ジョニー・デップの『シザーハンズ』で娘リリー=ローズがトラウマ「みんなイジワルだから」
ティム・バートン監督&ジョニー・デップ主演『シザーハンズ』(1990)は、観る者の心を優しく包む、温かさにあふれた名作だ。しかし、デップの娘であるリリー=ローズ・デップは幼少期に鑑賞した際、トラウマになるほどの衝撃を受けたそう。英のインタビューにて明かしている。
『シザーハンズ』は両手がハサミの人造人間エドワード(デップ)と、キム(ウィノナ・ライダー)の交流を描くラブストーリー。エドワードは植木を美しく整えたりペットの毛をトリミングするなど、ハサミを活かした特技で地域の人気者になる一方、その容姿ゆえに好奇の目にも晒されてしまう。
父が主演した『シザーハンズ』を、リリー=ローズが鑑賞したのは3歳の時。「トラウマになりました。彼が怖いからじゃなくて、みんなが彼にひどく意地悪だから。すごく腹が立ちました」と幼心に怒りを覚えたことを振り返っている。町の住人がエドワードに敵意を抱く結末に心を痛め、それ以来『シザーハンズ』を見ないようにしているのだとか。
「あの作品で呆然としたことを覚えています、不思議なことですけどね。だって私、小さかった時の記憶があまりないので。」
エドワードが劇中でひどい目に遭うことが、リリー=ローズにとっては相当鮮烈だったようで、「幼少期の苦い想い出」と称している。俳優として活躍するリリー=ローズは、ロバート・エガース監督の最新作『ノスフェラトゥ(原題)』で悪夢に悩まされる女性エレンを演じた。今では、映画の登場人物に対して若干屈折した感情を抱いているようだ。
「エドワードは善人で、ノスフェラトゥは悪人みたいなものだけど、私の中には、ノスフェラトゥにちょっと共感する部分があるんです。これって、私が病んでるってことなのかな?」
父とバートンは、『シザーハンズ』以外にも『スリーピー・ホロウ』(1999)や『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007)でゴシックなファンタジー&ホラーの世界を探求。自らもドラキュラ伝説に基づく映画に出演したことについて、リリー=ローズは「(父とは)まったく違う俳優だけれど、人は環境に作られるものだし、ずっと興味のあった世界です」と話した。
「物事のダークな暗部に関心がある」というリリー=ローズは、俳優として役柄をなるべく充実させ、できるだけ深みに飛び込みたいと語る。「暗闇とは最も複雑なもの。自分自身を掘り下げるのが何よりも面白いんです。美しい技巧や衣裳、物語に隠れがちだけれど、私は自分自身の深いところからいつも演技を引き出しているから」。
『シザーハンズ』は3歳の初見以降、まったく観ていないというリリー=ローズ。『ノスフェラトゥ』の演技には、父からの影響を垣間見ることができるだろうか。
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