ロサンゼルス五輪は「カーフリー」を目指す 市長が明らかに
公共交通機関を利用してアクセスできる大会へ
パリオリンピックが閉会し、次の開催都市・ロサンゼルスにオリンピックの旗が引き継がれた。パリ大会は史上もっともサステナブルな五輪をうたい、競技施設の大半について既存施設を利用し、選手村の食事はプラントベースにするなど、多くの試みが取り入れられた。
それらの取り組みに対する反応や評価はさまざまであるが、昨今の環境問題への意識の高まりを考慮すると、今後も同様の取り組みは求められるだろう。
米ロサンゼルス市のカレン・バス市長は先日、「自動車のないオリンピック」を目指すことを明らかにした。ロサンゼルスには、175㎞におよぶ地下鉄、ライトレール(路面電車)、約120の路線を有するバスなどがある。ロサンゼルス市長の計画は、これらの公共交通機関を利用して競技会場へアクセスできる大会にするということだ。
今後4年間での整備が必要
五輪開催都市に立候補した際、カーフリーによって史上もっとも環境にやさしい大会になると表明したロサンゼルス市。同市は3度目のオリンピック開催になるが、過去2回と比べると、カーフリーの実現は決して簡単なことではないと言われている。
まず、コロナ禍に公共交通機関の利用者が急激に減少しており、現在の地下鉄の利用率は2019年レベルの約85%までしか回復していない。運行頻度が低く、停留所が自宅から遠いといったことから、公共交通機関で通勤すると自家用車での通勤より2倍近く時間がかかるケースもあるという。そのため、ロサンゼルス市民の多くが自家用車で通勤しているのが現状だ。
またホームレス人口の増加により、一部の地下鉄やバスはシェルター化していたり、暴力事件が起きたり、治安面での不安も大きい。
これに対し、ロサンゼルス市は2022年にロサンゼルス南部を通る新しい鉄道路線を開通。国内最長のライトレールの計画も明らかにするなど、交通システムの整備を進めている。
さらに2700台以上のバスを借りて、高速道路をバス専用レーンにして、人々の移動に利用する計画もあるという。
選手、関係者、観客など、多数の人々の移動がともなうオリンピック。ロサンゼルス市には4年間をかけて、環境に配慮しながらも、効率的に移動するシステムの整備が求められる。
※参考
Los Angeles Has Promised a ‘Car-Free’ Olympics in 2028. Can It Do It?|The New York Times
L.A.’s car-free Olympics are already tired of your traffic jokes|Time Out