日本橋の景色が変わる!首都高の地下化と日本橋川を中心とした再開発、「日本橋リバーウォーク」が創る未来の東京とは?
江戸時代の五街道の起点「日本橋」。そんな日本橋川を中心とする周辺一帯のエリア「日本橋リバーウォーク」では、複数の大規模再開発事業が進行中で、日本橋川沿いのエリアマネジメント法人、5つの再開発を推進する事業者、首都高速道路により、再開発事業と合わせて首都高速道路の地下化が進められています。
計画が進めば、東京駅東側エリアが一新! 日本橋川を中心とした新たな親水空間と街が誕生します。
国の指定重要文化財「日本橋」と街の歴史
「日本橋」は1603年、徳川家康の江戸幕府開府と同時に完成したと伝えられています。翌年には、東海道・中仙道・甲州道中・奥州道中・日光道中の「五街道」の起点に。当時から物流と文化を支えてきた日本橋川とともに、日本橋は街のシンボルとして親しまれてきました。
しかし、1960年代に入り、東京オリンピック開催に向けてインフラを整備するなかで、日本橋の真上を首都高速道路が通る事態に。大きく景観が損なわれました。また、1990年代にバブルが崩壊すると「東急日本橋店」の閉店など、街の賑わいにも陰りが見えてくるようになりました。
かつての繁栄を取り戻すための「日本橋再生計画」
2000年代には「残しながら、蘇らせながら、創っていく」をコンセプトとした「日本橋再生計画」が始動。2004年に「COREDO日本橋」が開業し、翌2005年には「日本橋三井タワー」が竣工。2010年に「COREDO室町1」が開業し、2013年に「日本橋アステラス三井ビルディング」が竣工しました。そして、2014年に「COREDO室町2・3」が開業、同年に「福徳神社」、2016年に「福徳の森」が完成、2019年には「COREDO室町テラス」が開業するなど、数多くの商業施設やビルが誕生しています。
現在の「日本橋」の課題とこれから
首都高速道路の開通から60年以上が経過した現在、「日本橋」には「老朽化した首都高速道路の更新」「東京オリンピック前の景観を取り戻す」という2つの課題があります。とくに後者は「空が見える日本橋を取り戻したい」という市民による署名が約44万人分集まり、議論や検証が続けられてきました。
こうした背景をもとに、インフラ整備と街づくりの連携を大きな柱とする「日本橋リバーウォーク」構想が生まれました。再開発と並行し、建物の地下にトンネルを整備する「首都高日本橋区間地下化事業」が進められることに。地下トンネルの開通は2035年度を予定しており、2040年頃に高架撤去が完了となる見込みです。
「日本橋リバーウォーク」とは?
「日本橋リバーウォーク」は、川幅を含めて幅約100メートル・長さ1,200メートルの広大な親水空間と川沿い歩行者ネットワークを中心として、5つの再開発区域(八重洲一丁目北地区・日本橋室町一丁目地区・日本橋一丁目東地区・日本橋一丁目1・2番地区・日本橋一丁目中地区)とその周辺一帯を指すエリア名称です。前述の高架撤去が完了すれば、一帯は川沿いの景観と自然を楽しむことができる空間に生まれ変わります。
官民地域一体の取り組みに
首都高速道路日本橋区間地下化事業と5つの再開発事業が互いに連携し、空と川に開かれた街づくりを国・東京都・中央区・首都高・再開発事業者を始めとする民間事業者、そして地域一体で進めています。5つの開発区域を合わせた面積は約11ヘクタールとなり、広大な親水空間を創り出すことで「水と緑 広がる街」「東京の新しい顔」「創る人 支える街」という3つのテーマの実現を目指すとしています。
水と緑 広がる街
街が川に向かって開かれた、人・川・街が一体の都市空間が誕生。親水空間や緑地環境を整備し、自然と共生できる「豊かな水辺」を創り上げます。
東京の新しい顔に
東京駅東側の一体性を強化することで、都市機能を大きく向上。商業、オフィス、居住環境をより充実させ、ラグジュアリーホテルやサービスアパートメント、ホールなど都市機能を高めることで、「職住近接の街」からさらに一歩進み、国際的なMICE(さまざまなビジネスイベントの総称)にもふさわしい「ビジネスの街」へ。水辺の魅力を活かし、また、観光面でも世界的な「水都」を目指します。
創る人 支える街
金融・ライフサイエンス・宇宙・食など、さまざまな領域の挑戦者が集うエリアとして成長してきたアリアとして、イノベーションの連鎖が絶えることのないよう、より発展させていきます。
「VISTA」で未来の街を体験
このエリアの未来像を可視化する拠点として、首都高速道路と関連企業が運営するプレゼンテーション施設「VISTA」も設立されました。映像や模型を通じて再開発の全貌や地下化事業をわかりやすく紹介。都市のビジョンを体感できる場所として、訪問者の期待が高まっています。
再開発事業の数々とともに、地下トンネルの開通~高架橋の撤去が完了すれば、日本橋は空と川がつながる開放感あふれる街に生まれ変わります。「水都」としての東京を想像しながら、完成のときまで見守っていきましょう。
(注釈のない画像:三井不動産 ※CGおよびパースはすべてイメージ)
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