祝いの席に出てくる魚、どうしてめでたいか知ってる?タイだけじゃない“縁起物”魚類の由来
魚にはお食い初めや結婚式など、祝いの席で食べられるような「縁起がよい」とされる品種が多くありますよね。代表格には「タイ」が挙げられますが、実はほかにも縁起がよいとされる魚はたくさん存在します。
そこで今回は、縁起のよい魚の由来や漢字表記について紹介。釣りに行くときや祝いの席などで、ぜひ思い出してみてください。
縁起がよい魚の代表格「タイ」
まずは、縁起がよい魚の代表格である「タイ」から見ていきましょう。
タイといえば「めでたい」のゴロ合わせが有名ですが、ほかにも縁起がよいといわれる理由が。実はタイは個体によっては数10年も生きる魚で、長寿の象徴とされています。おめでたい席で出される頭と尾がついたタイには、「1つのことを最初から最後までまっとうする」という長寿祈願の意味も込められているそう。
さらに、タイは体表が赤色で、身は白色。“紅白”の色を持ち合わせる見た目も縁起がよいとされるゆえんです。名前、生態、見た目と3拍子そろった、まさに「縁起の王様」といえる魚ですね。
「鯛」の漢字には複数の由来も
そもそも、どうしてこの魚が「タイ」と発音されるようになったのでしょうか? 有力なのが、平たい魚を表す言葉である「たいらうお」が変化して「タイ」になったという説。一方で、タイは古くから朝鮮の言葉で「トミ」と呼ばれており、日本にきた際に変化して「タイ」になったともいわれています。
さらに、「タイ」という呼び名になぜ「魚へんに周」の漢字が当てられたのかにも、いくつかの説があるようです。日本全国の“周囲”どの海でも“周年”獲れる魚だから「鯛」という説や、中国古来では「周」が「ひらたい」の意味を表すため、平らな魚であるタイに付けられたという説も…。
果たしてどの説が正しいのか、ぜひみなさんも考えてみてください。
出世魚として知られている「ブリ」
続いては、出世魚として知られる「ブリ」をご紹介していきます。「モジャコ」「ワカシ」「イナダ」「ワラサ」「ブリ」のように、成長するにつれて呼び名が変わるという特徴から“出世魚”と呼ばれるブリ。「成功や出世」を連想させるので、仕事や学業において縁起がよいといわれています。
ちなみに関西では「モジャコ」のあとが「ツバス」「ハマチ」「メジロ」「ブリ」と呼ばれることも。実はこれ以外にも地域によって呼び名が異なり、さまざまな名前で呼ばれています。
地域によっては、大晦日に食べる「年取り魚」としてブリを振る舞う風習があり、昔から身近な魚として親しまれてきたブリ。日本の食卓に並ぶ比較的メジャーな魚ですが、漢字で書けない人も多いのではないでしょうか。
ブリは漢字で「鰤」と書きます。この漢字の由来も複数あり、「ブリ」は出世魚の成魚だから「年寄り」という意味で「師」が用いられているという説が1つ。ほかには師走の時期に美味しくなるため、「師」を使っているという説もあります。
祝いの席にピッタリな「マグロ」
出典:写真AC
最後に紹介するのは「マグロ」。鮮やかな赤い身が「生命力」や「情熱」を象徴しており、縁起がよいといわれています。サイズが大きな魚でもあるため、「豊かさ」の象徴とされることも。とくに和歌山では、お正月や結婚披露宴などのおめでたい席でマグロを食べるのが定番。赤身の赤とトロの白で紅白となり、「幸せを運ぶ魚」として祝いの席に欠かせません。
また、マグロは寝るときも止まらずに泳ぎ続けることから、「愛を絶やさず、愛し続ける」とあやかって結婚披露宴などでも多く用いられます。なかには、ケーキ入刀の代わりにマグロの解体ショーを選択するカップルも。
縁起がよいだけでなく、料理のバリエーションの豊富さでも人気のマグロは、漢字で「鮪」と表記します。「有」という字には、「外側を囲む」という意味が。広い海を囲むように大きく回遊する習性からこの漢字が当てられたといいます。
ちなみにマグロの名前の由来には、複数の説があるよう。
1つ目は泳いでいる姿を海面からみたときに黒く見えることから、「真黒(マグロ)」と呼ばれたという説。マグロは背中が黒く群れを作って泳ぐため、船から見ると真っ黒な陰のように見えるのでこの呼び名がつきました。
2つ目は、マグロの目が黒い特徴から「眼黒(マグロ)」になったという説。マグロにはいくつかの種類がありますが、実はどの種類でも目が黒いという特徴があるため、こちらも有力な説になっています。
出典:写真AC
今回紹介した魚は、名前や特徴など縁起がよいといわれる理由がさまざま。漢字や縁起の由来を知ることで、祝いの席や日常でも楽しんで食事ができそうです。
※本文の漢字の成り立ちや名前の由来は諸説あるうちの一部です。ご了承ください