園長先生は国内トップアスリートで4人のパパ!「自分にしかできないことを」
36歳で国内トップを走るアルペンスノーボーダーがいます。彼にしかできない異色のキャリアとは…
北海道長沼町で暮らす吉岡健太郎さん36歳は4人の子の父親です。
長女の小晴ちゃん(4)は手を大きく広げてパパについて「このくらい好き!」と教えてくれます。
そんな吉岡さんは職場でも大勢の子どもたちに囲まれています。
札幌市手稲区にある保育園『富丘バオバブ保育園』の園長を務めているからです。
子どもたちの遊び場は、自然の中で伸び伸びと遊んでほしいと、雑木林を自らの手で開拓して作りあげました。
「行動力と勢いで最初バーっとやるんですけど、後々考えるとよくここまでやったなっていうのが今まで結構多くて。生きる力とか子どもたちに明日もやろうねっていうのを本当の意味で伝えられる」
実は吉岡さん、9年前まで世界を渡り歩いていたプロスノーボーダーでした。
上富良野町出身、9歳で競技をはじめると、16歳では年代別日本一に。
高校卒業後はプロの道に進み、2012年からは日本代表としてワールドカップを転戦していましたが…
「五輪に向けて自分のイメージよりちょっと遅れているなってなったときに、何か自分のこのエネルギーを子どもたちのために使った方が生きている意味があるかなと思ったのがきっかけで」
2016年に競技を引退し、園長として第2のキャリアへ進んだのです。
再び世界へ
3年前に始めた「スキー保育」をきっかけに吉岡さんの中で再びアスリートとしての自分が蘇ります。
「本気でこの近くの大人がやったときに、どういうことが起きるのかなというのは、園児もそうだし自分の子にも、周りの人にも見せたいと思った」
そのときに生まれた思いが…。
「自分にしかできないことをやらなきゃ駄目だってなんか使命感が。そのときに現役復帰してみようかなって思ったんですよ」
そして2022年、7年のブランクを経て再びスノーボード・アルペンの世界へ。
このとき178cm、99キロあったといいますが、減量、筋トレ、スポンサー探しとアスリートとしてほぼゼロからのリスタート。
それでもなんと2年目で、国内の頂点に上り、2024年12月にはワールドカップの舞台にも舞い戻りました。
さらに、去年から長沼町でアマチュアからプロまで幅広く参加できる大会「マオイカップ」を開催。
プロの技術を体感し、競技の魅力や楽しさを伝える機会を自ら作りました。
異例の二刀流挑戦に妻・晴菜さんは…。
「最初はやることなすこと『大丈夫かよ』という感じだったけど、生き生きしているからいいかなって。生きている限りはこんな感じだと思うので」
連覇をかけた全日本選手権
今年2月、連覇をかけた全日本選手権には妻・晴菜さんと4人の子どもたちの姿もありました。
「子どもって優勝以外よくわからないと思う、そこに上って『どうだ』って言いたい」
家族が見守るなか、始まった決勝の舞台。
吉岡さんは途中でうまくターンすることが出来ず、2位となりました。
「スノーボードだったり、違うスポーツだったり何か、輝く大人になりたいなって思うような子どもが増えてくれたらいいかなって」
その思いは、もちろん自分の子どもたちにも…
「ある程度すごいお父さんというのは子どもたちもわかっていると思うので、そこで一緒に滑ってあげたい」
大会終了後、吉岡さんのもとには長男の晴之介くんが、お父さんとスノーボードを滑りたいとお願いする姿がありました。
「パパと?すべる?まじか…滑るか一本!」
「これからもう一本行ってきます」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年4月25日)の情報に基づきます。