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様々な海藻が減っているのに「アオサ」は例外なワケ 答えはバクテリアにあり?

TSURINEWS

アオサ(提供:PhotoAC)

暖かくなると海岸に押し寄せ邪魔者扱いされるアオサ。なぜこんなにも大量に生えるのでしょうか。

年々減る一方の海藻

現在、世界の広い範囲で海水温が上昇する「海洋温暖化」が進んでいます。黒潮という世界最大の暖流が沖合を流れる日本近海では温暖化の幅が特に大きく、全国各地に多大な影響をもたらしています。

その影響のひとつが「海藻の減少」。日本近海に棲息する海藻類の多くは海水温の上昇に弱く、うまく育たなくなってしまいます。ワカメやコンブ、ヒジキなどの有用海藻も著しく減少しており、しばしばニュースとなっているのでご存知の方も多いでしょう。

海藻が減ると困るのはヒトだけでなく海洋生物もです。海藻は魚介類の食物、隠れ家、産卵場所としても利用されており、海藻の減少に伴って棲息量が大きく減少、絶滅危惧種入りした生物も少なくありません。

アオサは繁茂しすぎて問題に

このように海藻が各地で減少するなかで、例外と呼べるほど増えているものもあります。それが「アオサ」。

浜辺のアオサ(提供:PhotoAC)

アオサの仲間は浅海に多い緑藻と呼ばれる海藻の一種ですが、ここ数年は毎年のようにどこかで大量発生し、海を緑に染めてニュースとなっています。

アオサも海藻の一種なので、海中の二酸化炭素を吸収するなど良い側面もありますが、増えすぎたアオサは海の景観を損ねるため問題となります。それだけでなく、打ち上げられた大量のアオサが一斉に腐敗して悪臭を放ったり、海の富栄養化をもたらし汚染につながることも問題視されています。

アオサがもつ特殊能力とは

他の海藻が減るなか、なぜ一部のアオサだけが増えることができるのか。多くの人が疑問に思っていましたが、そこには理由がしっかりありました。

アオサはその表面にバクテリアを共生させ、彼らに住処や光合成によって生み出された酸素を提供する代わりに、バクテリアが生み出す二酸化炭素やビタミンを得ているのだそうです。それにより、アオサが生育しやすい環境を構築していると考えられています。

一面のアオサ(提供:PhotoAC)

加えてこのバクテリアの中には、周囲の環境中に含まれる窒素を、アオサが利用できる形にする(窒素固定)能力を持つものがいるのだそうです。窒素は植物の成長に欠かせない栄養素であり、地上の植物にも「窒素固定細菌」と共生することで栄養の少ない土壌でも成長できるものがありますが、アオサは海藻ながら同様の能力を持つことでその繁栄を得ているのです。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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