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ニセ「きのこの山」は許さず 「模倣イヤホン」を排除できた「立体商標権」と明治の知財保護戦略

月刊総務オンライン

ニセ「きのこの山」は許さず 「模倣イヤホン」を排除できた「立体商標権」と明治の知財保護戦略

明治(東京都中央区)は24日、チョコレート菓子「きのこの山」の模倣品が流通したことを受け、知的財産を守る活動を強化する方針を打ち出した。商標権を侵害する行動に対し、模倣商品の製造・販売や輸入差し止めなどの措置を講じる。

模倣品を放置しておけば、これまで築き上げてきたブランドの失墜につながる。明治は「ブランドを毀損する模倣品に対しては今後も適切な措置を講じていく」としている。

「立体商標権」を行使、模造品製造会社と製造、販売の中止で合意

明治が2024年3月26日に発売した「きのこの山」型のワイヤレスイヤホンは、国内外のサイトでイヤホンケースに「meiji」や「きのこの山」と記載した模倣品が販売されていた。

同社は保有する商標権を侵害していることを確認し、商標権に基づいて税関に輸入差止申立てを行った。申立ては6月に受理され、模倣品は税関で輸入を阻止されることになった。

商標権で守られたきのこの山(明治のウェブサイトより)

また、2024年3月には、商品の誤認を招く恐れがあるとして、「きのこの山」の模倣品を製造していた会社との間に、模倣品の製造、販売を中止することで合意した。

きのこの山は1975年発売。1978年に文字商標として「きのこの山」を登録したほか、2018年にはブランド価値を守るために形状の立体商標も登録した。

立体商標登録をした「きのこの山」(明治のウェブサイトより)

立体商標は40年以上にわたる継続的な販売実績やマーケティング活動を通じて、その形状だけで顧客が「きのこの山」を認識できるとして、特許庁が認めた。

「たけのこの里」にも立体商標権、全国7例中、2例が明治

明治によると、日本の食品分野で、「形状のみ」で立体商標の登録例は7例に限られているが、のうち2例が同社の「きのこの山」と「たけのこの里」の商標だ。

また、文字商標も、一般的に簡単な文字の組み合わせだと原則として商標登録に必要な「識別力」のない商標とされて商標登録はできない。

ただ、「使用の結果、全国的な知名度があり、消費者が商品を見ただけで、ほかの商品と区別ができて、何の商品かわかる状態」を証明できると、例外的に登録が認められることがある。

同社では「きのこの山」のほか、「R-1」や「LG21」が文字商標として商標登録されており、社会への影響度や、実際の使用例といった証拠をもとに審査され、厳しい要件をクリアして、登録された。

法務部門のない中小企業、知財問題にどう対応する?

法務部門などがある大企業とは違い、中小企業では総務部門が知財の担当となることも多い。

当メディアでも「新技術の権利を守る デジタル時代の知的財産管理の在り方」と題して、知財管理についての特集を組んでいる。

また、特許庁は2024年4月に「事例から学ぶ 商標活用ガイド」を刷新、この中で商標権取得までの流れや手続き、登録不可の商標など基礎知識を図解で説明しており、当メディアでも紹介している。

明治の発表の詳細は同社発表の公式リリースで確認できる。

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