【2025年参議院選挙まとめ】仕組み・注目点・過去の傾向と全体像をわかりやすく解説
2025年7月、3年に一度の参議院選挙が実施されます。本記事では、参院選の基本構造や今回の特徴、過去の傾向を総ざらいし、次の記事で扱う各論(争点・制度・政策)に入る前の全体像を解説します。
1. 参議院選挙とは?
衆議院との違いと役割
日本の国会は、衆議院と参議院の二つの議院から成る「二院制」を採用しています。二院制は、多様な意見を反映し、慎重な議論を可能にする仕組みです。
その中で参議院は、衆議院と異なる任期や改選方法を持ちながら、重要な役割を果たしています。ここでは、参議院の特徴や衆議院との違いをわかりやすく解説します。
二院制における参議院の位置づけ
日本の国会は、衆議院と参議院の二つの議院から成る「二院制」を採用しています。この制度には、さまざまな意見を広く反映できる、一つの議院の判断をもう一方が見直すことで慎重な審議ができる、一方の議院の行き過ぎを抑えたり足りない部分を補完したりできる、などの利点があります。
こうした中で参議院は、衆議院と同じく国会を構成する議院という立ち位置ですが、任期が6年で3年ごとに半数を選び直すなど、衆議院とは異なる制度設計により、安定した視点で政治に関わる役割を担っているのです。
任期6年・3年ごとの半数改選という特徴
参議院議員の任期は6年と定められており、3年ごとにその半数が改選されます。衆議院と異なり、参議院には解散の制度がないため、当選すれば6年間は議員としての地位が保証されるということです。
この長期的な視点が可能な点から、参議院は「熟慮の府」とも呼ばれています。また、参院選では複数人が当選する選挙区があるため、少数派や無所属の候補者も当選しやすく、比例代表では個人名での得票が重視されるなど、候補者個人への評価が直結しやすい制度となっています。
政党の影響力が強く現れる衆院選とは異なり、参院選では候補者一人ひとりを丁寧に見極めて投票することが重要です。
衆院選と異なる参院選の意義とは?
衆議院は任期4年ですが、実際には任期満了前に解散されることが多く、選挙の頻度も高いため、より国民の直近の意見を反映しやすい仕組みです。そのため、予算の決定や首相の選出など、国の意思決定においては衆議院の意見が優先される「衆議院の優越」が憲法で認められています。
一方、解散のない参議院は、落ち着いて政策を再検討する場としての役割が期待されており、「良識の府」「再考の府」とも呼ばれます。3年ごとに半数を選び直す仕組みは、政権に対する「中間テスト」としての意味合いもあるのです。
2. 2025年参院選の注目点
2025年7月に行われる参議院選挙は、政権の安定や国会の勢力バランスを左右する重要な選挙です。与党と野党の勢力構図に加え、新党や地方政党の動きも注目でしょう。
また、若年層や無党派層の投票行動が選挙結果に大きく影響を与えるため、多方面から注目されています。ここでは、2025年参院選の主なポイントをわかりやすく解説します。
与党と野党の勢力構図と改選数のバランス
2025年7月20日に参議院選挙が予定されており、248議席のうち半数の124議席が改選されます。与党の自民・公明は参議院で過半数の維持が課題です。
野党は立憲民主党や国民民主党が候補者の調整を進め、戦略を練っています。時事通信が実施した世論調査によると、2025年5月時点の石破政権の内閣支持率は20.9%であり、今回の選挙結果が今後に大きく影響していくことでしょう。
新党や地方政党の動きにも注目
2025年の参議院選挙では、既存の政党に加え、新たな政治勢力の動きが注目されています。AIエンジニアの安野貴博氏が設立した新党「チームみらい」や、石丸伸二氏が立ち上げた「再生の道」などの動きには、今後も目が離せません。
これらの新党や地方政党の登場は、既存の政治構造にとって新たな選択肢となり、有権者の関心を集めています。
若年層・無党派層の投票行動がカギ
選挙のたびに話題になるのが、若年層の投票率の低さです。2024年の衆議院選挙では、全体の投票率が53.85%だったのに対し、10代は39.43%、20代は34.62%と、30代未満の投票率は依然として低調でした。
若年層に限らず、支持政党を持たない「無党派層」なども存在し、彼らの投票行動が選挙の結果を大きく左右する可能性が考えられます。
