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スパリゾートハワイアンズのファイヤーナイフダンサーが世界選手権大会で2位獲得!凱旋公演で世界レベルの技を披露し観客を魅了

舌肥

福島県いわき市の広大な敷地に6つのテーマパークが立ち並び、家族連れやカップルなどで賑わうスパリゾートハワイアンズ。その歴史は古く、開業したのは1966年のこと。もともとは炭鉱の地として栄えながら、閉山を迎えて危機に直面した町を救うべく考え出されたのが、それまでは捨てるしかなかった温泉の活用だったという。

そのタイミングで海外視察に出かけた当時の代表は、日本への帰路の最後に立ち寄ったハワイに感銘を受け、「東北にハワイをつくる」を目標にスパリゾートハワイアンズの前身「常磐ハワイアンセンター」を開業(1990年に現在の名称に変更)。その目論見は見事に結実し、今や日帰りや一泊でハワイ気分が味わえるスポットとして多くの人々に親しまれるまでになった。

そんなスパリゾートハワイアンズが全国的に知られるきっかけになったのは、2006年に公開された映画『フラガール』だった。物語の詳しい内容は割愛するが、そこで描かれたフラダンスに打ち込むフラガールの姿に心を打たれた人は少なくないはず。そして “スパリゾートハワイアンズ=フラガール”というイメージが浸透し、フラダンスが観られるリゾートとして全国レベルで認知されることになった。だが、スパリゾートハワイアンズのステージで繰り広げられているのはフラダンスだけではない。それが今回の記事の主役、ファイヤーナイフダンスだ。

フラガールたちの美しい舞を目当てに、スパリゾートハワイアンズに足繁く通うファンも。なんと彼女たちは皆、運営会社の正社員だという。

サモア発祥の火の踊り!ファイヤーナイフダンス

ファイヤーナイフダンスチーム『SivaOla(シバオラ)』のステージ。

ファイヤーナイフダンスとは、南太平洋の島国サモア諸島発祥の火の踊りのこと。ナイフ(※刃物ではない)と呼ばれる長い棒の両端に燃料を含ませて火を点け、それを回すのが基本的なパフォーマンスだ。そもそも昔は木の棒の先端にサメの歯やブタの牙などを付けて、日常ではナイフとして、戦いの時には武器として使われていたものが後に進化し、棒の両端に布を巻いて火を点けて速いスピードで回して敵を脅かすものになったという。現在では打楽器や音楽のリズムに合わせてバトンのように自由自在に回したり、頭上高く投げたり、仰向けになって足の裏に乗せたりといった様々な技を織り交ぜたパフォーマンスをショー形式で披露するのが一般的だ。

スパリゾートハワイアンズでファイヤーナイフダンスを披露しているのは、日本で唯一のファイヤーナイフダンスチーム『SivaOla(シバオラ)』。結成は2016年だがチームの母体の歴史は古く、スパリゾートハワイアンズでショーが始まったのは52年前の1972年のこと。当時ポリネシアンショーの司会を務めていたケン青木さんに、初代フラガールのリーダー豊田恵美子さん(映画『フラガール』の主人公のモデル)が「ファイヤーナイフダンスやってみない?」と声をかけたのがきっかけだったという。勢いで引き受けてしまったものの、指導者はいない、資料もない中で昼間はショーの司会をしなければならない青木さんは、夜になるとひたすらバトンを回す毎日を過ごし、練習開始から10カ月が経った1972年7月3日に初ステージを踏むことに。それから2011年3月までの約39年間、青木さんはなんと50代になるまでステージに立ち続けたそうだ。

世界大会で2位を獲得したメンバーも!ハイレベルな技術が織りなす高次元のショー

ファイヤーナイフダンスチーム『SivaOla』。前列左からアフィ諒汰、リーダーのジンLEON、ムア史弥、後列左から来寿ガレアイ、エディ勇人、バル憂弥、LAGI中谷、ノア湧太 ※敬称略

サモア語で“強い踊り”を意味する『SivaOla(シバオラ)』は8人編成のファイヤーナイフダンスチーム。リーダーのジンLEONさんはケン青木さんの最後の弟子で、メンバーの中では東日本大震災を経験した唯一の現役ダンサーでもある。チーム結成前まではソロ主体だった公演での演舞は、メンバーがゼロから作り上げたグループ用に切り替えられているが、監修はすべてジンさんが中心になって行っているそうだ。

