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正反対の2人が本当の痛みに向き合い、旅で得たものとは。心のロードムービー「リアル・ペイン〜心の旅〜」

SASARU

「僕らの世界が交わるまで」で監督デビューを果たした俳優ジェシー・アイゼンバーグが監督・脚本・製作・主演を務めたロードムービー「リアル・ペイン〜心の旅〜」。1月31日(金)の公開に先駆けて試写会に参加したSASARU movie編集部が映画の見どころをレビューします。
テレビシリーズ「メディア王〜華麗なる一族〜」でゴールデングローブ賞の最優秀男優賞(TVドラマ部門)を受賞したキーラン・カルキンが本作ではジェシーの従兄弟役を演じ、第82回ゴールデングローブ賞にて助演男優賞を受賞。美しい景観と音楽の裏側にある「リアル・ペイン(本当の痛み)」とは何なのか。どこか生きづらさを感じつつも、時にユーモアに時に切なく、旅をしながら自分に向き合う繊細な心の動きが強烈に伝わってくる本作をぜひ劇場でチェックしてください。

2人の『心の旅』は終着するのか…「リアル・ペイン〜心の旅〜」の気になるストーリー

(C)2024 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

ニューヨークに住むユダヤ人のデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)と、兄弟のように育った従兄弟のベンジー(キーラン・カルキン)。疎遠になっていた2人は、亡くなった最愛の祖母の遺言によって数年ぶりに再会し、ポーランドのツアー旅行に参加することに。正反対な性格のデヴィッドとベンジーは時に騒動を起こしながらも、ツアーに参加したユニークな人々と交流をしながら祖母に縁があるポーランドの地を巡る中で40代を迎えた自身と向き合っていく。

2人がこの旅で得たものは何だったのか。感情の旅が観るものを夢中にさせる物語です。

スクリーンに描かれる繊細な心の動きと会話の掛け合いに引き込まれる

(C)2024 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

何かを発するたびにFワードを使い、決して品が良いとは言えないベンジー。空気が読めず思ったことをそのまま口に出して人をイラつかせてしまうが、最後にはなんだかベンジーが好きになってしまう…そんな不思議な感覚に陥ります。
ただその瞬間を、そして未来を良くしようと真っ直ぐにぶつかる彼が魅力的に見えてしまうのです。どちらかと言うとデヴィッドのように、「我慢すること」「空気を読むこと」が現実世界では美徳になってしまっているからかもしれません。

ベンジーとデヴィッドの会話の掛け合い、セリフの深さや心の強弱は不安定でナイーブながら、どこかチャーミング。複雑な心の動き、繊細に伝わる描写が心に響きます。ぜひ、それぞれのキャラクターの個性や会話に注目してくださいね。

美しい街並みとショパンの旋律が2人の旅に色をつける

(C)2024 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

特筆すべきは、ホロコーストの歴史に関する残酷なシーン。その静寂さと余白は、私たちに何かを語りかけ問われているような感覚に陥りました。その過去のシーンとは裏腹にポーランドの美しい街並みや、ふたりの旅に寄り添い、心の繊細さにふれる美しく優しいショパンの名曲の数々が、観ている私たちの心に響きます。

リアル・ペイン=本当の痛みとはなんなのか。
大人になったからこそ感じる心の痛みやモヤモヤ。話したいのに話せない現実、家族、友情...抱えているものはそれぞれ。美しい景色や音楽と共に展開していく「心の旅」が心地の良い作品です。

ラストシーンの、家族の元へと戻るデヴィッドと、空港のロビーに座り続けるベンジー。心の旅は終わったのか、それともまだまだ続くのか…観ているわたしたちに問いかけているようなシーンにも注目です。自分に向き合う大切さ、生きている限り続く心の旅、何も言わずとも大切な人に寄り添いたくなるような優しいロードムービーは、ぜひ今冬に観てほしい作品です。

「リアル・ペイン〜心の旅〜」 基本情報

(C)2024 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

『リアル・ペイン〜心の旅〜』
原題:A REAL PAIN
監督・脚本:ジェシー・アイゼンバーグ『僕らが世界と交わるまで』
出演
ジェシー・アイゼンバーグ(『ソーシャル・ネットワーク』『ゾンビランド』)
キーラン・カルキン(「メディア王〜華麗なる一族〜』『スコット・ピルグリムVS.ザ・ワールド』)
ウィル・シャープ(「Giri/Haji」)
ジェニファー・グレイ(『ダーティ・ダンシング』『ある朝フェリスは突然に』)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/

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