、これとは反対に、部下を椅子に座らせて、あなたが立っている状態は、あなたは出世願望にとらわれていて、部下には威圧的な態度をとるけれど自分より目上の人には媚こびるといったタイプ。部下の手柄を自分のものにするという姑息な手段に出てしまう可能性もゼロではありません。
どちらのパターンも、部下にとっては不快感、嫌悪感しか残りません。指摘されたことを改めようという気持ちにもならず、仕事も改善されません。では、どのような態勢で叱ることが正解なのでしょうか。
双方にメリットが生まれる叱り方
部下に嫌われたくなければ、上司であるあなたは、正しい叱り方を身につけなくてはいけません。前ページで紹介したようなどちらかが立っている態勢は、部下に威圧感を与えてしまうだけでメリットは1つもありません。正しい叱り方は、まず、お互いに椅子に座ることです。こうすることで部下と同じ目線で話をすることができるので、無意識のうちに、一緒に仕事をする仲間、同じ目標を目指す仲間であるという認識が生まれます。そして、部下から見たあなたは、自信に満ちていながらもそれを自慢したり、ひけらかしたりすることのない誠実な人という印象になります。こうした信頼を築くことができれば、あなたの指摘を部下も真しん摯しに受け止め、何が悪かったのか、改善するにはどうすべきかを考えられるようになるのです。そして、困った時やトラブルが発生した時にも隠すことなく、問題が大きくなる前にあなたに相談するようになるので、結果的にあなたの負担も軽くなるというわけです。人格者という評価が高まり、仕事もラクになる。こんないいことはありません。
部下とうまくやりたかったら叱る体勢に注意
3つの叱り方から上司を見極める
①立って叱る上司(部下は座らせる)
権威主義の持ち主で、目上の人には媚びるが、目下には強気。部下を自分のところに呼びつける人も同じ。
②一緒に座って叱る上司(部下も座っている)
上司・部下のボーダーラインを引くことなく、ともに働く仲間として見てくれている。地位や名声にもこだわらない。
③座りながら叱る上司(部下は立たせる)
話が長く小言の多いタイプ。自分を絶対視し、部下のことを仲間と考えていない。
【出典】『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』著:渋谷昌三