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小学校駐車場整備で上越市の公園の藤伐採へ 地域住民らが「最後の藤を見る会」

上越タウンジャーナル

新潟県上越市南本町3の公園が付近の市立南本町小学校の駐車場になることに伴い、植えられている藤の木2本が伐採される。工事開始を前にした2025年5月5日、町内会主催の「最後の藤を見る会」が開かれ、集まった人たちは満開の藤棚を囲んで童謡などを歌い、長年親しんだ藤の木に感謝と別れを告げた。

《画像:南本町小学校裏の公園に植えられている藤》

公園は同校裏手の住宅街にあり、藤の木以外に花壇や遊具、町内会の管理棟などがある。

藤は18年前、近所に住む会社役員の長谷川寿子さん(85)が寄贈した。住民らが肥料をやるなどして育て、毎年花が見頃を迎える5月5日のこどもの日は、町内の子どもみこしが同公園から巡行をスタートするほか、単管パイプで藤棚を作り「お茶会」も開催するなど、長年親しまれてきた。雪の影響で幹が折れる被害もあったが、住民が修復を施し、今年も見事な紫色の花を咲かせた。

来年4月に南本町小に三郷小が編入統合することから、公園はスクールバスや学校行事開催時の保護者の駐車場として、アスファルト舗装される。工事は6月からの予定で、2本の藤の木は花が終わった後、伐採される。

《画像:三味線演奏や参加者の歌声が披露された最後の藤を見る会》

長年親しんだ藤の最後の姿を見ようと、この日は町内の住民ら約80人が集まった。大塚誠町内会長(77)は「長い間楽しませてもらった藤の花は、今年で見納めとなった。皆さんの心に留め置いて、思い出として残してほしい」とあいさつした。

藤棚の周りには甘い香りが漂う中、フルートや三味線などの演奏が披露され、参加者は「こいのぼり」や「ぞうさん」などの童謡を歌ったり、お茶を飲んだりして「最後の藤見」を楽しんだ。

《画像:公園は駐車場に整備される》

藤を寄贈した長谷川さんは「仕事で町内会活動に参加できず、何か役に立つことができないかと思い寄贈した。皆さんに楽しんでもらっていたのに、残念」と話し、咲き誇る藤を眺めていた。

会を企画した同町内在住の市議会議員、本城文夫さん(84)は「(藤の木の)移植は費用がかかるということで実現せず、本当に残念。伐採は断腸の思い」と語った。

《画像:藤の木がある公園》

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