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第31回「私たちの選択で未来は変わる?」

TBSラジオ

「私たちの未来は、私たちで作る!」
あなたの「困りごと」、「モヤモヤ」、「お悩み」、もしくは、「変えていきたい社会の課題」などを通して、みんなで一緒に「これから」を考えていく番組です。
今回も、リスナーの方からいただいたメッセージに、スタジオの3人がこたえました。

最近はヴィーガンという言葉をよく耳にします。私の日常からすれば、とんでもなく別次元の世界と感じてしまいます。一方でジビエという言葉も今や当たり前のように定着してきました。どちらも子どもの頃には全く聞かなかった言葉。
興味深いのは、この2つの言葉が持つ意味や背景は相反していながらも実はサステナブルにつながっているということ。精肉時1キロあたりのCO2排出量は7.8キロ。つまり肉を食べないことで環境に配慮できていることになります。ジビエは逆に狩猟によって野生鳥獣肉を食すること。これは近未来の食糧不足を解消し、かつ農作物への被害軽減なども期待されています。
我々が生きていくために必要な考え方や動きはどちらも正解な気がします。これからはバランス良く適応していくことが必要になってくるのでしょうね。

小泉:ジビエ、鹿とかは増えちゃって殺処分されちゃうこととかがあるじゃないですか。そういうものを使って鹿のお肉でソーセージを作ったりとかしている人たちもいますよね。それをいただいたことがあって、美味しかったです。

上村:前に「NEWS23」で企画で山に入って取材をしました。鹿が木の皮を剥いでしまって、木が死んでしまうっていうのを取材したんです。その方たちにお話を聞くと、量が尋常じゃないと。バランスが崩れてしまっているから鹿を排除せざるを得ない。でも、それも全部人間がバランスを壊してしまっているから。

小泉:こっちが先に壊したんじゃない、って思うと、なんか複雑な気持ちというか。なにか共存できるうまい方法はないのかなって。こっちの都合で殺さなくちゃいけないっていうのに、すごく、なんか…だけど実際に危険な目に遭っている人もいるから。いろいろ考えちゃいますよね、命ってなんだろうなって。

上村:ちなみに、自分の健康だけでなく「地球環境にも配慮したい」という理由から、アメリカやヨーロッパでは「クライマタリアン」と呼ばれる方々が増えています。日本でこの言葉を広めようとしているグループ「Climatarian.JP」のMayuさんにお話を伺いました。

「クライマタリアン」というのは地球環境のために、食に由来する温室効果ガスの排出量を減らすように配慮した食生活を選択する人、という定義をしています。食の選択だけではなく、ライフスタイルをひっくるめた考え方です。
毎日の選択で完璧に「これをやめなくてはいけない」というわけではなくて、「今日はこうしよう」「ここまでやってみよう」みたいに捉えていただきたいです。
カレーだとわかりやすくて、ビーフカレー、ポークカレー、チキンカレー、エビのカレーとかもありますよね。その選択って、普段は気分でするものですが、その選択で大きな違いが生まれます。ビーフは牛ですが、牛のゲップによってメタンガスが出ていて、メタンガスはCO2の20~30倍の温室効果があると言われています。なので、牛の選択というのはクライマタリアン的にはスペシャルな時に取っておきたい選択肢になります。コーヒーチェーンでも、最近はミルクを3、4種類から選べるお店も出てきていますよね。
食の選択を変える人がいるんだ、というところはこれからも広げていきたいと思います。

小泉:なんか、自然とこういうふうに生活しているかも。

大石:わかる。ちょっとずつ、なんとなく、気にし始めると。

小泉:そうですよね。

大石:例えば、地産地消でなるべく近いところだと移動距離も少ないし。

上村:実はMayuさんは「スナックSDGs」にもゲストで来ていただいたんですけど、前にそういう話を1回聞くとそこから選択が変わるなと思うので、今日初めて知った方も今日をきっかけにね。

小泉:ね!知るって大事なことなのよね。知ると、気になって目に入ってくるじゃない。この番組が少しでもお役に立てていればいいなっていつも思いながらお話ししていますけどね。

