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英字新聞編集長が語る、グローバル時代に必要な英語力

NHK出版デジタルマガジン

英字新聞編集長が語る、グローバル時代に必要な英語力

世界で活躍する「グローバル人材」。語学はもちろんのこと、そのほかにもさまざまなスキルが必要です。

「基礎英語」シリーズなどをはじめとするNHKテキストの新年度開講に向けて、英語を学び始めようとしている方やこれから学ぶ学生さんに向けて、多国籍チームで英字新聞を作っている高橋敏之さんに「グローバル時代に必要な英語力と学び方」について伺いました。

上達のキーワード=Persistence

──お仕事の内容や、紙面を作る上での工夫を教えてください。

  私は「The Japan Times Alpha J」という英字新聞の編集長をしています。この新聞は日本で英語を学ぶ方、特に中高生の読者がメインで、重要なニュースやトレンドなどを英文記事で伝えている英語学習紙です。紙面をつくるには海外に住んでいるライターと協力することも多く、会話はもちろん、会議やメールなど日常的なコミュニケーションは英語で行います。

 私が紙面をつくるときに特に気を付けていることは「情報の伝え方」です。英語の特徴は日本語と比べて1文が長く、1段落まるまる1センテンスということもあります。そこで、表現を変え、1文を短くするなど、分かりやすく、そしてリズムよく読めるように工夫しています。また、例えば「野球選手の活躍」について紹介する記事だったら、主語を「The Japanese superstar」「The 30-year-old slugger」など選手の名前やHeだけにせず、言い換えることでさらに詳しく説明することもあります。

 それ以外にも読者が多角的な視点でニュースを理解できるよう、ただニュースだけを載せるのではなく、ニュースの背景や原因、理由を載せるようにしています。

──英語でのコミュニケーション どうすればいい?

 まず「自分は英語を話せない」という思い込みを捨てることが大切です。I am ~. やDo you ~? のような基本的なことなら言えますよね? こうした初歩的に見える表現でも、使いこなせば結構幅広いことが言えるものです。

 それから、いきなり完璧な英語を目指さないこと。母語ではないのだから、ネイティブのように話せなくて当然です。すごく簡単な表現でもいいし、時には単語を並べるだけでもよいので、とにかく今のレベルで自分の言いたいことを精一杯伝えるようにしましょう。そうしているうちに、だんだんと表現力は上がっていきます。あとは、発音の悪さなんて気にせず大きな声で話すことですね。

高橋さんが編集長を務める「The Japan Times Alpha J」
高橋さんが編集長を務める「The Japan Times Alpha J」

――英語ができればグローバル人材ですか?

 もちろん英語のスキルは必要です。ただ、海外の人と仕事をするには、「英語ができる」だけでは足りないと私は思います。私の仕事に置き換えてみても、英語ができるだけでは紙面はつくれません。読者がつまずきそうなポイントに先回りして注釈や解説を加えたり、読者の視点に立って読者が興味をもちそうなテーマを見つけたりと、編集者としての判断も必要です。その意味でも、自分のスキルや個性や経験がプラスアルファとして英語と組み合わさったときに、初めて力を発揮すると思います。皆さんには英語はもちろん、いろいろなことにチャレンジしてスキルや個性を育てていってほしいと思います。

──英語が上達するには何が大切ですか。

 中学生のうちは「文法」をしっかり理解し、身につけておくことが大切だと思います。中学校から本格的に始まる文法は分かりにくく、難しく感じる人もいると思います。でも、文法とは要するに「英語でよく使われる構造」のことです。これを一通り理解してしまえば、英語を使う力も、理解する力もどんどん伸びていきます。英語を「話す・聞く・読む・書く」というスキルすべてに文法は関わっているので、まずは学校の授業で習う構造をしっかり理解するようにしましょう。

──おすすめの学習法を教えてください。

「音読とリスニング」がおすすめです。英文を音読するときに文法が理解できていなかったり、単語の塊を間違っていたりすると、つかえたり、変なところで区切ったりしてしまいます。お手本となる音声を聞いて、自分の音読と比べてチェックしましょう。

 私が教材としておすすめしているのは 1例文や解説があるもの 2音声が付いているもの 3シチュエーション別の会話例があるもの。もちろんNHKテキストもおすすめです!

――皆さんにメッセージをお願いします!

 私は社会人になってからオーストラリアへ語学留学に行きました。皆さんにも一度海外での生活を経験してほしいと思います。海外での経験は、言語習得だけでなく、異なる文化や価値観に触れることで、グローバル社会で必要な視野の広さを身につけるのにも役立ちます。また自分の好きなものだったり興味があるものだと「勉強」という気持ちではなく、前向きに取り組めます。たくさんの人や文化、コンテンツに触れて、英語を楽しみながら身につけてください!

プロフィール

高橋 敏之
学習に特化した英字新聞「The Japan Times Alpha J」編集長。慶應義塾大学卒業後、予備校英語講師、英語教材編集者を経て、2007年にジャパンタイムズ入社。

◆写真提供 高橋敏之
◆記事執筆・提供 五十嵐 靖人

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