『ねこに転生したおじさん』糸柳先生役・津田健次郎さんインタビュー|てぷちゃんのかわいいと思うポイントは? 子供の頃の“猫エピソード”も披露
「次にくるマンガ大賞2023」WEBマンガ部門2位を受賞した、やじま先生のSNSマンガ『ねこに転生したおじさん』。本作のTVアニメがフジテレビ系列『ぽかぽか』内で月曜13時台に好評放送中です。
本作は、ねこに転生したサラリーマンのおじさんが、勤めている会社の社長に拾われ、ねこの「プンちゃん」として生きていくコメディ作品。社長と同じマンションの隣室に住む作家「糸柳先生」と、彼が溺愛する「てぷちゃん」をはじめ、個性的なねこと、ねこを愛する人々が登場します。
今回は、糸柳先生を演じる津田健次郎さんにインタビューを実施! てぷちゃんのかわいいと思うポイントや、自身が飼っていた猫との思い出などを語っていただきました。
【写真】『ねこおじ』糸柳先生役・津田健次郎が思う「てぷちゃん」のかわいいところ/インタビュー
「似ている」と言われていたら、遂にやることになったキャラクター
──糸柳先生を演じることが決まった時の感想をお聞かせください。
津田健次郎さん(以下、津田):事前にいろいろなところで「(糸柳先生が)僕と似ている」と言われていて。「似ているんだ」と思っていたら、遂にやることになりました。役者をやっていたらこんなこともあるんですね(笑)。嬉しかったです。
──原作を読まれた感想は?
津田:とても楽しくて、世界観もクスっと笑えるし、特に何も起きなくてもかわいいし。僕は割とハードな作品やキャラを演じることが多いので、「そうか、裏切らなくてもいいんだ」と(笑)。
──確かに。津田さんが、糸柳先生のようなねこにデレデレする役は珍しいですね。
津田:そうですね。先生は拷問したりもしないので(笑)。空気感で見せていく芝居かなと思って、リラックスして頑張らないように頑張る感じでやっていこうと思いました。
あと、猫作品はいいですね。かわいくて。今は猫人気がすごいですよね。ある時期までは犬と拮抗していたのに、今はぶっちぎりで猫のほうが人気が高い印象です。
──ということは、津田さんは犬派ではなく……
津田:猫派です! でも犬も好きですよ。素晴らしいし、超かわいい!(笑)
──津田さんが感じた作品の魅力とは?
津田:シュールな展開ではありますが、おもしろさと緩さがいい具合にミックスされていて。あと大事件が起きないところもいいですね。クスっと笑えて、癒される作品だと思います。
──演じる糸柳先生の印象や、魅力を感じる点などお聞かせください。
津田:すごく淡々とした感じで、作家先生だけあって、静かな何かを感じます。一人でお仕事されていて、少しダンディな感じもあるので、そんな人がにゃんこちゃんにベタぼれして、ふにゃふにゃしちゃっているのが、ギャップも含めて素敵なところかなと思います。
──収録の時の印象的なディレクションを教えてください。
津田:ディレクション自体ほとんどなくて。
スタッフ:津田さんには特に指示がなかったですね。
津田:割とお任せいただいて。その前の打ち合わせは長いんですけど(笑)。
スタッフ:ブースの中で二人の監督(りおさんと川越崇弘さん)と話されて、お芝居を作っていくキャストさんもいらっしゃいますが、津田さんの場合は……
津田:意外とスムーズで。
──ちなみに、スタッフの方と猫談義することは?
津田:そのタイミングがなかなかなくて。いつか話してみたいなと思います。
──プンちゃん役の花澤香菜さんも出演している、お昼のバラエティ番組『ぽかぽか』内で放送されていますが、普段のアニメ作品を演じる時と、演じ方や心構えは違うものですか?
津田:そこに関しての違いは特にないですね。ほわっとした作品なので、自分もほわっとした気持ちでアフレコしたほうがちょうど空気感が合って良いかな、とは思いながら収録に臨んでいます。
てぷちゃんは、ねこの中でもちょっと天然度合いが違うところがかわいい
──ここまでのお話の中で、印象的なエピソードを挙げるならば?
