【新NISA】必ず知っておきたい為替リスク。どこまで心配すべきかを小林亮平さんが解説
元銀行員で、現在はYouTubeやSNSで資産運用の入門知識を発信し続けている小林亮平さん。自作のイラストを駆使した丁寧な解説が好評です。その著書『イラストと図解で丸わかり!世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)では、新NISAに「なんとなく興味がある」「これを機にやってみたい」という方のための、新NISAの基本や上手な活用法を解説。今回はその本の中から、投資の基礎から始め方、銘柄選び、出口戦略まで、知識ゼロから新NISAを始めるためのポイントをご紹介します。
※本記事は小林亮平著の書籍『イラストと図解で丸わかり!世界一やさしい新NISAの始め方』から一部抜粋・編集しました。
全世界株式・米国株式への投資で大事な為替リスクとは?
さて、全世界株式と米国株式に投資するなら、為替リスクについてもかならず知っておきましょう。
全世界株式や米国株式のような海外への投資は、日本円と外国通貨を交換する際の為替レートが変動する為替リスクがあり、円安もしくは円高の影響を受けます。
円安と円高は混乱する人も多いですが、頭に「円の価値が」とつけると理解しやすいです。
たとえば、日本円と米ドルの為替レートが1ドル=100円だったとして、ある日、1ドル=120円に変動したとします。
そうすると1ドル両替するのに100円で済んだのが120円払わないといけなくなり、円の価値が安くなったので、円安と言います。
反対に、1ドル=80円に為替レートが変動したとすると、今まで100円払わないと両替できなかったのに80円で済むようになり、円の価値が高くなったので、円高と言います。
ここで1ドル=100円の為替レートで1ドル両替した後、円安によって1ドル=120円に変動したら、再度両替して日本円に戻すと20円の利益になります。
反対に円高によって1ドル=80円に変動すると、再度両替した際は20円の損失になってしまいます。このように、円安は為替による利益を生み、円高は為替による損失を生む要因となるのです。
その上で全世界株式や米国株式への投資は、為替の変動により損することもあります。
ある米国株式の株価が30ドルだとしたら、1ドル=100円の時の円建て評価額は3000円(30ドル×100円)となります。
その後、米国株式の株価が35ドルに上がっても、1ドル=80円と円高に傾いた際の円建て評価額は2800円(35ドル×80円)と、為替差損によって200円の損失を抱えてしまうのです。
データ⑥は日本円と米ドルの為替チャートを示していますが、足元の2022~2023年は一時1ドル=150円台と、歴史的な円安を記録したことでも話題になりました。
そうなると怖いのは、円安時に投資した後で円高に傾くと、それだけ為替の損失が発生することでしょう。
ただ新NISAで長期の投資を前提とするなら、為替リスクはそこまで心配しすぎなくてもいいと自分は考えています。
なぜなら先ほど全世界株式と米国株式の過去のグラフを確認しましたが、長い目で見て右肩上がりが続いていることが分かりましたね。
過去35年間で、全世界株式は約7倍、米国株式は約20倍にも上昇しています。
つまり、投資した時より円高になったことで、為替で多少損したとしても、長期運用による株価上昇の方が期待できるはずです。
なので、足元の為替相場はあまり気にしすぎず、思い立ったタイミングで新NISAを始め、あとはじっくり気長に運用していけばOKでしょう。
ちなみに為替による損失を防ぐために、為替ヘッジを利用する方法もあります。
為替ヘッジありの投資信託なら、将来の為替レートを先に取引するため、円高の損失が抑えられるメリットがあります。
ただし為替ヘッジを行うには手数料(ヘッジコスト)がかかり、また円安での利益も享受できないデメリットには注意しましょう。
長期の投資を前提とするなら、やはり為替リスクはそこまで心配しすぎず、為替ヘッジなしを選ぶのがいいでしょう。
・本書の記載内容は、2024年3月時点の情報に基づいています。
・本記事掲載後に法律や制度、各社サービスの内容が変更される可能性があります。予めご了承ください。
・資産運用には一定のリスクが伴います。売買によって生まれた利益・損失について、執筆者、出版社ならびに記事配信媒体社は一切責任を負いません。資産運用は必ず、ご自身の責任と判断のもとで行うようにお願いいたします。