【高知グルメProレビュー】高知でモンサンミッシェルのムール貝がいただける シェフのこだわりと技術が光るフレンチレストラン「Étonné エトネ」
高知の隠れ家レストラン「エトネ」で味わう、旬の恵みが織りなす至福の体験
高知市の中心エリアから車で10分、高知市南万々の住宅街に佇む隠れ家レストラン「Étonné エトネ」。
扉を開けると、温かみのある照明と落ち着いた内装が、喧騒を忘れさせてくれる。
2025年7月で4周年を迎えるこの店は、店主が厳選した旬の食材を丁寧に調理し、素材本来の味を最大限に引き出した料理を提供することで、地元の人々を中心に多くの美食家を魅了し続けている。
今回は、夏の恵みが詰まった「エトネ」のディナーをアラカルトで堪能し、その魅力に迫った。
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食事への期待を高める、繊細なとうもろこしスープ
コースの幕開けを飾るのは、丁寧に作られたとうもろこしスープ。
一口飲むと、とうもろこし本来の甘みと香りが口いっぱいに広がる。
舌触りは驚くほどなめらかで、丁寧に裏ごしされたであろうその繊細な仕上がりは、これから始まる美食体験への期待感を高めてくれる。
とうもろこしは、夏を代表する野菜の一つ。
甘みが強く、ビタミンやミネラル、食物繊維も豊富で、美容と健康にも良いと言われている。
特に高知は温暖な気候に恵まれ、糖度の高い美味しいとうもろこしが育つのだ。
「エトネ」では、素材の良さを最大限に活かす、シンプルな調理法だからこそ、その美味しさが際立つ。
夏の恵みを堪能する、彩り豊かな前菜
次に運ばれてきたのは「サラダゴボウとベーコンの温かいドレッシング」。
サラダゴボウにはえぐみは一切なく、ゴボウの香りと柔らかい繊維質がシャキシャキと心地よい。
酸味の効いたドレッシングは、野菜の甘みを引き立て、食欲を掻き立てる。
続いて運ばれてきたのは、夏の野菜をふんだんに使った前菜の盛り合わせ。
ナス、パプリカ、ズッキーニなど、彩り豊かな夏野菜が、それぞれの個性を主張しながらも、見事に調和している。
それぞれの野菜は、丁寧に火入れされており、柔らかく、素材本来の甘みが引き出されている。
次なる「パテ・アンクルート」は、しっとりとしたパイ生地に包まれ、胡椒が効いたパテとカボチャの種のカリリとした食感が楽しい。
脇に添えられたピクルスの酸味が、パテの濃厚さを一層引き立たせている。
シェフのこだわりと技術が光る一皿
「アンドゥイエット(豚の内臓のソーセージ)」は豚の胃や腸を粗く刻み、豚の腸に詰めたソーセージである。
これが、豚肩肉と一緒に挽いたものと叩いたもの、それぞれ異なる内臓の部位の食感や風味が実に丁寧に引き出せれており、一口ごとに新しい発見と「あぁ、美味しい」という声が漏れ出る。
なにより、この手の料理でありがちな強い塩味ではなく、素材本来の味を最大限に引き出す絶妙な塩加減で、どんどんお酒が進む。
きのこの香りが食欲をそそる、絶品リゾット
「エトネ」の料理の魅力は、旬の食材だけでなく、珍しい食材も積極的に取り入れている点にある。
この日提供された「フランス産きのこ3種のリゾット」は、ジロール茸、ピエブルー、プルロットといった、普段なかなかお目にかかれない食材を使った一皿。
ジロール茸は、こりこりとした食感とアプリコットのような甘酸っぱい香りが特徴だ。
ピエブルーは、フランス語で「青い足」という意味を持つ、ムラサキシメジの一種。その名の通り、軸が青紫色をしているのが特徴で、独特の風味と食感が楽しめる。
プルロットは、ヒラタケの一種で、肉厚でジューシーな食感が特徴。香りが良く、様々な料理に合わせやすい。
これら“曲者”のきのこ3種を見事に調和させ、これもまた「アンドゥイエット」同様に塩味に頼らず、火の通りがこれ以上でも以下でもないアルデンテな米が旨味を吸って、いくらでも食べられてしまう。
これらの珍しい食材を組み合わせることで、「エトネ」ならではの独創的な一皿が完成する。
食材それぞれの個性と、店主の確かな腕が光る、まさに芸術品とも言える一皿だ。
満腹を忘れさせるエトネの魔法
ここまでいただいて、おなかの具合はかなり満足していたのだが、最初にメニューを見た時から気になっているものがあった。
「モンサンミッシェルのムール貝 温製サラダ仕立て」である。
まさか、高知市のフレンチでモンサンミッシェルからムール貝を取り寄せているなんてことは無いだろう、モンサンミッシェル風みたいなことだろうと、失礼ながらオーナーシェフの浅石さんに尋ねてみた。
「このモンサンミッシェルのムール貝って、どういうことですか?まさか、モンサンミッシェルから取り寄せてるなんて…」
そこまで言うと、浅石さんはフフッと笑って、
「モンサンミッシェルから取り寄せてます」
と、ちょっと自慢気な顔で答えられたのだった。
まさかとは思ったが、高知市のフレンチで、モンサンミッシェルからムール貝を取り寄せている店があるとは。
そうなれば、おなかの具合などどこへやら、
「いただきます」
と即答したのだった。
そして、運ばれてきたモンサンミッシェルのムール貝。
小ぶりなムール貝には旨味が凝縮されていて、バケツ一杯でも食べられる勢いである。
そして、ムール貝の旨味に満たされた舌と鼻孔をくすぐるように、シェフ自家製のレモンの爽やかな香りが追いかけてくる。
高知産のレモンとモンサンミッシェル産のムール貝が、これほどまでに絡み合う一皿が出来上がるとは、恐れ入った。
そして、ムール貝の旨味が溶け込んだ絶品のスープはバゲットとの相性が抜群で、一滴残らず平らげてしまった。
デザートは、カカオと桃の芳醇な香り
デザートにも浅石シェフのこだわりが溢れていて、「クーロンショコラとヴァニラアイス」は、カカオ70%のヴァローナ社のチョコとマダガスカル産バニラビーンズを使っており、バニラビーンズの芳醇な香りが、カカオの風味をさらに引き立てている。
「桃のコンポート ヴァニラアイス添え」の桃は砂糖やシロップを使うことなく、ワインだけで煮たもので、桃の上品な甘さと香りがエトネのディナーの最後を飾るのにふさわしい大人の味わいを演出している。
週替わりで楽しめる、豊富なメニュー
「エトネ」では、週に一度、3品ほどメニューが変わるという。そのため、訪れるたびに新しい料理に出会えるのが魅力だ。
店主は、常に新しい食材や調理法を探求し、お客様に喜んでもらえるような料理を提供したいと考えていて、その探求心こそが「エトネ」の料理を進化させ続けている原動力なのだろう。
「エトネ」で味わった旬の恵みが織りなす料理は、まさに至福の体験だった。
店主の食材への愛情と、確かな腕によって生み出される料理は、どれも感動的な美味しさ。
「エトネ」は、日常を忘れ、ゆっくりと、しかし、驚きと感動に彩られた食事を楽しみたい人にぴったりのレストランだ。
大切な人との記念日や、特別な日のディナーに訪れてみてはいかがだろうか。
店舗情報
Étonné エトネ
住所:高知県高知市南万々10-1
電話番号:070-8558-8108
営業時間:ランチ 11:30〜13:30L.O./ディナー 18:00〜21:00L.O.
定休日:日曜、月曜
文・高知家の〇〇編集部