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2024年の沢村賞は誰だ?7項目の選考基準データ比較から浮上した有力候補は

SPAIA

巨人・戸郷翔征と菅野智之,ⒸSPAIA

「投高打低」進み、防御率1点台は計6人

プロ野球はセ・パ両リーグとも優勝が決まり、注目はクライマックスシリーズ争いとタイトル争いに移る。

今年は昨年に続いて投高打低となっており、3割打者は両リーグを合わせても3人しかいない。逆に投手陣は防御率1点台が両リーグで計6人。2点台も含めると19人に上っており、ハイレベルな争いだ。

そんな中、沢村賞は誰になるだろうか。選考基準は25登板以上、10完投以上、15勝以上、勝率6割以上、200投球回以上、150奪三振以上、防御率2.50以下の7項目。全てクリアするのは至難の業だが、より近い数字を残した先発完投型の投手に授与される。

まずは2024年の有力候補の成績を比較してみよう。

セ・リーグで唯一4項目クリアの巨人・戸郷翔征

現時点のセ・リーグで唯一4項目をクリアしているのは巨人の戸郷翔征。26試合登板、勝率.600、156奪三振、防御率1.95をマークしており、セ・リーグ最多の4完投、投球回もDeNA東克樹に次ぐ180回に上る。156奪三振はセ・リーグ最多だ。

ただ、12勝と勝ち星がやや少ないのは割引材料。打線の無援に泣いた不運な試合もあるとはいえ、8敗しているため勝率は基準値ギリギリの.600となっている。

昨季4勝から見事な復活を遂げた巨人・菅野智之は15勝、勝率.833、防御率1.67と3項目クリア。5月に体調不良で10日間抹消されていなければ25試合登板もクリアできただけに悔やまれる。2017、18年に2年連続受賞した実績もあるが、奪三振数が111個と少ないのはやや割引材料となりそうだ。

阪神の8年目右腕・才木浩人は25試合登板、勝率.813、防御率1.83と3項目クリア。完投も4回あり、うち3回は完封(7回降雨コールド含む)を記録している。15勝には届いていないが、13勝3敗で.813と勝率が高いのも強調材料だろう。

昨年、最多勝と最高勝率に輝いたDeNA東克樹は今年も13勝をマークしており、26試合登板、勝率.765、防御率2.16と3項目クリア。183投球回は12球団トップで「先発完投型」という沢村賞の条件にも近い。

中日・高橋宏斗は2項目しかクリアしていないものの、防御率(1.38)が秀逸。とはいえ、規定投球回ギリギリの143.2回で12勝のため、他の候補に比べるとやや見劣りする。

パ・リーグで唯一4項目クリアのソフトバンク・モイネロ

パ・リーグではソフトバンクのモイネロが25試合登板、勝率.688、155奪三振、防御率1.88と4項目クリアしている。先発転向1年目でいきなり結果を出しており、有力候補の一人だ。ただ、11勝をどう評価するか意見が分かれるところだろう。

日本ハムの伊藤大海は25試合登板、勝率.778、153奪三振と3項目クリアしており、12球団最多タイの5完投(4完封)をマークしている。14勝と防御率2.66も基準値まであと少しに迫っている。仮に今季最終登板で9回完封しても防御率2.50以下にはならないが、強調材料は多い。

ソフトバンクの有原航平は25試合登板、勝率.650、防御率2.36と3項目クリア。パ・リーグトップの175.2投球回も評価の対象だが、奪三振数が129個とやや少ないのは割引材料となりそうだ。

楽天・早川隆久は勝率.688、155奪三振、防御率2.33と3項目クリア。ただ、白星は運にも左右されるとはいえ、11勝はやや物足りなさが残る。

各投手とも残り試合で登板する可能性もあり、数字を上積みできれば一気に本命となるかもしれないが、現時点では抜けた候補はいない。しいて挙げるなら菅野智之、戸郷翔征、才木浩人、モイネロ、伊藤大海あたりだろうか。

最近は現ドジャースの山本由伸(当時オリックス)が抜きん出た成績で3年連続受賞。2020年は10完投を記録した大野雄大(中日)が受賞したが、2000年や2019年のように該当者なしのシーズンもある。

投手の分業制が進んだ今、10完投や200投球回の条件は見直す必要もありそうだが、まずは今年の沢村賞に誰が輝くか。残り試合も含め、その行方が注目される。

※成績は9月30日終了時点

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記事:SPAIA編集部

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