上村:改めて学ぶという意味では、ベジタリアンにもたくさんバリエーションがあるそうです。手元の資料には12種類に分類されていますね。

小泉:友達でも、お肉は食べないけどシーフードは食べる人はいたりする。
私、基本は野菜とかお米ばっかり食べてるんですよ。最近はよくオートミールも食べます。

上村:食物繊維も豊富ですよね。

小泉:カロリーもちょっと低くなる。糖質とかもお米より低くて、軽くてもたれない感じがして気に入ってますね。

大石:今度、どんなバリエーションで食べているのか紹介してくださいよ。

小泉:納豆とかで食べたりもしてる。レパートリーが増えたら、発表します。

環境保全団体WWFジャパン考案


買い物カゴ投票

お悩みから視点を広げて、こんな話題も紹介しました。

上村:先月スタートした取り組み「買い物カゴ投票」。スーパーマーケットのレジで支払いを済ませた後、買い物カゴを返却する時に「YES」「NO」と書かれた2つのカゴ置き場があります。スーパーからの質問に、買い物カゴを返却するだけで投票できるという仕組みです。
スーパーマーケット側は「一部のお肉をノントレー包装に切り替えていいですか?」「節電のために冷凍・冷蔵のショーケースに扉をつけていいですか?」というように未来のために取り組みたいことを質問して、投票によって判断することができます。自分たちのサステナビリティに関する取り組みを「質問にすること」で消費者にその内容を知ってもらう機会にもなります。
WWFジャパンのWEBサイトには実施マニュアルが公開されていて、許可をとる必要もなく、どんなお店でも導入できます。

小泉:私、このニュースを映像で見てました。みんなちゃんと立ち止まって書かれた質問を見て、ちゃんと投票していて。その時は「ノントレー包装に切り替えてもいいですか」っていう質問だったんだけど「YES」がすごく多かったです。普段は自分からそういう行動をしないけど、思っている人は多いんだろうなと思って。私もスーパーとかでまとめ買いした時とかに家に帰って捨てなくちゃいけないプラスチックのゴミがいっぱいある時にちょっと心が痛むんですよね。

上村:カゴって絶対に返却するので、それをどちらかに置くっていうのだとやる方が負担がなくていいですよね。

小泉:思いついた人、すごくいいアイデアですよね。ユーモアもある。

上村:ちなみに、WWFジャパンが買い物カゴ投票を発案したきっかけはある調査の結果からだそうです。「自分にも社会にも地球にもよい生き方を妨げているものは何か」という質問に対して、日本で多い答えは「値段が高い(50%)」「何をしたらよいかわからない(38%)」「不便(32%)」「私の行動では何も変わらない(28%)」でした。こうしたバリアを解消して、生活動線上で具体的な選択肢を提案して売り場が変わる仕組みが買い物カゴ投票だそうです。

小泉:「私の行動では何も変わらない」って思っている人、たしかに多い気がします。

上村:3割もいます。

小泉:それに対して思い切って行動したとしても結果が見えなかったり、成功体験が少ないんじゃないかな。それがより、尻込みさせてしまっているところはあるかもしれませんよね。だから、こうやって身近なところで投票する、みたいな経験で自分の意見が叶うっていう成功体験が、社会の中で生きる上での自信につながっていくのではと思いますよね。

大石:いとうせいこうさんがよく「世界を変える方法は2つある」って言っているんです。一つは選挙に行くこと。あとは、子どもから高齢者、企業まで全部の人ができるのは「明日からの消費を変えること」。ちょっと消費を変えると、世の中も少しずつ良くなるよね、って。僕らも日頃そういう活動をしていますから。「私の行動では何も変わらない」っていう人が28%もいるじゃないですか、消費を変えてくれればいいと思うんです。

小泉:具体的にいうと?

大石:例えば、チョコレートとかでも、ブラックサンダーって児童労働を排除したカカオを使っているんですよ。

小泉:えー!急に、余計に好きになっちゃった。

上村:美味しいですし。

大石:レジの前にいくつかチョコレートが置いてあるじゃないですか。僕は意識的に、目につくようになっちゃったから「どうせ買うならこれにしよう」ってなっていて。子どもでもできるじゃないですか。

小泉:そうだよね。注意して見ていると、フェアトレードとか情報が出てきますもんね。それだけでも世の中は変わるね、たしかにね。

大石:僕のG-SHOCKも再エネ100%ですから。

小泉:これかわいいんですよね~。

(TBSラジオ『サステバ』より抜粋)

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