湘南平で登山の父偲ぶ 岡野金次郎の碑前祭
日本の近代登山の先駆者で、晩年を平塚で過ごした岡野金次郎(1874〜1958)の功績を讃えた碑前祭が5月10日、顕彰碑が建立されている湘南平(万田)で開催された。
岡野金次郎は横浜で生まれ育ち、登山家・小島烏水(うすい)とともに日本人で初めて槍ヶ岳の登頂や日本山岳会の設立に貢献するなど、近代登山史に影響を与えてきた。岡野は平塚に住まいを構える前から、高麗山から千畳敷(湘南平)を縦走するコースを楽しんでいたという。
同祭には、岡野の孫にあたる岡野眞さんをはじめとした子孫や、小島烏水の子孫、日本山岳会員など約50人が参加。献花やフルートの演奏、合唱などで岡野を偲んだ。眞さんは「みなさんが祖父を語り継いでくれることに感謝している」とあいさつした。
建立のきっかけ
『孤高に生きた登山家―岡野金次郎評伝―』(山と渓谷社)の共著者である鈴木遥さんは式典の中で、当時の市長・戸川貞雄らの尽力によって顕彰碑が平塚市の文化事業として1961年に建立されたと紹介。当初は平塚市ゆかりの曾我兄弟の碑を建てることが平塚市議会で立案されていたが、茅ヶ崎市の書物研究家・斉藤昌三(1887〜1961)が平塚に暮らし、スポーツ登山の振興に貢献した岡野を推薦したというエピソードなどが披露された。