連載 コレ 気になってます! 介護業 正社員は平均31歳 人材不足で独自路線
介護が必要な高齢者を支える職員が不足している。国が昨年発表した推計によると、26年度の介護職員は約240万人。必要数に対して、25万人不足する。
介護労働安定センターの調査では、国内で働く介護職員の平均年齢は48歳。そんな中、市内上町屋のグループホーム華花(はなばな)では正社員の平均年齢が31歳で、職員採用の問い合わせも後を絶たない。
「働きたい」後押し
グループホーム華花は2004年に開所し、18年から染谷恵さん(52)と哲央さん(46)が夫婦で経営する。月1回開催されていた近隣住民との交流カフェで、精神疾患や知的障害がある人の働き先が少ない現状を目の当たりにした。
「働きたいけれど、働く自信がない子が多い」と実感した恵さん。すぐ行動に移し、児童養護施設を対象に小学生は社会科見学、中学生は職業体験、高校生はアルバイトと介護の仕事に関わる機会を提供した。
哲央さんは、「過去に傷を受けた子は、人を責めることができない。お年寄りをいたわってくれるのでとても良い人材」とスタッフを称える。今では入居者18人に対して、正社員5人とパート職19人、アルバイトが1日2〜3人の構成で、引きこもりや不登校、生活保護の経験者などさまざまな背景を持つ職員を受け入れる。
同世代に「心強い」
華花に勤める友人の紹介で、4カ月前からスタッフとして働くのが鈴木規嗣さん(26)。携帯販売や飲食業に従事したが上下関係に悩み、自暴自棄にも陥った。鈴木さんは、「同世代が多く心強い。なんでも聞きやすい環境で、こんなに働きやすい職場は初めて」と目を輝かす。アルバイトの根ヶ山健太さん(23)は、湘南鎌倉医療大の4年生。卒業を目前に控え、「将来携わる仕事を体感でき、楽しく仕事ができた」と振り返る。
昨年12月にはソーシャルワーカーの村山利絵さん(63)をスタッフに迎え、フォロー体制の充実と事業拡大を見据えている。染谷さん夫婦は、「仕事をして給料をもらい、納税できるようになるまでが理想。困っている子たちの背中を押し続けたい」と話す。
記者が鎌倉で気になったことを調べる連載「コレ気になってます!」。不定期で掲載しています。