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<沖縄の海で気をつけたい危険生物4選>海水浴を楽しむために知っておきたい対策と応急措置とは?

サカナト

カツオノエボシ(提供:PhotoAC)

沖縄といえば、美しい白砂のビーチや透明度の高い海を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、そんな楽しい海水浴場に、危険な生き物が潜んでいることがあります。

沖縄県では、1998年から2024年までに6000件以上の海洋生物による被害が報告されています。筆者も地元出身ですが、見た目では分かりにくい生物が多く、特に観光客にとってはどの生きものに注意すればよいのか判断が難しいでしょう。

そこで今回は、海水浴中の浅瀬で遭遇しやすい危険生物を4種、体験談を交えてご紹介します。

半透明で見つけづらい<ハブクラゲ>

ハブクラゲは沖縄全域に生息し、主に5月から10月に発生します。

水深50センチほどの浅瀬でも確認され、半透明のため水中では非常に見つけづらいです。筆者自身も、船上から見た際に波間に漂う姿をビニール袋と見間違えた経験があります。

水中では見えにくいハブクラゲ(提供:PhotoAC)

沖縄県内の遊泳可能エリアにはほとんどの場合、ハブクラゲ侵入防止ネットが設置されていますが、遊泳禁止エリアやネットの外では危険が高まります。

海に入ったらハブクラゲだらけ?

筆者の従兄弟は若い頃、友人数人と遊泳禁止エリアへ飛び込んだ瞬間、周囲にハブクラゲが密集しており、全員が全身を刺されるという恐怖体験をしました。

Tシャツや短パンから露出した手足に触手が絡み、激痛とともにミミズ腫れのような跡が残ったそうで、当初は何が起きたのか分からず、よく見るとクラゲに囲まれていることに気づき、慌てて海から上がって酢をかけ、自力で触手を取り除いたといいます。

ハブクラゲの毒は触手にある刺胞(毒針と毒液が入ったカプセル)に含まれ、何かに触れると毒針が飛び出して毒液が注入されます。

激痛によりパニックになりやすく、暴れることでさらに触手が絡み、追加で毒針が刺さる危険があるため、刺されたと思ったらすぐに陸に上がって対応することが重要です。

応急処置としては、無理に触手を引き剥がさず、酢をかけて毒針の作動を止め、酢をかけながらゆっくり触手を取り除き、患部を冷やします。呼吸困難やショック症状が出た場合は人工呼吸を行いながらすぐに救急車を呼び、対処後は必ず医療機関を受診してください。

酢はハブクラゲに有効ですが、カツオノエボシやウンバチイソギンチャクには逆効果となるため使用してはいけません。また、アルコール類は特に効果がありません。

見た目は綺麗だけど強い毒を持つ<カツオノエボシ>

カツオノエボシは外洋性のクラゲで、普段は沿岸から離れた水深200メートル以上の深海に生息していますが、風の強い日などには漂流して沿岸に近づいたり、死骸が岸に打ち上げられることがあります。

水面には気泡を含んだ鮮やかな青色の浮き袋を浮かべ、その下に数本の長い触手が垂れ下がっています。

この触手には強い毒があり、刺されると電気が走るような激しい痛みを伴うため「デンキクラゲ」という別名を持ちます。

海辺に漂着していることもあるカツオノエボシ(提供:PhotoAC)

激痛に加え、繰り返し刺されることでアナフィラキシーショックを引き起こし、呼吸困難に陥る危険性もあります。

打ち上げられた個体は半透明の美しい青色で、風船や貝殻のように見えるため、特に子どもが興味を持って触れてしまう危険がありますが、死骸であっても乾燥した状態であっても毒は残っているため、決して触れてはいけません。

見た目の美しさに反して猛毒を持つため、接触した場合は極めて危険です。ハブクラゲとは異なり、応急処置として酢をかけるのは厳禁で、まず海水で患部をよく洗い流し、その後氷や冷水で冷やしてください。

呼吸困難やショック症状が見られる場合は、人工呼吸を行いながら直ちに救急車を呼び、対処後は必ず医療機関を受診してください。

幼魚は群れを成す<ゴンズイ>

ゴンズイは普段、浅い岩礁や砂地の浅海に生息し、幼魚は集団で行動する習性がありますが、成魚になるとあまり群れを作らなくなります。

成魚は夜行性ですが、幼魚は昼間にも見かけることがあります。

筆者が5歳の頃、波打ち際で幼魚と思われるゴンズイの群れ「ゴンズイ玉」を見たことがあり、その泳ぐ姿はまるで絵本『スイミー』のように美しく、思わず触れそうになりましたが、年上の子から毒があると教えられて難を逃れました。

ゴンズイ玉(提供:PhotoAC)

幼魚は1匹ずつが非常に小さいものの、ナマズの仲間であるため成長すると沖縄では30センチを超える個体も確認されています。

背びれと胸びれには毒針があり、海水浴だけでなく釣りの際に釣れたゴンズイを針から外すときにも刺傷事故が発生しやすく、刺されると数日間に渡り激しい痛みが続くことがあります。

症状は患部の激痛だけでなく、皮膚炎や腫瘍を引き起こすこともあるため注意が必要です。

刺された場合は傷口をきれいな真水で洗い流し、湯温に注意しながら40~50℃のお湯で1時間以上患部を温め、その後病院を受診してください。

また、釣りをする人は、ゴンズイは死んでも毒性が消えないため、持ち帰らない場合でも陸上に捨てず、他の人や動物が触れないよう適切に処理することが重要です。

非常に危険な有毒生物<ヒョウモンダコ>

ヒョウモンダコは体長約10センチと小さく、子どもの手でも簡単に持ててしまうサイズですが、非常に危険な有毒生物です。

体表は薄茶色で地味な色をしており、岩場に擬態することで身を隠していますが、興奮すると体にある青い斑点が鮮やかに浮かび上がります。

ヒョウモンダコ(提供:PhotoAC)

見かけても近づかない、触らないことが重要です。

普段は岩場や砂地に潜み、サンゴ礁の岩穴や石の下などに生息していますが、誤って踏んでしまう事故もあるため、足元にも十分注意が必要です。

唾液腺にはフグと同じ神経毒「テトロドトキシン」が含まれ、その毒性は青酸カリの数百倍ともいわれます。

噛まれると呼吸困難や麻痺を引き起こし、最悪の場合は死に至る危険性があります。実際に海外では死亡例も報告されています。

有毒のため食用にはできません。元々は沖縄など温暖な南方の海に生息していましたが、近年は地球温暖化の影響で生息域が北上しています。

万が一噛まれた場合は、毒を口で吸い出すことはせず、傷口の上部をしばって血流を抑えながら、可能な範囲で毒を絞り出し、直ちに病院を受診してください。

海を安全に楽しむために

沖縄の海を安全に楽しむためには、「遊泳禁止エリアで泳がない」「見慣れないものに触れない」「肌の露出を避ける」など、基本的なルールを守ることが大切です。

しっかり注意すれば、今年の夏も安心して海を満喫できますよ!

(サカナトライター:美琉)

参考文献

沖縄県公式ホームページー気をつけよう!!海のキケン生物

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