【「セイラ・マス(アルテイシア)」って誰!?】『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の視聴に役立つかもしれないガンダム用語|飴と鞭の使い分けが上手い『ガンダム』きっての才女。実は『ジークアクス』との関わりも
現在放送中の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(以下、ジークアクス)』。最初のガンダムシリーズである『機動戦士ガンダム(以下、ガンダム)』と密接な関係がある本作ですが、『ガンダム』が放送されたのは1979年……! そして、難しい用語や人物名が多出するため、『ジークアクス』からガンダムシリーズをご覧になる方は「これって何?」と思うかもしれません。
そんなあなたのためにスタートした連載「『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の視聴に役立つかもしれないガンダム用語」。ごくごく簡単に『ジークアクス』や『ガンダム』にまつわる用語を解説していきます。
今回は『ジークアクス』で一年戦争の歴史を変えた「シャア・アズナブル」の妹「セイラ・マス」について解説します。
セイラ・マスとは?
『機動戦士ガンダム』の登場人物であるセイラ・マス。サイド7に住んでいた民間人で、ジオン軍の襲撃が行われた際にホワイトベースに避難し、ブリッジクルーとしてオペレーターを務めた女性です。他にもフラウ・ボウやミライ・ヤシマなど、『ガンダム』はとにかく芯が強い女性キャラクターが多いのですが、セイラはその筆頭とも言える存在。
負傷者の救助に手を貸さず、自分だけ先に避難しようとしていたカイ・シデンをビンタし「それでも男ですか、軟弱者!」と罵るシーンはあまりにも有名です。『ガンダム』を見てなくても、このシーンは見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。
ただ、そういう厳しい部分がある一方で、気配り上手な一面もあり、危険な大気圏での戦いを前に、弱気になっているアムロに対して「あなたならできるわ」と激励の言葉をかけるシーンも有名。この時のアムロは「おだてないでください」と返しており、セイラの言葉が気休めであることも理解しているんですが、それでもセイラのような女性に褒められれば悪い気はしないものです。
ホワイトベースってほぼ単艦で行動している関係上、数の上では圧倒的に戦力差のある戦闘が多いのですが、そんな明らかな無茶振りとも言える作戦をアムロ達パイロット組へにこやかに告げるのがセイラの仕事。セイラ自身、普段から非常に聡明なキャラクターでクルーからの信頼も厚いので、セイラに言われたらどんな無茶な作戦もできるような気にさせてくれる雰囲気があります。
ホワイトベースの艦長を務めていたブライト・ノアは不器用で、上官としてこういう”飴”を与えるのが結構下手だったんですが、セイラはこのあたりの人心掌握術が抜群に上手いキャラクターでした。
『逆襲のシャア』でのシャアの行動を誰よりも先に感づいていたセイラ
そんなセイラですが、実はセイラ・マスというのは偽名。本名はアルテイシア・ソム・ダイクンで、シャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)の実の妹にあたるキャラクターでもあります。
元々、セイラは兄キャスバルがシャア・アズナブルとしてジオンに入隊していることは知りませんでしたが、第2話「ガンダム破壊命令」にて、サイド7に侵入したシャアと遭遇し、シャアが兄であることにかなり早い段階で気づいています。
その結果、シャアの動向を知るためにガンダムで無断で出撃し、ジオンの兵士と接触しようとするというセイラらしからぬ無茶な行動に走り、アムロたちを困惑させるという一面も。
そうした経験もあってか、物語の後半では支援戦闘機であるGファイター(劇場版ではコア・ブースター)に搭乗し、ホワイトベース隊の中で唯一の女性パイロットとしても活躍。時折、ニュータイプとしての素養の片鱗も見せていました。
兄であるキャスバル(シャア)とは、敵対する関係にありましたが、シャアは度々セイラのことを気にかけており(シャアにとってははジオンの勝利はどうでもよく、唯一の肉親であるセイラの方が圧倒的に大切なので当たり前ではありますが)、潜入任務でセイラを発見する度に自らコンタクトを取り、軍を辞めて地球で平和に暮らすように告げ、セイラが地球で暮らすための金塊まで贈っています。
ア・バオア・クーでの決戦でも、要塞内に生身での決闘を始めたアムロとシャアを止めようとしてセイラが爆発に巻き込まれた瞬間、シャアは真っ先にセイラを助けた上で、セイラにアムロたちと共に要塞から脱出するように促しています。なお、これが兄妹にとって最後の別れにもなりました(最後にシャアがかけたセリフは「いい女になるのだな。……アムロくんが呼んでいる」でした)。
一年戦争終結後は、セイラはシャアの忠告通りに軍を辞めて戦いからは退き、投資家として財を成し、地球で平和に暮らしています(おそらくはシャアが贈った金塊が元手になっていると思われます)。
戦いから無縁の生活を送っているためか、セイラは後の『ガンダム』シリーズの物語にはあまり関わっていません。
ただし『機動戦士ZZガンダム』では再登場しており、戦闘に巻き込まれて死亡したと思われていたジュドー・アーシタの妹であるリィナ・アーシタを保護し、ブライトの元に送り届ける役割を果たしています。
この時ブライトとセイラは、当時行方不明となっていたシャアについて言葉を交わしており、シャアが何らかの企みを進めようとしているという、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』へとつながる会話をしています。
ここでセイラはシャアのことを「いっそ死んでくれれば……」とまで言い放ち、ブライトを困惑させていますが、後のシャアがアクシズ落としによる地球の寒冷化を行おうとしたことを考えると、さすが兄妹と言わざるを得ません。
『ジークアクス』では、アムロに代わって連邦のエースになっていた?
なお、セイラは『ジークアクス』の世界にも存在が確定しているキャラクターでもあります。
TV版では省略されたシーンでしたが、劇場先行版である『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) -Beginning-』においては、一年戦争パートの終盤、シャアがソロモン内で交戦したパイロットがセイラだと示唆されるシーンがありました。
『ジークアクス』でのセイラは、アムロの乗ったガンダムに近いトリコロールカラーのモビルスーツである軽キャノンに乗り、ビグザムとドズル・ザビを討った連邦のエースパイロットになっており、本来アムロが果たしていた役割の一部セイラが担っていたのではないかと思われます。
本編中の時間軸となる、U.C.0085年での所在は不明(記事執筆時の4話時点)。
シャアと一緒に「ゼクノヴァ」に巻き込まれたのか、それとも本来の歴史と同じように、軍を退役して平和に過ごしているのか、TV放送版では未登場のままというのもあり、今後の登場があるのかが気になるキャラクターです。