キアヌ・リーブス、「シークレット・レベル」で膝引きずっていたのは実際の怪我のためだった ─ 鼻声に聞こえるのは収録時リアルに風邪もひいていたから「それでも13時間ぶっ続けで」
キアヌ・リーブスには数多くの“聖人エピソード”が語られているが、今度は“超人エピソード”が登場だ。人気ゲームの世界をアニメ化したのアンソロジー・シリーズ「シークレット・レベル」の1エピソードに出演したリーブスは、深刻な負傷&風邪による体調不良にも関わらず、半日以上ぶっ続けで収録に挑んでいたという。
リーブスは「シークレット・レベル」で、人気ゲーム『アーマード・コア』の世界を描くシーズン1第8話『アーマード・コア ~アセット・マネジメント~』にジャンキー・パイロット役として出演。リーブスが演じるのは、前時代からの「強化人間」の生き残りで、今は酒場で酒と喧嘩に明け暮れる荒れた生活を送る男だ。男は“仕事”に呼び出され、アーマード・コアに乗り込んで出撃する。
シリーズを手掛けたプロデューサーのティム・ミラーと総監督デイヴ・ウィルソンが米に明かしたところによると、そもそもリーブスが本企画に参加したこと自体、奇跡的なことだったそうだ。リーブスはミラーと全く別のプロジェクトの打ち合わせのために会っており、そこで壁にたくさん貼られた「シークレット・レベル」のコンセプトアートを目にしたリーブスが「これは何ですか?」と関心を示したのが始まりだったという。
しかし、当時ほとんどのエピソードでキャスティングが決まっていたため、リーブスが飛び込みで参加できるとしたら、『アーマード・コア』しか残っていなかったという。
この時、ミラーとウィルソンはリアルタイムでテキストメッセージのやり取りをしていたそう。リーブスが企画に興味を示したことを知らされたウィルソンは、「ジャンキーのメカ・パイロットの役ならどうか?」とメッセージで提案。その後、1時間ほど返信がなかったといい、やっぱりダメだったかとウィルソンが思っていると、ミラーから「決まったよ!」との返信が飛び込んできたそうだ。そんなバカなと思っていると、実際にリーブスが参加を表明するビデオメッセージが送られてきたという。
リーブスの“聖人エピソード”を知っていたウィルソンは、彼と仕事ができる収録の日を待ち侘びていたそうだ。しかし、収録の2週間前になって、リーブスから突然こんなメールが届いた。「デイヴ、ティム。悪いニュースがあります。膝を骨折してしまいました」。
リーブスは、映画『Good Fortune(原題)』の撮影中に絨毯につまずいて膝を負傷。これは深刻な怪我で、「膝小僧がポテトチップスみたいに粉々に砕けた」いう。
ウィルソンはすっかり企画もバラシになるだろうと思い、きっと“辞退させてください”と書かれているであろうリーブスからのメールを最下部までスクロールしてみたが、そこにあったのは全く予想外のメッセージだった。「ですが、セリフは全部覚えました。暗唱できます。装具を外せば、5分ずつは撮影できますから」。
なんてことだ、彼はやる気なんだ、とウィルソンは驚き、「心配しないでください。装具は付けたままで大丈夫です。あなたのキャラクターに装具をつけて、足を引き摺る設定にしますから」と返信。実際に「シークレット・レベル」エピソードで、リーブスのキャラクターは左膝に装具を取り付けており、足をやや引き摺るようにして歩く。彼が歴戦の戦士であることを物語る演出と思いきや、実はリーブスの実際の怪我が反映されたものだったのだ。
そればかりでなく、収録日にリーブスは風邪までひいてしまい、鼻水や咳が酷かったという。そのため、本編でリーブスの声が鼻声に聞こえるのは「演技ではない」のだそう。「それで彼はやり切りました。素晴らしかった」。
しかし収録開始から2時間ごろで、膝の限界も訪れた。腫れ上がった膝が、「ティムの頭くらいの大きさになった」といい、さすがにミラーは「また明日やり直しますか?」と気遣った。しかしながらリーブスは「今やっちゃいましょう」と貫き、結局13時間ぶっ続けで撮影したそうだ。
「セットから離れないんです。ただタバコ休憩に行って、戻ってくると“よし、やろう!”と。とんでもない人間ですよ」と、ウィルソンはリーブスの精神力に感嘆している。
「シークレット・レベル」はPrime Videoで配信中。
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