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日本一の栗産地「茨城県笠間市」 人も豚も栗が人気

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きょうは秋の味覚、「栗」のお話です。コンビニなどでも栗をつかったスイーツがならぶ季節になりましたが、ここ数年じつは「栗ブーム」で、栗の人気が高まっているんです。そうした中で先日、栗の一大産地、「茨城県の笠間市」で、ある珍しい講座が開かれました。

機械じゃ無理!笠間の栗むき職人の育成講座

笠間市役所の農政課・栗ブランド戦略室の五島 安紗美さんに伺いました。

笠間市役所の農政課・栗ブランド戦略室 五島 安紗美さん

講座名は「笠間の栗・むき手マイスター養成講座」と言います。

栗を加工するときに笠間市内では、「人の手」で皮をむいて成形しているんですけれども、むき手さんが高齢化しているってところで、加工場や、剥き栗を使いたい方々に安定供給できないというところで、むき手を育成する講座を開こうということで3年前に始めました。

ついこの間10月10日にあったんですけども、やっぱ栗に包丁入れるのも意外と…。適当にむけばいいのであれば全然何でもいいですけど、ただお菓子を作ったりとか、むいた栗を使う方々は形にこだわっている人たちも多いので、どうしても機械じゃなくて「手で剥く」。

とにかく皆さんむいて、栗むきの技術を上達させるっていう時間になります。

<茨城県産の栗>

お馴染みの甘栗は柔らかいけど、「和栗」は大きくて固い。モンブランなど栗をすりつぶしたスイーツは形は関係ないけど、栗そのままの形で使うスイーツや煮物は、綺麗にむく必要があって、機械だと形が崩れてしまうんです。

でも、毎年秋には、綺麗に、かつ大量に栗をむく必要があるんですが、この「むき手」自体が人手不足で町は困っていました。

そこで、養成講座では専用の包丁を使って1時間半、ただひたすらに栗をむいていきます。まず外側の固い皮「鬼皮(おにかわ)」に包丁を入れて、続いて中身の「渋皮」に包丁を添わせて、はがしていきます。

<まずは、包丁で「鬼皮」をむいていきます>

<続いて、「渋皮」をむいていきます>

<10分かけてむけました。プロの「むき手」と比べてガタガタになってしまいました…>

規格外の栗を与えたら、豚が美味しくなった

講座には、今年はのべ60人が参加。一通りマスターしたら、地元のお菓子店や、加工場で、「むき手」として働く人もいて、栗ブームを支える人の即戦力が求められているんですが、でも実は、栗が人気なのは人間だけではありません。

なんと笠間市では、栗が「豚」にも大好評なようです。詳しいお話を、「鯉淵(こいぶち)学園・農業栄養専門学校」の担当、小田野 仁美さんに伺いました。

鯉淵学園農業栄養専門学校・栄養士 小田野 仁美さん

食べます、すごく食べますね。

栗はイガから取った状態の、丸々「鬼皮」がついた状態を粉砕機ですごく細かくして、それを乾燥をさせて与えています。

一般的な三元豚なんですけど、実際に私も食べて、油がすごく甘いなと思ったので、分析機関の方に評価していただいたところ、栗を与えた豚の方が「甘い」っていうふうに、きちんと評価が出ました。

笠間の栗っていうのが、非常に「規格外の栗」っていうのが出ているのが問題になっていまして、有効活用するのには、「豚に与えたらいい豚肉ができるんじゃないのか?」ていう、まずそういった話だったんですよ。

ちょっと傷んでいたり、虫食いがある「規格外」の栗が、笠間では、少なくとも年間60トン廃棄されていたそうです。これを捨てるのはもったいないということで、畜産課のあるこちらの学校で試しに、豚の餌に混ぜてみたら、なんと、豚肉が美味しくなりました。

<脂がほんのりと甘くて、ジューシーでした。「マロンポーク」は現在、横浜高島屋(秋の茨城県フェア)で数量限定販売されています(期間:10月16日(水)~10月22日(火))>

栗を与えたことで、通常の豚よりもうまみ成分のアミノ酸が多く含まれるんだとか。また、皮ごと粉々にするので、「むき手」が必要ないのもいいところです。

こちらは「マロンポーク」と命名されて、季節限定で販売されているんですが、生産数がまだ少ないこともあり、一般的な豚肉のおよそ2倍ぐらいのお値段がついています。

未経験から始まったチャレンジ

栗農家の人たちも処分に困っていた栗が活かされるのは嬉しいようですが、小田野さんはゼロから手さぐりで研究を進めていったと話していました。

鯉淵学園農業栄養専門学校・栄養士 小田野 仁美さん

私、栄養士なんですよ元々。豚も見たことなかったですし、触ったこともなかったんですけど、栗農家さんにまず電話しなきゃっていうところからスタートしてます。いきなり「栗ください」っていう電話をかけるんですけど、でもその電話をかけた時期っていうのが、もう栗がない2月かだったんですよ。

栗っていうのは、8月下旬~10月下旬ぐらいがだいたいピークで、その時期しかならないじゃないですか。なので、その時期以外でも豚の試験っていうのは行うので、まず栗が獲れる時期に、集められるだけ集めて、去年だと5トンぐらいは回収していたと思いますね。

やっぱりその茨城県っていうのが見渡す限り「栗畑」なんですよ。もう本当に栗だらけ。

ただ、今までそういった豚の餌にするっていう取り組みがなかったので、一つ有効活用するパターンが増えたのは良かったのかなと思いましたけど。

とにかく笠間は栗にこだわっている町。9月、10月が勝負で、回収した栗を粉砕して乾燥すれば、日持ちするので、この2か月でどれだけの栗を確保できるかが、その年のマロンポークの生産に大きく影響してきます。

無駄にならずに、美味しい豚肉として再生されるのは、一石二鳥。将来的には地域の養豚場と協力して、生産量を増やしていきたいということでした。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:田中ひとみ)

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