津田:特に劇的なことが起きることもなく、性格が変わることもないので、これと言って挙げるのは難しいですね(笑)。でも、飼っているてぷちゃんをかわいがっているのが基本スタンスであり、先生のあるべき姿なのかなと。
──本作にはたくさんのねこが登場しますが、津田さん個人のお気に入りねこを教えてください。
津田:それはもうてぷちゃんですよ。感情移入が強くなっているので、てぷちゃんがかわいいなと思います。
──てぷちゃんがかわいいなと思うところは?
津田:瞳孔が開いちゃっているような、まん丸お目々+マイペースでちょっと変わっているところがいいですね。ねこちゃんはみんなマイペースですが、その中でもちょっと天然度合いが違っていて。あと、ほやほやしてて触り具合が良さそう。
──てぷちゃん役の大橋彩香さんとは一緒に収録できたのでしょうか?
津田:実は別録りで、一度も会っていないんです。本当はお会いしたいんですけどね。お会いしたら「てぷちゃ~ん」と愛でるように声を掛けたいです(笑)。
子供の頃の、忘れられない“猫エピソード”を披露
──先生や社長がねこにデレデレする気持ちに共感できますか?
津田:僕も猫はかわいいと思いますよ。たまに猫動画を観たりしますし。
──津田さんも先生のようにニヤニヤしながら猫や猫動画を観ているとは。意外です。
津田:ニヤニヤはたぶんしないと思いますけど(笑)、「かわいいなあ」と思って観ています。
──猫を飼っている、または飼っていたことはありますか?
津田:昔、飼っていました。子供の頃、猫がすごく好きでした。当時はジャカルタに住んでいて、家が広めで、1匹のメス猫を放し飼い状態でしたが、その猫が子供を産んだのと同時期に野良猫も紛れ込んできて、その野良ちゃんのことも面倒を見ることになったんです。
その野良猫もメスだったので、子猫が8匹くらいに増えて。元々飼っていた猫ちゃんはとても優秀なお母さんなのに対し、野良ちゃんはすごくズボラで、ほったらかしにするとすぐにどこかに行っちゃうんです。乳飲み子を残して。なので僕が、いろいろ面倒を見てあげるという状態でした。でもその母猫は、いざ帰ってきたら「私、ちゃんと育ててます」みたいな顔をしていて(笑)。
子猫たちが一斉に歩けるようになったら、僕が三皿くらいエサと飲み物を用意すると大挙して集まるようになって。子猫たちが同時に食べようとしたら「まだだよ!」と母猫が制止するんです。「私が食べるから待ってなさい」と一口だけ食べたら「さあ、食べなさい」と、完全に統制がとれていて。猫の世界でもボス猫がいて、ちゃんとリーダーシップがとれるのかと感心したことを覚えています。
おもしろかったのは、子猫ちゃんたちがよくカーテンを昇る競争を繰り広げていましたが、1匹だけダメ猫がいて、体が引っかかって降りられなくなって「助けて~!」とニャーニャー鳴いていて。「そんなことになるなら、競争に加わらなきゃいいのに」と思ったりしました(笑)。
──またペットを飼うなら猫ですか?
津田:そうですね。寝ていたらかわいそうなので、適度な距離は保ちつつ。たまに構ってもらいたくなったら僕のほうから行きますけど。
もし津田さんがねこになったら、飼い主に求めるものは?
──本作のプンちゃんのように、おじさんがねこに転生していたことがわかってしまったとしたら?
津田:「そうか……おじさんなのか」ときっと複雑な気持ちになるでしょうね(笑)。でも変わらず世話はしますけど。かわいいことはかわいいですから。
──もしご自身が転生してねこになったとしたら?
