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「EASLのボールが大好きになった」3Pで“Xmas弾”6発を沈めた岸本隆一、最速の「ファイナル4」進出決定に貢献 琉球ゴールデンキングス

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最終盤に勝負を決める3Pシュートを沈め、両手を広げる岸本。後方の客席も大興奮
試合後、クリスマスプレゼントを手に、コート中央でファンの子どもを迎える岸本隆一=12月25日、沖縄アリーナ(長嶺真輝撮影)

クリスマスの夜。“ミスターキングス”こと岸本隆一が千両役者ぶりを発揮した。 東アジアスーパーリーグ(EASL)グループBの琉球ゴールデンキングスは25日、元NBAスターのジェレミー・リンらを擁するニュータイペイキングス(チャイニーズタイペイ、P. LEAGUE+)と沖縄アリーナで対戦。国境を越えた“キングスダービー”を82ー74で勝利して無傷の4連勝となり、5チームが名を連ねるグループBで首位を維持している。 この結果を受け、キングスは1月にあるグループステージのアウェー2試合を残し、参加全10チーム中、最速でプレーオフの「ファイナル4」進出を確定させた。Bリーグを含めて厳しいスケジュールが組まれている中、早々にプレーオフ行きの切符を掴んだ意義は極めて大きい。100万ドル(約1億5千万円)の優勝賞金獲得に向けても、ぐっと前進した。 大きな一勝を手繰り寄せる原動力となったのが、岸本だ。代名詞である3Pシュートを7本中6本(成功率85.7%)沈め、チーム2番目の20得点。負傷明けで「状態はまだ100%じゃない」と言うが、落ち着いたゲームメイクと高い得点力でチームを力強くけん引した。

残り8秒で勝負決める3P「みんなの思いが乗り移った」

左45度から3Pシュートを放つ岸本

先発でコートに立った岸本。開始約2分半、右45度からジャック・クーリーのスクリーンを使ってペイントアタックすると見せかけ、大股のステップバックから1本目の3Pシュートを決める。その後も右45度、トップの位置から立て続けに長距離砲を沈め、第1Qでいきなり11得点を挙げた。 クーリーやアレックス・カークもインサイドで奮闘し、試合は序盤からキングスが先行する展開となった。しかし、ニュータイペイキングスに素早いトランジションやリンを起点としたオフェンスで得点を重ねられ、第4Q序盤に一時逆転を許す。それでも高強度のディフェンスで我慢を続け、ケヴェ・アルマや脇真大らの活躍で再び前に出た。 接戦の幕を引いたのも、岸本だった。 試合時間残り30秒を切ってリードは3点、キングスボール。トップの高い位置でボールを持った岸本のマークマンに対し、クーリーがスクリーンを掛けに行く。それを利用して左側をドライブした岸本がマークを振り切り、残り8秒で左45度から3Pシュートを放った。 ブロックを交わして大きな弧を描いたボールの軌道は、若干左にズレ気味。大きく弾かれるかと思われたが、リングの根っこ部分に詰まったように小さく跳ね、意思を持ったかのようにぬるっとリングに吸い込まれた。両手を広げ、笑顔を見せる岸本。相手がタイムアウトを請求し、そのままベンチに戻ると、伊藤達哉や小野寺祥太らが両手を合わせ、拝むようなジェスチャーで岸本を迎えた。

会見でも柔らかい笑みを浮かべ、一連のシーンを振り返った。 「正直、もう1回狙えって言われてもできるようなシュートではなかったと思います。みんなの思いが乗り移って、ああいう軌道になったのかなと捉えています」 EASLではスポルティングのボールが公式球として採用されている。Bリーグはモルテンのため、感覚の違いを口にするBリーガーも多い。岸本も「EASLのボールに対して、僕はずっといい感触がなく、あまり『シュートが入ったな』という確信を持てない中でプレーしてることが多かったです」と明かす。この一戦の前までのEASL3試合における岸本の3Pシュート成功率は29.1%で、確かに高確率とは言えない数字だった。 しかし、この試合では圧巻の80%超え。6本目を念頭に「最後にああいう跳ね方をして入ったのを見て、今日で一気に(EASLのボールが)大好きになりました」と言い、取材陣から笑いを誘った。 クリスマスゲームとなったこの日は、7,508人の観客が来場した。「特別な日に試合ができることを幸せに思います」と話し、プレーする喜びも改めて実感したよう。「観ている方にとって、クリスマスが印象的な日になるような試合になったらな、という思いを持って試合をしていたので、そうなってくれていたらうれしいです」と続けた。

