太陽光発電で生活できる?発電の仕組みや電気の使い方をプロにインタビュー
太陽光のエネルギーを電力に変える太陽光発電。省エネや節電に効果があると話題ですが、いったいどのくらいの電気をまかなえるのでしょうか? 今回は、太陽光発電の仕組みや役割、発電した電気の使い道などを株式会社グリムスソーラーの吉田さんにインタビュー!太陽光発電のプロならではの目線から、知見を語っていただきました。
お話を伺った方
株式会社グリムスソーラー 福岡営業所 プランナー 吉田誠(よしだ まこと)さん
太陽光発電の仕組みとは
最近は家の屋根に大きな太陽光パネルを取りつける住宅も増えてきましたが、意外と発電の仕組みを知らない方も多いのではないでしょうか。太陽光発電に必要なもの、発電までの流れをご紹介します。
太陽光から得られるエネルギーを使える電気に変換する
ー太陽光発電に必要なものは何ですか? ざっくりいうと①太陽光を取り込む太陽光パネルと、②取り込んだ電力を使える電気に変換するパワーコンディショナーの2つです。ー発電の流れを教えてください。 屋根に太陽光パネルを取り付けて太陽光エネルギーを集め、発電した電気をパワーコンディショナーと呼ばれる変換器で使える電気に変換します。ーなぜ発電した電気をそのまま使うことはできないのですか? 電気の流れが普段使っているものとは異なるためです。 電気の流れには「直流」と「交流」の2種類があり、私たちが普段使っている電気は交流であるのに対し発電される電気は直流。直流のままでは電気を使えないため、電気の流れを変換器で変えることが必要です。
蓄電池で発電した電気を貯める
ーそのほか太陽光発電で必要なものはありますか? 発電した電気を貯める蓄電池も設置するとよいでしょう。太陽光パネルだけでは電気を貯めることができないため、つくった電気が使われないこともあります。昼間に貯めた電気を夜使うことにより電気を有効活用できます。
地域によって発電量は変わる?
ー太陽光発電に向いている地域、向いていない地域はありますか? やはり日照時間が長い地域のほうが発電量は多い傾向にあります。比較的晴れる日が多い九州地方では導入率が他の地域より高いといわれています。
蓄電池とは?導入のメリットは2つ
太陽光で発電された電気を貯める蓄電池には、どのような特徴があるのでしょうか。蓄電池を導入するメリットや貯めた電気の使用期限などをご紹介します。
停電など急な災害時に対応できる
ー蓄電池を導入するメリットには何が挙げられますか? 停電などの急な災害時に非常用の電気を確保できることです。コロナ禍で大人数が集まる避難所に行きづらかったり、小さな子どもや高齢の方がいると避難所に行くことが難しい場合であっても安心して電気を使えます。ーガスを使っている場合、蓄電池は要らないのでしょうか? いえ、停電するとキッチン以外はなにも使えなくなるため、蓄電池はガスを使っている方にもおすすめです。たとえばお風呂の場合は、給湯器のスイッチは電気で動いているため電気がなければ使えませんよね。ガスでもオール電化でも家の設備を動かすには電気が必要になるため、蓄電池を設置してもしもに備えておくのがおすすめです。
電気をある程度自給自足できる
ーそのほかメリットはありますか? つくった電気を貯めて必要な時に使うことで、電気をある程度自給自足できる点も魅力のひとつです。蓄電池がなく日中家にいない場合、昼間つくった電気を使えません。帰宅後など電気が必要な時間帯まで電気を貯めておくことで、効率よく電気を自給自足できます。
貯めた電気の使用期限は約15年~30年
ー貯めた電気の使用期限はあるのでしょうか? 貯めた電気は6千回~1万回程度まで使えるといわれています。1回=1日ですので、6千日~1万日。年間で表すと約15年~30年ほど使える計算になります。
太陽光発電のみで生活できるのか
では、太陽光発電のみで生活することは可能なのでしょうか。家庭における太陽光発電の位置づけを聞いてみました。
太陽光発電はあくまで「サポート」のイメージ
ー太陽光発電のみで生活できますか? 節電すれば可能ですが、あくまで自給自足のサポートという捉え方がよいでしょう。小さな子どもやペットがいて風邪予防にエアコンをつけるなど、どうしても電気を多く使わないといけない場合があります。あくまで節電をサポートしてくれる存在として、太陽光発電を活用しましょう。
家族に合った大きさの発電装置を取り付ける
ー太陽光発電を導入する場合、気を付けることは何でしょうか? 家族の人数や消費量に合わせた発電装置を取り付けましょう。屋根が極端に小さい場合は十分な大きさの太陽光パネルを取り付けられないため、家庭に必要な電気量をまかなえない場合もあります。一般的な住宅であれば、十分な大きさの太陽光パネルを取り付けられるでしょう。
売電か自家消費、どちらがお得?
太陽光発電で貯めた電気を売るか家族で消費するか、悩む方も多いのではないでしょうか。売電するかどうかは、売電価格と電気代という2つの要因によって決まります。現在はどちらがお得になるのでしょうか。
現在は売電よりも自家消費のほうがお得
ー売電か自家消費か、どちらがお得なのですか? 現在は電気代が売電価格を上回っているため自家消費の方がお得になります。1kWhの電気代が夏の平日の昼間は約27円である一方、売電価格はなんと17円。同じ100のエネルギーを売ると1700円にしかならず、電気を使う際には2700円かかってしまいます。ーなるほど。電気を購入するよりも、自分で使った方がお得なのですね。 そうですね。自家消費で電気を使い切るほうがよいでしょう。
10年しか売電できないため、貯めた方がお得
ー10年しか売電できないとはどういうことですか? 国が行うFIT制度(固定価格買取制度)によって、契約から10年間は決まった価格で太陽光の電気を売電できると決まっています。しかし10年経つと同じ価格で電力を売れるかはわからないため、電気代が売電価格を上回っているうちは自家消費するほうがよいでしょう。
まとめ
今回は、太陽光発電について解説しました。発電の仕組みから売電の見極め方など、たくさんの情報が詰まっていましたね! 節約にも省エネにも効果的な太陽光発電は、今後どんどん普及が進んでいくと言われています。売電価格や電気代など最新情報をチェックしながら、より住みやすい家を目指して家づくりを進めていきましょう