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「気候危機に関する気象予報士​・​気象キャスター共同声明」公開 44名が賛同し気候危機解決への架け橋へ

ELEMINIST

全国で活躍する気象予報士・気象キャスターが立ち上がり、6月5日の“世界環境デー ”に「気候危機に関する気象予報士​・​気象キャスター共同声明」を発表。一般社団法人Media is Hopeがこの動きに賛同し、国内外の専門家やメディアとの連携などで支援をしていく方針を発表した。

全国で活躍する気象予報士・気象キャスターが共同声明

気候変動が深刻化するなか、生活者にとって身近な天気予報や報道は、日々体感している異常気象の原因について自覚する大きなきっかけ・チャンスになる。

そこで、全国で活躍する気象予報士・気象キャスターが立ち上がり「気候危機に関する気象予報士​・​気象キャスター共同声明」を発表した。

広く世のなかに気象予報士​・気象キャスターの想いを知ってもらうと同時に、気候変動解決のために「気象と気候変動を関連付けた発信」を加速していくとしている。

気候変動を解決できる社会を実現するために、気候変動報道強化につながるさまざまなサポートを行う非営利型一般社団法人Media is Hopeは、この動きに賛同し、引き続き国内外の専門家やメディアとの連携などで支援をしていく方針を発表した。

共同声明発表までの背景

5/22(水)に一般社団法人Media is Hopeが主催者となった、メディア&気象予報士向け勉強会「『気象と気候変動を関連づけた発信』の現在地 〜気象研究所の最新動向や海外先行事例〜」が行われた。150名以上から申込が集まり、北海道から沖縄まで全国各地から多くのメディア関係者や気象予報士が参加した。

<開催概要>
主催:気象キャスター呼びかけ人/一般社団法人Media is Hope
後援:国連広報センター/国際連合大学
登壇:国連広報センター 所長 根本かおる氏、東京大学 未来ビジョン研究センター教授 江守正多氏、気象庁気象研究所 主任研究官 川瀬宏明氏、Covering Climate Now 共同設立者 マーク・ハーツガード氏、 気象キャスター呼びかけ人 井田 寛子氏

勉強会では、IPCC最新報告書にて、気候変動の影響で災害が激甚化していることや、人為的影響に「疑う余地がない」ことが科学的に証明されるようになってきていることを受け、IPCC執筆者や気象庁気象研究所に最新動向を聞き、異常気象や猛暑が続くなか、背景にある気候変動に触れることが可能になってきた現状を伝え「気象と気候変動を関連づけた報道」の海外の先行事例と日本での示唆を紹介した。

発表した、気象予報士・気象キャスター対象のアンケートで「130名の回答者のうち99%の人が気候変動問題に関心を持ち、90%以上が気象情報の中で気候変動に対する危機感を持っている」との結果も。

気候変動の解決への架け橋に「世界環境デー」に共同声明発表

全国で活躍する気象予報士​・​気象キャスターによる共同声明を6/5(水)記者会見で発表。気象予報士・気象キャスターの「気候変動の解決に向けて、その架け橋となりたい」という思いから立ち上がった今回の取り組み。

2024年6月5日の“世界環境デー”に合わせ、全国の気象予報士・気象キャスターにて「共同声明」を国連大学で発表。声明に賛同する44名の気象予報士・気象キャスターとメディア関係者との連帯の意が表明された。

<記者会見概要>
主催:気象キャスター呼びかけ人
協力:国連広報センター/国連大学/気象キャスターネットワーク/一般社団法人Media is Hope

【気候危機に関する気象予報士​・​気象キャスター共同声明】全文掲載

以下が、今回発表された共同声明の全文だ。

「日常的な気象と気候変動を関連づけた発信」で命と未来をつなぐ。
~今こそ気象予報士​・気象キャスターが気候危機解決への架け橋に~

【共同声明メッセージ】

気象予報士・気象キャスターの多くは気候変動に危機感を持っています。天気予報の時間枠に限らず、私たちは「日常的な気象と気候変動を関連付けた発信」を目指し、気候変動問題解決に向けた命と未来をつなぐ行動を加速させます。専門家や各メディアとの連携、協力を強化し、気象予報士・気象キャスターが気候危機解決への架け橋になります。

