東京工科大学 コーオプ教育が10周年 産学連携で学生を育成
片倉町に八王子キャンパスを構える東京工科大学(香川豊学長)が3月13日、工学部の開設から10年にわたり取り組んできた学生の「コーオプ教育」について、その成果や今後の方向性などを語り合うシンポジウムを開催した。関係企業や団体、教育機関などから200人以上が参加した。
コーオプ教育は、大学などの教育機関と企業・団体が連携して行う、学生の実践的な職業体験を伴う教育プログラム。一般的なインターンシップよりも長期間(同校では約2カ月間)の就業体験が含まれ、有給や単位修得を伴うこと、実習プログラムを大学と企業とで作成することなどが特徴。学生のキャリア意識の醸成や大学で学んだ知識・技術の実社会での応用、企業・団体と大学の成長にも寄与することなどが期待されている。
同校では2015年の工学部開設に合わせて、国内大学として初めてコーオプ教育を必修科目として導入。これまでに約410社が協力し、約2400人の学生が参加した。
成果に手応え
シンポジウムの冒頭で香川学長は「(コーオプ教育は)世界では1世紀以上の歴史があるが、日本ではまだ知名度が低い。日本の社会に合ったコーオプ教育とその発展に向けて今後も努力していきたい」と挨拶。同大工学部の戸井朗人コーオプセンター長が10年間の取り組みと成果をデータを示しながら解説し「リアルな社会経験を通じて学生の多面的な成長につながっており、企業にも新しい風を吹き込んでいる」と手応えを語った。
また文部科学省高等教育局による学生のキャリア形成支援活動に関する国内の動向や、今年度からコーオプ教育に着手した茨城大学の取り組み、関西経済同友会による大阪・関西での動向報告などが共有された。
シンポジウム終了後、会場を変えて初年度からの協力企業5社への感謝状贈呈と、実習参加学生による発表が行われた。
感謝状を受け取った株式会社ルケオ(板橋区)は「若者の育成という趣旨に賛同し、学生に社会の仕組みを知ってもらおうと参加してきた」と話し、今後も受け入れを継続する考えを示した。同社で実習を経験した小松みらのさん(23)は「自分の適性を再確認でき、また失敗を恐れず挑戦する精神を学んだ。今後に生かしていきたい」と意気込みを語った。