新長田から世界へ!神戸が誇る技術と実用的なデザインが人気の『神戸ザック』に潜入しました 神戸市
多くの工場が軒を連ね日本の生産業を担ってきた"ものづくりのまち"新長田から、いま新たなムーブメントが生まれています。この日は神戸の歴史ある商品をアップデートし展開する『神戸ザック』に潜入してきました!
『神戸ザック/IMOC』は1971年に星加弘之さんが創業。登山家の経験を活かした実用的なデザインの登山用のリュックが長年愛されており、特徴的な"芋虫"のマークを目にしたことのある人も多いのでは。
昨年リニューアルオープンされた神戸ポートタワー(神戸市中央区)にはそんな神戸ザックをメインに扱うショップ『熾(イコリ)』がオープンし、地元客はもちろん、多くの観光客が"神戸らしいお土産"として同ブランドのリュックや小物などのアイテムを購入していくそう。
徐々に山登りが趣味の人以外にもその名が浸透してきた「神戸ザック」。その歴史と商品の魅力について知るべく、ものづくりのまちと呼ばれる新長田へ足を運んできました。
この日訪れたのは各線新長田駅より南に徒歩7分のところにある「神戸ザック新長田店」(神戸市長田区)。鮮やかなグリーンが出迎える、明るいイメージの店舗です。
ここで販売されているのは軽めの登山用のリュックはもちろん、タウンユースにも使い勝手の良いバッグやポーチの数々。これらのアイテムは裁断から縫製まですべて職人たちの手作業で作られているというから驚きです。
高齢による後継者問題に直面した神戸ザックを救ったのは、神戸発祥の人気セレクトショップ「乱痴気」を立ち上げた前川拓史さん。乱痴気創業時より、海外の最先端ファッションやローカルブランドのアイテムをいち早く店頭で紹介してきましたが、時流の変化をとらえ「兵庫の乱痴気だからこそできることを」という思いで"MADE IN 兵庫"のアイテムの販売を開始しました。
地場産業を行う工場に直接足を運び、職人たちとの触れ合いを重ねた前川さん。兵庫ならではのアイテムの素晴らしさをさらにダイレクトに顧客へ伝えるべく、その後「じばさんele」(現在は神戸ポートタワー「熾」に集約)を立ち上げ、織物や食器といった地場産業にフィーチャーしたショップ運営を行うようになりました。
「地場産業の職人さんたちと仕事をしている際に、後継者不足で廃業を余儀なくされ、技術や"いいもの"が途絶えるのを目の当たりにしていました」と前川さん。
以前コラボレーションを行った縁もあり、ブランド存続の窮地を救うべく2020年に神戸ザックの事業を継承。星加さんの厳しい指導のもとで若い職人たちへの技術の引き継ぎを行ったほか、工場の移転、ブランドのブラッシュアップに力を入れました。
自身も登山をライフワークとしており、神戸ザックのリュックをはじめて使用した際圧倒的な"使いやすさ"に驚いたという前川さん。
特に背負い心地の良さが特徴で、山形にステッチされたウレタンの背あては長時間背負っても疲れにくいのだそう。
また70年代・80年代のアメリカのアウトドアブランドのアイテムを彷彿させるクラシカルなデザインも特徴で、近年人気のアウトドアファッションにも合わせやすいのもポイントです。
販売されるアイテムはすべて30ℓ未満と背負いやすい大きさ。前川さん愛用するこちらの「ロールアップ」シリーズは、神戸ザックIMOCKのシリーズで人気の高い商品です。
上部がロール状になっており荷物が増えても安心。大きいサイズの26ℓはテントや山小屋での1泊2日ステイや、2泊3日の出張などにもぴったりのサイズ感なのだとか。
ほかにも本来高校のワンダーフォーゲル部の"競技用ザック"として考案された「きんちゃくザック」は軽量で手軽なデザイン。小さく折りたたむことができるので、旅のお供にもぴったりです。
ほかにも軽いお出かけにも重宝する「スナップショルダーポーチ」や、リュックを作成する際に出た端材を使用した「ミニポーチ」など、普段の生活にフィットする品揃えが嬉しいですよね。
星加さんが築き上げてきた50年。さらに前川さんが事業を継承し、誕生から55周年を迎える神戸ザック。実店舗ではその使用感も確かめながらお気に入りの1点を見つけられそう。
今後は神戸の企業などとのコラボレーションも実施されるほか世界への進出も視野に入っているそうで、神戸発ブランドの新たな展望に期待大です。
場所
神戸ザック新長田店
(神戸市長田区腕塚町3-2-2 新長田サンヨービル1F)
定休日
不定休