建設業界で、XRはどう活用されてる?
12月23日放送の「L is B presents 現場DX研究所」(文化放送 毎週月曜日20:00~20:30)は、先週に続き、前田建設工業株式会社技術企画管理室新技術実装グループ長で、CIVIL CREATE株式会社代表取締役の川西敦士氏をゲストに迎え、建設業界でのXRの活用法やDXに関する今後の課題について詳しくお話いただいた。
松井佐祐里アナ(パーソナリティ)「まずは企業プロフィールをご紹介致します。前田建設工業株式会社は、1919年に創業しました。東京に本社を構え、全国に12支店を展開する 大手ゼネコンとして、土木、建築、インフラ運営の3つの分野で事業を展開しています。近年では事業を請負うだけでなく、自らが事業主となる脱請負事業にも果敢に挑戦しています。2021年には、前田道路、前田製作所とともにインフロニア・ホールディングスを設立しました。そして今年4月、川西さんは前田建設工業の社員を続けながら、代表取締役を務めるCIVIL CREATE株式会社を設立。デジタル化が進む土木業界向けオンライン指導プログラム“サクシェアCAMP”をリリースしました」
L is B代表・横井太輔氏(パーソナリティ)「建設に対する興味や関心を持つ人を増やすための取り組みをされているそうですね」
前田建設工業株式会社技術企画管理室新技術実装グループ長、CIVIL CREATE株式会社代表取締役・川西敦士氏「マインクラフトを活用した教育イベントでは、小中学生や親子を対象に、建設業の魅力やものづくりの楽しさを伝える取り組みを行っています。具体的には、熊本県の阿蘇立野ダムをマインクラフトで再現するプロジェクトを国土交通省と一緒にさせていただきました。ダム建設のプロセスや技術を楽しく学んでもらえる内容を提供しています」
松井「DXに関する今後の課題は何ですか?」
川西「現場目線の実効性と戦略的視点の両立です。まずは、現場で働く方々が使いやすいツールの選定と、その効果を実感できるまでに非常に時間がかかるのでサポートが不可欠です。また、ツールで得られるデータを活用し、現場の知見を形式知化する仕組みも重要だと思っています。今、建設業界でi ConstructionやBIM、CIMといったワードが広がってますけど、手段ばかりに偏りすぎると、自社の強みや競争力を見失うリスクがあります」
横井「近年、注目度の高いXR技術についてもお伺いしたいんですけども、そもそもXRを初めて聞いたという方のために簡単に説明をお願いします」
川西「XR(クロスリアリティ)とは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)といった技術を総称した言葉で、現実空間と仮想空間を融合させる技術です。例えば、VRでは完全に仮想空間に入り込む体験が可能で、ARでは現実空間に仮想の情報を重ね合わせることができます。これらの技術が建設業界でも注目されているのは、現場の理解を深めたり、効率的な作業を実現するためのツールとして活用できる可能性があるからです」
松井「建設業界ではどのように活用されているのですか?」
川西「設計の時から3Dモデルを現場のリアルなデータと重ね合わせして、関係者の間で完成イメージを最初からあらかじめ共有するというのが可能になっています」
横井「例えば建物が建つ前に建物のイメージ図を3Dで作っておいて、そこにカメラを向けるとそのイメージ図が投影されて、こんな形で建物が立つんですよといったことですか?」
川西「はい、その通りです。例えば、この搬入物をこっちから入れた方がいいとか、工程を見ながら、この時期の方がいいとか、そういった現場の課題などをあらかじめ抽出することを目的として使われます」
横井「完成図だけではなくて、施工の途中の画像も重ね合わせることでこの時期はここからこれを入れないと、この後、この建物建っちゃったら、この機械は入りませんみたいなことができるということですね。面白いですね」