「小栗の功績広めたい」 大河ドラマに向け機運醸成
2027年に放送されるNHK大河ドラマ「逆賊の幕臣」の主人公に決定している小栗上野介忠順(1827-68)。横須賀製鉄所の建設に尽力するなど、近代日本の礎を築いた偉人として再評価の機運が高まる中、市内ではその功績や人物像をより深く知ろうとする動きが活発化している。
「要職に就き功績を残した小栗だが、すごく短気な人物だった」。5月10日に横須賀市大滝町で開かれた「小栗上野介について語る」と題した講演会で横須賀開国史研究会の山本詔一会長がそう話すと、会場に集まった約40人の参加者は興味深そうに耳を傾けた。
小栗は1860年に日米修好通商条約批准書交換のため使節団として渡米。帰国後は外国奉行や勘定奉行などの要職を歴任し、横須賀製鉄所建設に携わった。
軍政の改革やフランス語学校の設立など日本の近代化にも大きく貢献したが、大政奉還後は抗戦の構えを示し、失脚。隠居先の上野国権田村(現群馬県倉渕町)でとらえられ裁判を経ずに処刑され、明治新政府の成立後は「逆賊」のレッテルを貼られた。
山本会長は「勝海舟や坂本龍馬、比較的著名な偉人に比べ、日の目を浴びてこなかったが、少しずつ見方が変わってきた」と期待を込める。
講演会は緑ヶ丘学院後援会の主催。教育機関の後援会として、小栗のような市にゆかりのある歴史の普及や同会の活動を知ってもらおうと昨年から実施している。