フラガールと同様、運営会社の正社員である『SivaOla』の面々だが、その勤務体系は普通の社員とは大きく異なる。その一日のスケジュールは、ざっと次のような感じだ。

12:00     出社後、ショー出演の準備(ストレッチ、メイクなど)
13:30〜14:00 ポリネシアンショー(昼)に出演
15:30〜    トレーニングや道具の手入れ、練習時間。SivaOla公式SNS更新。
20:30〜20:40 SivaOla単独ショー出演
20:40〜21:00 ポリネシアンショー(夜)に出演

トレーニング設備が完備された楽屋では、肉体の鍛錬が行われている。

ナイフの両端にホワイトガソリンを染み込ませるのも自ら行う作業。

これら日々のルーティンワークに加え、ショーの構成や振り付け、ナイフの技づくり、音楽の選曲もSivaOla自身で行っている。とくにリーダーとしてメンバーの相談に乗ったり、様々な業務もこなさなければならないジンさんは忙しく、今回の取材後のちょっとした空き時間に誰もいないステージで、ひとり黙々と練習している姿が印象的だった。

そんなSivaOlaに先日、とてもうれしい出来事があった。それは毎年5月にオアフ島で開催されるファイヤーナイフダンス世界選手権大会で、メンバーのムア史弥さんが2位入賞を果たしたのだ。スパリゾートハワイアンズから同大会への出場は、1999年(出場者:当時48歳のケン青木さん)以降13回、延べ16人。そのほとんどが予選敗退という結果に終わったが、2014年にはLAGI中谷さんがメンバー初の予選突破を果たし6位内入賞、そして2018年にはムア史弥さんの実兄・バル憂弥さんがアジア人初の2位入賞を果たした。今回、お兄さんと同じ2位入賞を果たしたムア史弥さんは「兄を超えたいという気持ちはあったが、まずは追いつけたことにホッとしている」と語った。

取材会で披露されたバル憂弥さん(上)とムア史弥さん(下)によるパフォーマンス。さすが兄弟、息もぴったりだ。

今年のファイヤーナイフダンス世界選手権大会で2位入賞を果たしたムア史弥さん。予選前日は眠れたが、決勝前夜はさすがになかなか眠れなかったそう。それでも2位入賞は大きな自信になり、今後は連勝できるように体力づくりと新しい技を編み出したいと語ってくれた。

授賞式で渡されたナイフ型のトロフィー。先端の金具部分には「World Fire Knife Championship 2nd Place 2024」の文字が型抜きされている。

そして今回の2位入賞を記念して、6月8日(土)には凱旋公演が行われた。オープニングパフォーマンスは、今回の世界大会に初出場したアフィ諒汰さん。

アフィ諒汰さんによるオープニングパフォーマンス。入賞こそ逃したものの、世界大会に出場するだけのハイレベルな技で会場を沸かせてくれた。

続いてSivaOlaメンバー全員が参加してのトークセッション。普段のステージは5人が出演して3人は休みといったシフトで行われ、8人全員が揃うのは年に数回の特別ショーくらいなので、特別な演出に来場したファンも大喜びだった。

最後はムア史弥さんの迫力のパフォーマンス。世界2位の風格が感じられる豪快で繊細な技の数々がファンを魅了した。

ナイフの炎を舌で受け止めるパフォーマンス。ちなみに炎の温度は最高500度。炎の中の金具は高温なので一発で火傷するが、そのほかの部分であれば大丈夫らしい。入社後、ムア史弥さんが指導役だったノア湧太さんよると、加入して最初に教えられたのは火の点いたナイフを回すことではなく、炎を舌に乗せることだったとか。

前述したように、メンバー全員が総出演のステージは年に数回しかないのだが、その中のひとつ『シバオラ生誕祭』が来月6日に開催される。この生誕祭はシバオラがデビューした7月3日に合わせ、7月第一週の前後に開かれるもので、今年はデビューから8周年を記念した内容になる。年を追うごとに進化するパフォーマンスが披露されるので、毎年欠かさず観に来る熱心なファンもたくさんいるとか。とくに今回は世界2位を獲得して乗りに乗っているムア史弥さんの勇姿を楽しみにしているファンも多いのでは。チケットはすでに発売中(ローソンチケット Lコード:22612)なので、気になる人はぜひスパリゾートハワイアンズへ足を運んでみてはいかがだろう。

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