入居者に専用マイボトルを配布、「茶の間」で企業のウェルビーイング経営を支援する東京建物
東京建物(東京都中央区)は9月17日、新たなサービス「オフィスで茶の間」を、東京駅前の大型再開発、いわゆる「八重洲プロジェクト」に導入することを発表した。お茶を通じて、ワーカーのウェルビーイング向上と、企業のウェルビーイング経営を支援する。
お茶を通じてコミュニティ形成を促進し、出社への価値を創出
同サービスは、お茶の生産から販売までをトータルプロデュースするスタートアップ企業TeaRoom(東京都渋谷区)、金沢を拠点に活動するものづくりクリエイター集団secca inc.(石川県金沢市)の3社がコラボレーションすることで実現した。お茶を通じてオフィスにおける新たな生活習慣を創出し、人との良質なつながりによってワーカーのウェルビーイング向上をはかる。
オフィス入居者向けのウェルビーイングフロア「(仮称)Wab.(ワボ)」では、茶の湯の概念などを学ぶ「茶の湯イベント」を定期的に開催。ワーカー同士のコミュニティ形成を促進し、オフィスに出社することの価値の創出を目指す。
本格的なお茶を淹(い)れる時間を共有することで、日常の交流を増やす
また、主に顧客へのおもてなしや、ワーカーの休憩時間における利用を想定して、オフィス共用部で提供する専用お茶キットを3社で開発した。どんな場所でも手軽に、急須で淹れた本格的なお茶が楽しめる「スローティー」として提供する。専用の茶葉は9種類開発。「ウェルビーイングティーマッピング」も作成し、利用者が気分や雰囲気に合わせて茶種を選べるようにした。
お茶を淹れる時間を共有することで、お茶をきっかけにオフィスにおける日常の交流を増やし、人々のつながりを創出するのが狙い。
お茶専用のマイボトルはワーカーに無償で提供
ワンタッチで手軽に、高品質なお茶がWab.などで購入できるのが「ファーストティー」だ。お茶専用のマイボトルは、ビル運営者が無償で提供。ワーカーにマイボトルの利用を促すことで、八重洲プロジェクト全体で年間約1トンの廃棄物削減を見込んでいる。
ウェルビーイングの向上に注目した独自の分析、八重洲プロジェクトにも実装
東京建物は2023年3月、ウェルビーイングに関する施策の検討をより深め、まちづくりに実装していくことを目的にプロジェクトチーム「Well-being Lab.」を発足した。
首都圏のビジネスパーソン1万人への調査結果を踏まえ、どのような行動や状況がウェルビーイングの向上に資するのかを分析した20個の「ウェルビーイング向上因子」を特定している。この「ウェルビーイング向上因子」を基に効果的な施策の検討を重ね、本サービスの導入決定に至った、としている。
東京建物が参画する八重洲プロジェクト(東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業)は、東京駅に直結した51階建ての複合施設で、2025年度竣工(しゅんこう)予定。5月には、オフィス入居企業の従業員などによる利用を想定した「(仮称)YAESU SKY LOUNGE」の設置を発表。温泉ミストによる湯治体験や瞑想(めいそう)ができる個室空間を設けるほか、健康的なメニューを提供するカフェテリアなど、ウェルビーイング向上に寄与する空間を提供する。
森トラスト(東京都港区)が5月に発表した、東京23区におけるオフィス市場の動向では、オフィスビル供給量の今後の見通しとして、今後5年間では「八重洲・日本橋・京橋」がトップとなると見込んでいる。
同発表の詳細は同社公式ウェブサイトにて確認できる。