ジェレミー・リン(左)とマッチアップするルーキーの脇真大

岸本は12月8日にホーム戦で左足首を負傷し、その後4試合を欠場。12月21、22の両日にあったファイティングイーグルス名古屋とのアウェー2連戦で復帰し、いずれも20分以上して出場して二桁得点を記録した。復帰3戦目となったニュータイペイキングス戦でも21分46秒コートに立ったが、まだ「100%の状態じゃない」と言う。 ただ、ネガティブな要素だけ、という訳でもないようだ。 「100%じゃない分、いろいろ考えて、自分ができる範囲でチームに影響を与えられるようにしたい、ということは怪我をしている期間から思っていました。今のところ、それがいい方向に行っています。シュートセレクション一つにしても、いつもならタフでもシュートに行ってたものが、より正しいセレクションをチョイスしようというマインドになっています。ただ、試合によってはタフなシチュエーションでも決め切らなきゃいけない場面が出てくるので、もっとコンディションを上げていきたいです」 ハンドリング能力や間合いの取り方に長けているため、ピックプレーやペイントアタックから相手ディフェンスに「ズレ」を生み出せる岸本。まだ万全ではないとはいえ、その能力はニュータイペイキングスに対しても十分に脅威となっていた。 以下は、岸本に対する印象を聞かれた際のリンのコメントだ。 「岸本選手は琉球のみならず、日本を代表する選手だと感じました。特別なアイデアやパスのほか、その動きにはスネークのような、忍び寄る影のような部分も感じています。岸本選手のことは以前も対戦して知っていましたが、今日も止めることが難しかったです。素晴らしい選手だと思います」 多少のリップサービスがあったとしても、世界最高峰リーグのNBAで“リンサニティ”と呼ばれる熱狂を巻き起こしたリンに、ここまでの賞賛コメントを送られた岸本。見事という他にない活躍だった。

「過酷日程の1月」を前にプレーオフ進出を決めた意義は…

冒頭でも記したが、BリーグとEASLの日程を同時並行でこなしているキングスにとって、ファイナル4進出を年内で決められた意義は極めて大きい。理由は大きく二つある。 一つ目は、グループステージの残り2試合がアウェー戦であること。キングスは今後、1月8日に台湾でニュータイペイキングス、1月22日にフィリピンでメラルコボルツと対戦するが、海外移動は身体的負担が大きい。会場の雰囲気も国・地域で異なる分、メンタル面のコントロールも強く求められるため、勝利を掴む上でのハードルがBリーグのアウェー戦に比べてさらに多い印象だ。 もう一つは過酷な試合日程である。1月のEASLアウェー戦はいずれも水曜ゲームだが、その前後にはほぼBリーグの週末2連戦が組まれている。現在、Bリーグでは17勝7敗と西地区首位に立っているものの、西地区は8チーム中5チームが勝利5割以上となっており、余裕はない。負傷明けの選手も多く、コンディション調整も喫緊の課題だ。

桶谷大HCも大きな意義を感じている

桶谷大HCも、このタイミングでファイナル4進出を決めたことに対して、大きな意義を感じている。 「ホームコートアドバンテージがある中で、是が非でも勝ちたいゲームでした。EASLは勝っていかないと次に続かない大会なので、そういった意味でも本当に勝てて良かったです。グループステージではアウェーであと2試合ありますが、スケジュールをコントロールしやすくなったな、というのは感じています。いろいろ試すこともできます」 ファイナル4進出の条件となるグループステージ2位以上は確定させたが、まだ順位は決まっていない。それを踏まえ、指揮官は「ここで(ファイナル4進出を)決めたのは大きいですが、予選ラウンドの1位はまだ決まっていないので、残りの試合をちゃんと勝ちに行くというのはもちろんです」と続けた。 開催場所は未発表だが、シーズン王者を決めるEASLのファイナル4は3月7〜9日に行われる。ニュータイペイキングス戦では、脳震盪と診断されていた伊藤達哉と平良彰吾も復帰し、久しぶりにフルメンバーが揃ったキングス。二つのリーグでグループ(地区)首位をひた走り、成績は好調ではあるが、初優勝が掛かる大一番に向けてさらなる進化を遂げていきたい。

最終盤に勝負を決める3Pシュートを沈め、両手を広げる岸本。後方の客席も大興奮

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