食すと死に至ることもある『麻痺性貝毒』とは? 外見から見極めることは不可能
2024年6月3日、阿南市椿泊湾の天然ガキから基準値を超える麻痺性貝毒が検出されました(阿南市椿泊湾のカキから貝毒 県が二枚貝の採取と出荷の自主規制を呼びかけ【徳島】-Yahoo!ニュース)。この記事では麻痺性貝毒についてご紹介します。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
麻痺性貝毒とは
麻痺性貝毒は主に二枚貝で発生する毒で、原因は有毒プランクトンとされてます。貝類が毒性のプランクトンを食べることにより、毒が中腸腺に蓄積、毒化するのです。
死に至る場合も
毒の種類はサキシトキンやネオサキシトキンが知られています。主な中毒症状はフグ毒に似ており、摂食すると30分程で、軽い麻痺、次第に全身が痺れ、最悪の場合死に至るようです。
この毒は加熱しても無毒化されないことから、生貝はもちろんのこと、加熱料理した貝でも中毒を引き起こすことを忘れないようにしましょう。
ホヤからも検出実績あり
麻痺性貝毒の発生はアサリ、カキ、ホタテガイ等の二枚貝でよく見られますが、輸入品の巻貝からも検出されたことがあるようです。この他にもホヤやトゲクリガニからも麻痺性貝毒が検出されたことがあります。
ホヤに関しては、去年5月22日に雄勝湾のホヤから基準値を上回る麻痺性貝毒が検出されたことから出荷が規制されました(宮城県雄勝湾のホヤ まひ性貝毒検出で出荷規制-khb東日本放送)。
麻痺性貝毒の規制基準
日本では1970年代の後半に東北を中心とした大規模な中毒が発生したことから麻痺性貝毒の基準値が設けられました。
麻痺性貝毒の基準値は可食部あたり4MU(マウスユニット)/グラムで、これを上回ると今回のカキのように出荷規制されてしまうのです。なお、麻痺性貝毒の場合、1マウスユニットは体重20グラムのマウスを15分で死亡させる毒量とされています。
外見から見分けるのは不可能
麻痺性貝毒を持った貝を外見から判断することは残念ながら不可能です。また、麻痺性貝毒は加熱しても無毒化しないことから、摂食しないことが望まれています。
そのため、日本では定期的に有毒プランクトンの監視及び、重要貝類(アサリやホタテガイなど)の検査を行っています。数値の測定の結果、4マウスユニット/グラムを超えたものは出荷が規制されるようです。
我々が普段、安全な貝を食べることができるのは有毒プランクトンや重要貝類のモニタリングが行われているからなのでした。そのため、基準値を超えてしまうと今回のように出荷規制されてしまうのです。
<前田/サカナト編集部>