5名の刺し手が紡ぐ表現世界 ─ 東京都美術館で刺繍の展覧会
東京都美術館「上野アーティストプロジェクト2025 刺繍―針がすくいだす世界」会場
布地に針と糸を刺し、縫い重ねる手法によって生まれる多彩な造形と表現に焦点を当て、刺繍がもつ幅広い可能性を紹介する展覧会が、東京で開催されている。
展覧会では、大正末から現代まで活動した国内の刺繍表現の担い手5名に注目。
伝統的技法をもとに革新的な表現を追求した平野利太郎、西洋刺繍の知識を基盤に毛糸を用いて絵画的な刺繍作品を発表した尾上雅野、日常の中で目にした風景や事物を自由なステッチで構築する岡田美佳、自身の内面の時間や感覚を確かめるように日々針を運ぶ伏木庸平、ベンガル地方の布・カンタの精神性と技法に共鳴した望月真理が取り上げられる。
新作を含む100点以上の作品が出品。作家たちが針を動かし布の上にすくい上げた「かたち」を通じ、刺繍が生み出す没入、安らぎ、自己との対話といった精神的な側面も取り上げ、技法をこえた表現の広がりを考察する。
「上野アーティストプロジェクト2025 刺繍―針がすくいだす世界」は、東京都美術館 ギャラリーA・Cで、2025年11月18日(火)~2026年1月8日(木)に開催。観覧料は一般 800円など。
同時開催として、ギャラリーBでは「刺繍がうまれるとき―東京都コレクションにみる日本近現代の糸と針と布による造形」を展開。 近代女子教育における刺繍の教材、千人針、火消装束などの歴史的資料に加え、刺繍的技法を用いた現代作家などの作品を紹介する。
東京都美術館「上野アーティストプロジェクト2025 刺繍―針がすくいだす世界」会場
東京都美術館「上野アーティストプロジェクト2025 刺繍―針がすくいだす世界」会場
東京都美術館「上野アーティストプロジェクト2025 刺繍―針がすくいだす世界」会場
東京都美術館「上野アーティストプロジェクト2025 刺繍―針がすくいだす世界」会場