津田:ほのぼのしちゃうでしょうね。非常に猫らしい猫になる気がします。マイペースに過ごして、食べたい時に食べ、寝たい時に寝て、遊びたい時には飼い主の状態に関係なく、遊びを仕掛けたり。
あと、ある程度距離をとってくれる飼い主だといいかもしれません。あまりベタベタされるのはうっとうしいと思うし、しょっちゅう起こされるのも嫌なので絶対嫌です(笑)。
──では、ねこ以外に転生するとしたらどんな動物がいいですか?
津田:子供みたいなことを言いますが、鳥ですね。ただ飛んでみたいだけなんですけど。いつも、飛ぶ鳥を見ると「気持ちよさそうだな」と思っています。鳥界にもハードな戦いがあるとは思うし、カラスとかも怖いでしょうし。できればタカやワシなど、高いところを飛んでいる鳥がいいですね。天敵が少ないので。
──猫以外で、今ハマっているものはありますか?
津田:最近、あんこが好きですね。特に好きなのは粒あんです。おはぎとか、和菓子が無性に食べたくなります。でもおはぎは意外に手に入れるのが難しくて。乾くからコンビニでもなかなか見かけないし、デパ地下まで行かないと手に入らないことも多いので、より食べたくなります。
──今は、ハチミツが入っているおはぎとかもありますよね。
津田:ハチミツですか? 僕はノーアレンジで、スタンダードでお願いします(笑)。
僕は甘いものを食べる時は、とことんまで甘いほうがよくて、チョコレートとかも甘さを抑える意味があまりよく分からなくて。だって甘いものが食べたいから口にするはずなのに。でももう少し年齢を重ねたら、甘さ控えめも好きになるかもしれませんけど。
ただただ癒される、ゆる~い作品。キャスト陣の普段は見られないようなお芝居にも注目
──ここでちょっと毛色が変わった質問も。津田さんは実写や舞台など、俳優としても広く活躍されていますが、アニメで声優として演じる時とは違うものですか?
津田:基本の部分は同じで、出口が違うだけだと思っています。「使う道具が違う」という言い方が近いのかもしれません。
あと一番違うのは、自分がベースを持っているかどうかですね。声優のアフレコでは、口パクなど絵があるので、そっちをベースにしていくのが大きく違うところでもあり、おもしろいところでもあります。でも、それほど変わらないと僕は思っています。
あとは、実写もアニメも、エンターテインメント性の強い作品では誇張したり、自分で考えた表現をしますが、よりリアルさにこだわった作品の場合は、より表現しない、表現を抑えるようにしています。
──今後挑戦してみたいキャラクターや役柄はありますか?
津田:ここまでいろいろやってきたので、特には。
でも、さわやかな役のみではない方が良いかもしれませんね。もちろん、振っていただいたらどんな役でも一生懸命やりますが、あくまでさわやかを演じているだけの、あとで裏切るような役ならまだしも、根っからのさわやかボーイ、さわやかおじさんは今のところフックが見つかりにくいのではと。でももし、さわやかな役をいただいた時は、しっかり時間をとって打ち合わせさせていただきます(笑)。
──最後に、このアニメの見どころのご紹介をお願いします。
津田:プンちゃんの背後におじさんがいる描写が、すごく斬新だと思います。今までならねこだけでおじさんの影は映らないほうが多かったと思いますが、このアニメは常におじさんがいて。そこがおもしろく、キュートな感じがします。
あと、社長がプンちゃんを愛でるシーンは、おじさんがおじさんを愛でているというシュールさも笑えます。キャスト陣もすごく豪華で、しかも普段は見られないお芝居が見られるのも魅力かなと思います。
──原作ファンの方やアニメをご覧の方、そしてまだご覧になったことがない方、それぞれへメッセージをお願いします。
津田:まず毎回観てくださっている皆さん、ありがとうございます。これまで通り、特に大きな事件は起きないと思います(笑)。
このアニメをまだ観たことがない方には、結構シュールな展開あり、ほのぼのとした展開ありとただただ癒される、ゆる~い作品です。猫好きだったり、この記事で興味を持ってくださったらぜひ一度観てみてください。お昼のひとときに、ブンちゃんやてぷちゃんに癒されてみませんか?
文・永井和幸
スタイリスト・井田信之
ヘアメイク・浅津陽介