三つの意見書まとめ提言、四日市で高校生議会開く、23人が若い視点で議論
若い視点で提言する高校生議会が1月25日、三重県の四日市市議会で開かれた。高校生23人が議員になり、市議会の正式な投票システムや会議室を使って、三つのテーマで議論し、意見書にまとめた。「議長が猫耳でSNSに登場し、議会をアピールする」など、大人が想像できない提案も飛び出した。
高校生は暁(3年制、6年制)、大橋学園、桑名工業、特別支援学校聖母の家学園、四日市四郷、四日市、四日市農芸、四日市メリノール学院から参加。市議会から正副議長や広報広聴委員ら11人の市議が参加して、討論の進め方を助言するなどお手伝いをした。森智広市長も歓迎のあいさつをした。
最初の体験は議長選挙。3人の候補者が所信表明をし、演壇の投票箱に1人ずつ、名前を記入した投票用紙を入れる。これも本当の議長選挙と同じ進行を体験した。開票の結果、暁6年制の小林由花さんが議長になり、教育、人権、若者の社会参画の三つの委員会で意見書づくりが始まった。
議長選挙の投票を体験する高校生議員たち
教育委員会は「不登校・学びの格差・国際交流について考えよう」がテーマ。学校以外の場所で、だれでも相談できる窓口を設ける、無料か安価で利用できる自習スペースを確保する、民間フリースペースに対する支援を行い、登校サポートセンターや通級指導室の周知に努める、学習支援の制度を高校生まで拡充し、通いたい学習塾の授業料や交通費に充当できるようあらたな施策を創設する、国際交流の経験者による発表の場や、経験者に相談できる場所を設置する、などを意見書にまとめた。
人権委員会は「バーチャルでもリアルでも、みんなの人権を大切に!」がテーマ。LGBTQの理解のために、男女の区別なく着られる多様なデザインの制服を作る、定期的な学びの場を設け、みんなの理解を深めていく、「みんなのトイレ」など、だれでも使用できるスペースの整備を進める、ネットリテラシーについては、小学生のころから学校で保護者とともに誹謗中傷をしないための学びができるようにする、幼い子どもの教育のため、保護者がネットリテラシーを理解する、外国人差別をなくすために、文化を知って偏見をなくす交流の場を設ける、などをまとめた。
若者の社会参画委員会は「政治は身近なもの!未来をつくるのは私たち」がテーマ。大人になって困らないよう、学校の課外授業などで事前に政治について学習できる機会を設ける、議員による出前授業や政治のイメージを持ちやすくする模擬投票などをする、SNSを利用して政治を身近にするため、選挙に関する言葉などを盛り込んだ議長の猫耳ラインスタンプを作成する、高校生が社会にかかわることができるよう、気軽に集まりやすい場所(駅に近いセルフカフェなど)をつくる、などをまとめた。
三つの意見書は本会議で採決し、いずれも賛成多数で可決され、小林由花議長から、市議会の石川善己議長に手渡された。
市議と一緒に記念撮影する高校生議員たち