小泉進次郎ブームはマスコミがつくり上げている?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、今週は長野智子がお休み。9月12日(木)は常井健一(ノンフィクション作家)、鈴木敏夫(文化放送解説委員)のコンビで、自民党総裁選挙の小泉進次郎候補について特集した。
鈴木敏夫「常井さんは2009年の夏から小泉進次郎さんの取材を始めて。何年ぐらい密着されたんですか?」
常井健一「環境大臣になった2019年までの10年間です。演説や講演で行く先々に訪ねて、彼の演説や講演をのべ500回ぐらい聴いてきました。演説を聴くと……いまネットにも載っています、情報価値がないわけです。ですので前後に会場の入口、駅、空港、寄ったお店などで待って直撃取材を仕掛けるなどしてきました」
常井は進次郎候補の父親である小泉純一郎元首相ともかかわりが深い。ともに書き上げた著書が2冊あり、およそ2年間、月1、2回の懇談も続けていた。進次郎候補に注目をし始めた理由としては年齢が近く、「小泉竹中路線」の影響を受けた就職氷河期世代であること、純一郎元首相の後継者がどのような国家像を打ち出すのか興味を持ったことなどを挙げる。父親と比較されがちだが、知れば知るほど違いも見えてきたという。
鈴木「“純一郎の息子”だけではない進次郎像というのは、たとえば?」
常井「人生遍歴が親子で全然違います。純一郎さんは苦労人で出世が遅かった。進次郎さんは初当選から大スターです。純一郎さんは大胆な“変人”として非常にオープンな性格ですけど、進次郎さんは繊細な常識人です。バカになれない、演じられない」
鈴木「慎重なイメージがあります」
常井「クローズドで慎重なんですね。政治手法も大きく違って。純一郎さんはトップダウンと思われがちですが、あえて回り道をしていたんですね。『郵政民営化をしたい』と言ってきましたけど、本格的に着手したのは政権をとってから2年後なんです。一方、進次郎さんは何するにも最短距離ばかり考えている。根回しができなかったり、交渉が不得意だったりするんですね」
鈴木「言われてみれば。どちらかというとお兄さんの小泉孝太郎さんのほうが、純一郎さんのように陽気なイメージがあります」
常井「いまの時代は純一郎さんより孝太郎さんのほうがテレビに出まくりです。しかもいま20、30代って純一郎さんのイメージがほとんどないんです。生まれてから安倍政権が圧倒的に長かった。純一郎さんより孝太郎さんを知っている」
鈴木「そうなると……もうひとつ知り方がありますね」
常井「“滝川クリステルの夫”という存在ですね。小泉進次郎人気というのは、テレビでは純一郎さんがエンジンになると言われていますが、ほかに『小泉孝太郎』『滝川クリステル』という、3つのエンジンをかけ合わせて盛り上がると。ほかの総裁候補から見れば得ですよね。進次郎さんが語らないときもテレビに孝太郎さんや滝川さんが出ていればなんとなく進次郎さんのイメージが刷り込まれるわけです」
鈴木「結果的に『チーム進次郎』のようなことになる」
常井「発信力を持っていると言われますが、聴衆の方々は進次郎さんが言うことを鵜呑みにする傾向があるんです。小泉事務所から圧力をかけられていないのに、マスコミも記者の側から人気を支える。事務所やPRチームの努力というより、マスコミのほうがブームをつくり上げている部分があるんですね」
このあと政策面についても常井が解説した。