■ 問題意識の背景、科学的根拠を示すことが可能になった現在

地球温暖化による異常気象は、猛暑、豪雨、洪水、干ばつなど、すでに世界各地で甚大な被害をもたらしており、私たちの食や農、生活を脅かす深刻な問題となっている。IPCC第6次評価報告書(※1)では「人間の影響が温暖化させてきたことは疑う余地がない」と明記され、極端な気象に対して人間活動の影響が高い確信度で評価された。近年、気象研究所などイベント・アトリビューション(※2)の研究により、特定の気象や事象と気候変動の因果関係が明らかにされるようになった。

■ 情報を届けるメディアの重要性

米イエール大学の調査(※3)によると、世界のおよそ70%の人々が、気候変動を解決する方法について情報を求めており、日本では気候変動が「非常に重要/極めて重要」と答えた人は55%。一方「重要ではない」と答えた人はわずか12%だった。

別の調査(※4)では「脱炭素」に向けて行動している人は33.6%に留まり、関心はあるが行動に至っていない状態が続いている。また、内閣府「気候変動に関する世論調査」2023(※5)では気候変動の影響に関する情報について、9割以上の人がテレビやラジオから情報を取得しており、メディアで正しく情報を伝えることの重要性が伺える。

■ 気象予報士・気象キャスターが伝えることの意義と課題

気象予報士・気象キャスターは視聴者/読者にとって身近な存在であり、日常的に情報を伝えられる立場にある。「誰に呼びかけられると気候危機への関心が高まるか」との調査(※6)で、科学者や専門機関に次いで気象キャスターの評価が高く、広く社会に共有する重要な役割を担っている。

全国で活躍する気象予報士・気象キャスター130人にアンケートを行ったところ「90%以上の人が気象情報の中で気候変動に対する危機感を持っている」「80%以上の人が気象情報の中で気候変動についてもっと伝えるべきだ」と答えた。一方で、気候変動を伝える上で難しい理由については「放送時間が限られる」「専門的で難しい」「視聴者/読者や社内の関心がない」等の課題も見えてきた。

■ メディアとの連携など今後の取り組み

国連広報センターとメディアによる気候キャンペーン「1.5°Cの約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」は3年目に入り、全国各地のテレビ/ラジオ/新聞/雑誌/オンラインメディアなど160社が参画している。

気候変動の自分事化と解決に向けた発信をしようとするメディアの動きに気象予報士・気象キャスターも賛同・連帯する。今後、放送枠の確保など課題解決のために、関心のあるメディア関係者からの提案を積極的に受け入れ、現場やニュースルーム全体での理解を広げる。また、国内外の専門家と情報連携し、ともに「気象と気候変動を関連づけた発信」に取り組み、一般の理解を深め気候危機の自分事化/行動変容に貢献する。

2024年6月5日 気象予報士・気象キャスター呼びかけ人、賛同人一同

※1 https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/IPCC_AR6_WGI_SPM_JP.pdf
※2 イベント・アトリビューション(EA)とは、ある年に起きた特定の異常天候や極端現象などの地域的気象イベントに関して人間活動の影響を評価する試みである(Christidis et al.2013)
※3 https://climatecommunication.yale.edu/wp-content/uploads/2023/11/international-public-opinion-climate-change-2023-appendix.pdf
※4 https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/108914/
※5 gairyaku.pdf(gov-online.go.jp)(2023)
※6 国連とメディアによる気候変動対策キャンペーン「1.5℃の約束」インパクト調査

【気候危機に関する気象予報士​・​気象キャスター共同声明】賛同人一覧

呼びかけ人・賛同人:
井田 寛子氏(気象キャスターネットワーク)
正木 明氏(朝日放送「 おはよう朝日です」)

