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オムロン ヘルスケア、インドのAIヘルステック企業に追加投資 新たな心電事業で家庭から医療機関へ領域拡大

J-CAST会社ウォッチ

オムロン ヘルスケアは2025年11月12日、都内で記者発表会を行い、心電事業において、家庭から医療領域へと事業拡大していくと発表した。そのための新たなビジネスモデルとして2つの取り組みを紹介した。

また、この取り組みの一環として、インドでAI心電図解析サービスを展開しているTRICOG HEALTH INDIA PRIVATE LIMITED社(トライコグ)に追加投資を実施したことを発表した。

会見では、オムロン ヘルスケア代表取締役社長・岡田歩氏のほか、同社ゼロイベント事業開発部・部長・野崎大輔氏、JSR社のイノベーション開発部・部長・小林伸敏氏、トライコグのCEO・Charit Bhograj氏らが登壇した。

Bhograj氏は、特別講演の中で、インドにおける医療課題とAIがもたらす心疾患治療への新たなソリューションについて紹介した。

心不全パンデミックは世界的な医療課題

WHOによると2021年の世界の死因の第1位は心疾患で、年間で約910万人が亡くなっている。さらに高齢者・超高齢者人口の増加により、心不全患者が増加する「心不全パンデミック」は、世界的な医療課題となっている。

オムロン ヘルスケアでは、これまで、家庭での血圧測定の普及に取り組み、心電計付き上腕式血圧計や血圧計で心房細動リスクを検出するデバイスを開発し、グローバルに展開してきた。岡田氏は「今後、医療課題に対処するためには、新たなアプロ―チが不可欠で、革新的な技術と戦略的パートナーを融合させたビジネスモデルを確立する」とした。

野崎氏は、「これまで家庭での血圧・心電計の普及を中心としていたところから、医療機関での心電図検査を取り入れて事業を拡大していく」と話し、具体的な2つの取り組みについて紹介した。

家庭から医療機関まで、患者へのトータルサポートを実現

1つ目の取り組みは、2026年1月よりJSR社から承継するHeartnote(ハートノート)事業だ。JSRが開発した長時間ホルター心電計を、医療機関を通じて患者に提供し、測定結果から心電図解析レポートを医療機関に提供するというものだ。

小林氏は「Heartnoteのデバイスは、薄型・軽量・フレキシブルな心電計で、患者の装着の負担が少なく7日連続で装着ができる。導入コストや利便性の面で、医療機関にも患者にもメリットがあり、全国の都道府県で採用されている」と話す。

Heartnote事業の承継により、オムロン ヘルスケアは、これまで軸にしていた家庭での計測に加えて、医療機関向けの検査・解析サービスを提供することとなる。これまでのリスク発見や予後管理に加えて、今後は検査・診断・治療も含む、患者へのトータルサポートが可能になる。

AIを活用しバーチャル心臓専門医を増やす

2つ目の取り組みは、インドで遠隔心電図検査・AI解析サービスを展開しているトライコグとのパートナーシップの強化があげられる。

インドの医療現場は循環器専門医の数の不足に加え、医療機関の設備が不十分で、心電図検査が必要な患者に対し、十分な検査が実施できないケースが発生している。

こうした医療課題の解決に取り組むため、トライコグは、医療現場を熟知した100人以上の社内専門医とAI開発者が協力して、10年以上にわたり蓄積した心電図データから心疾患を検出するAIモデルを構築した。

Bhograj氏は「トライコグでは、医療機器からのデータをクラウドに送り、クラウド上のAIが140種類の心臓疾患を識別。専門医チームがAIの診断を確認し、最終的なレポートを、世界中のどこにでも6分以内に届けている」と語る。

トライコグは2014年にインドで設立。現在では1万2500の病院で利用され、これまで3100万人以上の患者をスクリーニングしてきた。現在では東南アジアとアフリカの14カ国で使われ、これらの地域で最大の心血管ネットワークとなっている。目標は、2030年までに利用者を1億人にすることだ。

目標は家庭にケアを届け、QOLを向上させること

オムロン ヘルスケアは2023年からトライコグと連携し、トライコグのAI解析技術とオムロンの通信機能付き心電計を組み合わせた、心不全患者向け遠隔モニタリングサービス「KeeboHealth」を開発・展開してきた。

Bhograj氏は「これから起こるパンデミックに対応するには、患者のいる『家庭』へとケアを届ける必要がある」とし、「KeeboHealthの普及は医療費の大幅な削減にもつながるが、何よりも患者とその家族の苦しみを減らし、生活の質を改善するという大きなメリットがある」と語った。

オムロン ヘルスケアは今回、トライコグとの戦略的なパートナーシップ強化のため追加出資を決めた。現地のニーズにあった医療設備の導入と、サービスやデバイス開発・提供に注力していき、循環器事業のミッション「Going for ZERO(脳・心血管疾患の発症ゼロ)」の実現を加速させたいとしている。

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