「ものづくりの精神」を応用して組織設計、自律的成長を後押し YKK APが新人事戦略を発表
YKK AP(東京都千代田区)は10月30日、社員が自らのキャリアを設計し、自律的に成長できる環境を築くための新人事戦略を発表した。
同社のものづくりの精神と建築の設計思想を、組織作りに応用した。強固な土台づくりから柔軟な組織設計、人材育成、社内外連携、公正透明な評価体制を推進し、組織全体の持続的成長をはかるとしている。
「ものづくりの精神」を人事に応用して組織を設計する
新人事戦略「Architect HR(アーキテクト エイチアール)」について、同社は「人事制度の枠組みを超えた組織の設計図」と説明する。ビジョン「Evolution 2030」の方針の一つである「社員幸福経営」の実現を目指して策定した。
YKKグループで受け継いできた「善の巡環」の精神を経営と文化の両輪に据え、社員一人ひとりが自己成長と社会貢献を結びつけながら、変化に柔軟に対応し、創造的に進化する組織を目指すとしている。
「Architect HR」を5つの柱で展開 キャリアパスの明確化など推進
「Architect HR」は、以下のような5つの柱で展開し、社員のキャリア設計と組織成長を促進する。
・Foundation(基盤):強固な土台を築く「善の巡環」の浸透、スキル標準・キャリアパスの明確化、グローバルHR基盤の整備などを推進
・Framework(構造):柔軟で適応可能な組織設計職能型からジョブ&スキル型へシフトを加速、縦割りではなく、事業部や職種の枠を超えた柔軟な組織設計などを推進
・Materials(素材):人材育成とスキル強化に注力社員の学習機会を強化する「APアカデメイア」を設立し、データ駆動のタレントマネジメントや、新たな次世代リーダー育成プログラムなどを導入
・Connections(接続):社内外のエコシステムを構築他社との共同プロジェクトや産学連携の強化、リファラル採用やアルムナイ・ネットワークの強化、地域社会との連携などを展開
・Transparency(透明性):公正・公平な組織文化評価の透明性を向上させ、情報のオープン化や意思決定プロセスの可視化を推進
定年制度を撤廃、社員の自律したキャリア実現へ
同社は定年制度を2021年度から廃止し、65歳以降の社員を対象にした新たな人事制度を策定した。同一役割・同一成果・同一処遇の実現を目指し、役割を軸にする「成果・実力主義」の徹底をはかっている。
会社は社員に期待する働き方、役割を担うための必要能力、経験を明示。社員一人ひとりの自律したキャリア実現に向けた気付きの場やきっかけづくりとして、年代ごとの「キャリア研修」を実施し、自らが求めるキャリアの形成や意思を申請できる機会を設けている。
また、社長をはじめとする取締役が、社員と直接対話する「車座集会」を各地で実施しており、2024年度は国内40拠点で47回開催し、470人以上が参加した。
地域や職場の課題把握のため、本社・本部の社員が直接現地を訪問する「拠点訪問・ヒアリング」も実施。対話で得られた社員の声はさまざまな施策へ反映され、キャリア相談窓口設置や「共通メンター制度」導入に生かされているという。
発表の詳細は同社公式リリースで確認できる。