賛同人:
近藤 肇氏(北海道放送 ウェザーセンター)
児玉 晃氏(北海道放送 ウェザーセンター)
伊藤 真梨子氏(北海道放送 ウェザーセンター)
菅井 貴子氏(北海道文化放送)
今野 桂吾氏(東北放送報道制作局tbc気象台)
斉田 季実治氏(NHK「ニュースウオッチ9」出演中)
片山 美紀氏(NHK「首都圏ネットワーク」出演中)
伊藤 みゆき氏(NHKラジオセンター)
福田 寛之氏(NHKラジオセンター)
寺川 奈津美氏(NHKラジオセンター)
南 利幸氏(南気象予報士事務所 代表取締役)
広瀬 駿氏(南気象予報士事務所)
渕岡 友美氏(南気象予報士事務所)
山神 明理氏(日本テレビ「Day Day.」出演中)
服部 由佳氏(日本テレビ「日テレNEWS24」「ストレイトニュース」)
森田 正光氏(TBS「Nスタ」出演中)
増田 雅昭氏(TBS「THE TIME」出演中)
國本 未華氏(TBS「Nスタ」出演中)
天達 武史氏(フジテレビ「めざまし8」出演中)
今村 涼子氏(テレビ朝日「スーパーJチャンネル」出演中)
水越 祐一氏(テレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」出演中)
河津 真人氏(ウェザーマップ)
東海林 克江氏(J-WAVE)
名倉 直美氏(気象キャスターネットワーク)
久能木 百香氏(気象予報士)
渡部 圭吾氏(静岡朝日テレビ「とびっきり!しずおか」)
寺尾 直樹氏(NHK名古屋「まるっと!」)
桜沢 信司氏(CBCテレビ「チャント!」)
福島 智之氏(東海テレビ「ニュースONE」)
吉田 ジョージ氏(東海テレビ「スイッチ!」)
長村 真里氏(北陸朝日放送「ふむふむ」)
蓬莱 大介氏(読売テレビ気象キャスター)
片平 敦氏(関西テレビ「newsランナー」)
塩見 泰子氏(南気象予報士事務所)
塚原 美緒氏(広島テレビ)
岩永 哲氏(中国放送ウェザーセンター)
中島 望氏(NHK岡山放送局)
石川 博康氏(山陰放送)
津村 研太氏(愛媛朝日テレビ)
吉竹 顕彰氏(NHK福岡ニュース「ロクいち!福岡」出演中)
浅川 かがり氏(鹿児島放送)
山崎 秀樹氏(日本気象予報士会)
合計44名

※個人連名の声明であり、媒体や所属団体は本声明に関係するものではない。

今後は互いの共有、連携を強化

気象予報士アンケートで見えてきた課題や悩みを解決していくために、まずは、気象予報士間で何ができるのかを共有したり勉強したりする場をつくっていくことを予定しているという。

そして、放送枠の確保など具体的な課題解決のために、関心のあるメディア関係者からの提案を積極的に受け入れ、連携していくことを目指す。

また、国内外の専門家と情報連携し、勉強会やイベントを開催するなど、ともに「気象と気候変動を関連づけた発信」に取り組みたいとしている。

気象キャスター呼びかけ人

「ニュースウオッチ9」(NHK)「あさチャン!」(TBS)などさまざまなテレビ番組で経験を持つ気象キャスター井田寛子氏や、1990年から30年以上に渡って朝日放送の朝のワイド番組「おはようご朝日です」にて天気予報を担当している正木明氏など、気候変動に関心の高い気象予報士・気象キャスターが中心に参画。気象キャスター呼びかけ人からの声かけにより「気候危機に関する気象予報士​・​気象キャスター共同声明」に44名の賛同者が集まった。

一般社団法人Media is Hope

気候変動を解決できる社会を実現するために、気候変動報道強化につながるさまざまなサポートを行う非営利型一般社団法人。「メディアをつくる側もえらぶ側もお互いに責任を持ち、公平で公正かつ自由なメディアと持続可能な社会の構築」をビジョンに掲げ、気候変動の本質的な解決を目指して、メディアや市民、企業やあらゆるステークホルダーが共創関係を築く架け橋となることを目指している。また、媒体や系列を超えたメディア連携プラットフォーム「気候メディアイニシアチブ」を運営している。

お問い合わせ先/一般社団法人Media is Hope
http://media-is-hope.org

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