政治は未来をつくるものです。未来には、今の若者が社会の中心となって生きる時代が訪れるでしょう。若者や無党派層が、自分の意見を社会に反映できるチャンスとして「選挙」を認識し、投票行動に至るかが、これからの日本を左右する力になると考えられます。
3. 過去の参院選と投票率の推移
参議院選挙の結果や投票率の推移は、国政の動向や有権者の政治参加の姿を映し出したものです。特に、近年は投票率の低下が問題視され、若年層の関心と参加が課題となっています。
ここでは、2022年の参院選結果を振り返りつつ、投票率の現状と背景を探り、2025年選挙が投票率回復の契機となる可能性について考察します。
2022年選挙結果の振り返り
2022年の参院選では、自民・公明が過半数を維持し、改憲勢力も全体の3分の2となりました。一方で、立憲民主党は選挙区・比例ともに苦戦し、維新も狙っていた選挙区で勝てず、国民民主党は議席を減らしつつも得票率を伸ばしています。
注目された社民・NHK党・参政党はいずれも1議席を獲得し、社民党は党存続の危機を乗り越える形となりました。
出典:第26回参議院選挙[参院選2022]|選挙ドットコム
近年の投票率低下とその背景
近年、衆議院・参議院の選挙ともに投票率が下がり続けています。特に若い世代の投票率が低いことが大きな課題です。若者の政治への関心が薄く、日常生活の中で政治の話題に触れる機会が少ないことが背景にあると考えられます。
また、若者が選挙に行かない理由としては、「投票所に行くのが面倒」「どの候補者を選べばいいか分からない」「自分が投票しても政治は変わらない」といった声が挙がりました。
さらに、引っ越しなどで住民票を移していないことから投票に行けない人も多く、若者にとって投票権の価値が下がっていることも問題となっています。
2025年は投票率回復の契機になるか
若年層の投票率はこれまで低迷しており、18歳選挙権導入後も大きな回復には至っていません。
こうした中で、2025年の参議院選挙は若者をはじめとした有権者の参加を促すための新たな取り組みが期待されます。今後の情報発信や投票環境の改善が、どのように投票率に影響を与えるかが注目されます。
4. 今後のポイントと次の記事への導線
参議院選挙に関する詳しい争点や制度、各党の政策については、別の記事でさらにわかりやすく解説しています。投票先を決める際の参考として、ぜひあわせてご覧ください。
ここでは、投票の際に知っておきたい基本的な視点や考え方を紹介し、自分にとって納得できる一票を投じるためのポイントをお伝えします。
争点・制度・政策など“具体的な中身”は別記事で解説
参議院選挙の争点や選挙制度、各党の政策など、より詳しい内容については別の記事でわかりやすく解説していきます。気になる方は、そちらもぜひご覧ください。
投票先を決める前に知っておきたい基本的な視点
投票は、正解のない大切な選択です。自分が納得できる一票を投じることこそが、何より重要だと言えるでしょう。
そのためにまず考えたいのは、「自分が何を大事にしているか」ということです。代表を選ぶ選挙であるため、例えば「年代や性別が近い」「好きなことが似ている」「価値観や願いが似ている」など、共通点のある候補者や政党を探してみましょう。
政策面では、「自分の生活や将来にとって必要だと思うことを実現してくれそうか」を基準に考えるのも大切です。また、その政策が実際に実現可能かどうかや、これまでの実績も確認するようにしましょう。
政治参加の意味と1票の重みを考える
選挙権が18歳まで引き下げられ、高校生にとっても選挙が身近になりました。その年の参院選では、10代のおよそ半数が投票に参加しましたが、若い世代の投票率は依然低い傾向です。
また、政治家や政党も、若者の声にもっと耳を傾ける必要があります。若者の意思が政策に反映されれば、将来的な投票率向上にもつながるでしょう。現代は、多様なメディアが情報を広める時代です。
だからこそ、有権者は情報を見極め、自分の価値観で判断して投票に臨むことが重要です。1票には自分の意思を社会に伝える大きな意味があり、その重みを理解することが、政治参加の第一歩となるでしょう。
まとめ
参院選は、単なる「中間選挙」ではなく、国の方向性や民意を問う重要な機会です。2025年は、経済や社会保障、外交安全保障など多くのテーマが重なる年でもあります。
今回の記事では、参議院選挙の基本構造や全体像を整理しました。まずは本記事で基本をおさえておきましょう。争点や制度の詳細については、今後の解説記事で順次深掘りしていく予定です。