”八王子デニム”誕生か めだか屋が新たな挑戦
子安町で就労支援事業などを行っている会社が、今度はデニム生地の開発を手がける--。
株式会社あやめ会(子安町)の青木崇浩代表は、株式会社めだかやドットコムの代表も務めており、めだかの育成販売事業を軸にした就労支援事業のほか、多方面に事業を展開している。
一昨年は、昔八王子で親しまれた懐かしの味「100円ラーメン」を桑都テラス(中町)で復活させるなど、「食」を通して市民の郷愁心をくすぐった。その同社が、今度は衣類業界に挑戦する。
伝統文化を日常に
以前から郷土愛の醸成につながる事柄に関心を寄せてきた青木さん。「八王子といえば養蚕や織物技術。だけど、いまシルクの服を着ている人はほとんどいない。このままでは廃れてしまう伝統文化を、どうにか守っていけないか」。そんな思いを抱いていた矢先に目をつけたのが、デニム生地だ。
かつて青木さんは、アメリカまで買い付けに行っていたほどジーンズに思い入れがあった。さらに、ジーンズといえば今や幅広い世代の生活に溶け込んでいる。そこで、青木さんは八王子ならではのオリジナルジーンズがつくれないかと思い立った。
多摩織の工場と
タッグを組むのは、伝統絹織物である「多摩織」の技術を継承する澤井織物工場(高月町)。代表の澤井伸さんは、多摩織の伝統工芸士としての評価が高く、昨年、東京都と八王子市からそれぞれ「名誉都民」「市民栄誉章」を授与された。
青木代表は同社と契約し、同社が所有するシャトル織機でデニム生地を織ってもらうことに。デニムの聖地・岡山県で染めた糸を使い、1950〜60年代に流行ったという「あえて野暮ったい」風合いの濃紺色の生地を目指す。大量生産用の織機とは異なり、時間をかけて織られるさまに、「生産効率はいいとはいえず、できた生地には凹凸があるが、それがのちのちいい味になる」とこだわりを見せる。
春先には完成した生地の販売を始め、並行してジーンズの製作も進めるという。
問い合わせは同社本店・林さん【電話】︎042・649・4410。