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「有給という概念が存在しない」芸妓になって、できなくなったこと3選【さっぽろ芸妓日記vol.22】

Sitakke

Sitakke

札幌で芸妓をしております、「こと代」と申します。 「芸妓」といえば、京都のイメージが強いと思います。
しかし北海道にも開拓期から道内各地に花柳界がございました。

現在は札幌のみになってしまいましたが、「さっぽろ 名妓連」には11名の芸者衆が所属し、毎日お稽古、お座敷などで活動しております。

連載「さっぽろ芸妓日記」では、札幌の花柳界の歴史や 文化などをご紹介していきたいと思います。お付き合いのほど、どうぞ宜しくお願いいたします!

前回は「芸妓になって、できるようになったこと」についてお話させていただきました。
今回は反対に、残念ながら「できなくなったこと」をいくつかご紹介しようと思います!

芸妓になって、できなくなったこと①常に同じヘアスタイル

こちらは以前【芸妓さんの知られざる”裏側”…!美しい日本髪を保つための努力とは…】の記事でご紹介したのですが、日本髪かつらや洋髪の関係で、髪の長さを一定にキープしなければなりません。

長すぎても短すぎてもだめなのです。
髪色も、黒色一択ですね。特にお母さんやお姐さんから指示があったわけではありませんが、暗黙の了解で皆さん黒髪にしています。

私は過去に一度髪色を変えたことがあるのですが、人生で後にも先にもおそらく一度きりでしょう。でも、個人的にも黒髪がしっくりくるので、今のスタイルが気に入っています。

芸妓になって、できなくなったこと②爪のお洒落ができない

三味線のお稽古があるので、爪は常にギリギリまで短く切った状態にしておきます。

お仕事があるときは禁止ですが、爪に色があると気分が上がるので、連休になると自分でマニキュアを塗って束の間のお洒落を楽しんだりしていますよ。(すぐ落とすことになるんですけどね…。)

三味線の発表会にて。向かって左がこと代、隣は地方の三子姐さんです。

芸妓になって、できなくなったこと③有給申請ができなくなった!

私たちは“個人事業主”なので、福利厚生が一切ありません。ですので有給という概念が存在しないのです。

旅行が趣味だった社会人時代は、お休みをとって息抜きをしに行く!みたいなことをよくやっていたのですが、この世界に入ってからはそれが簡単にできなくなりました。

約9年前の留学時代、ドイツ旅行中のわたし。ヘアスタイルもファッションも思いっきり楽しんでいました

入門してから初めの3年くらいまでは、さっぽろ芸妓育成振興会で育成していただいてる身でもありますので、昼間はお稽古、夜はお座敷という日々をただひたすらこなします。

ゴールデンウィークやお盆、お正月などは暦通り休みではありますが、お稽古やお座敷が突発的に入ったりするので油断はできません。

どうしても…!というときは、前もってお母さんやお姐さんにお許しをしっかりいただいてからお休みを頂戴することになっています。(これがまた毎度緊張するんですよね…笑)

個人的には以前留学していたアイルランドにまた遊びに行くのが夢です。
楽しく遊ぶためにも、しっかり働かねば。ですね!

前回の記事でご紹介した通り、「芸妓」という職業は様々な規制はありますが、それ以上に楽しいことの多い魅力的なお仕事です。

これからもその魅力を発信し続けていきますので、お付き合いのほどどうぞ宜しくお願いいたします!

***

連載「さっぽろ芸妓日記」

文:さっぽろ名妓連 こと代
編集:Sitakke編集部IKU

<「こと代」プロフィール>
札幌生まれ、札幌育ち。2018年にお披露目して以降、現在も最北の花柳界「さっぽろ 名妓連」で芸妓として活動中。開拓期から続く北海道の花柳界文化をたくさんの方に 知っていただくべく日々奮闘中。飼い猫達と遊ぶことが日々の癒し。

※掲載の内容は記事執筆時(2025年5月)の情報に基づきます

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