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ウクレレひとつで人生を切り拓く挑戦の真っただ中にいる。横須賀市南浦賀在住のカポンポン慈愛来（ジャイラ）（ＪＩＲＥＨ）さん。オリジナルアルバムを発表し、ライブで各地を巡り、ミュージシャン仲間のサポートなども務めながら経験値を積み重ねる日々だ。

14歳で鮮烈なステージを飾った。新人発掘を目的とした横須賀市主催の音楽オーディション。巧みな演奏と表現力で会場を大いに沸かせた。グランプリこそ逃したが、将来の大器を予感させる才能を見せつけ、これをきっかけに出演オファーが次々と舞い込むようになった。

すべて順調と思っていたが、想定外のつまずきに歯車が狂った。「ウクレレの本場に学ぼうとハワイ留学の準備を進めていた矢先、新型コロナで突然夢を打ち砕かれた」。費用をバイト代で捻出する計画はとん挫、演奏する機会もなくなり、「音楽一本に傾けていた情熱のやり場を失った」。

幼少期から家族の方針で学校に通わないホームスクールを選択し、有り余る時間のすべてをウクレレに費やしてきた。「自分にはこれしかない─」。そう思って挑んできたが、日常が戻らない不安な日々を過ごす中で、音楽を続ける価値と意義に否応なく向き合うこととなった。一時は、ウクレレに触ることすらできない精神状態にまで陥ったが、ライブ配信を独学で学ぶなどして、人前で演奏する喜びを取り戻した。

先の横須賀市の音楽オーディションに出演した翌年の成人式に呼ばれ、ステージから年長の新成人に祝いの演奏を披露した。驚きとどよめきが重なる会場の雰囲気に気圧されて「あまり記憶がない」と当時を振り返るが、人を振り向かせる「音楽の力」を体感する機会となったことは間違いない。時は流れ、二十歳の当事者として同じ場面に立つ機会を得た。「明るい未来を信じて歩いていこう」。そんな思いをメロディーに乗せて届けるつもりだ。