【福岡市・渡辺通り】レトロビルの地下1階最深部にある秘境カレー店
福岡市の一大プロジェクト"天神ビッグバン"により、今、福岡の都心部はもの凄い勢いで変貌を遂げています。そんな天神の中心から、渡辺通りを南へおよそ1キロ。天神の喧噪などどこ吹く風と、悠然とした佇まいを見せているのが複合ビル「サンセルコ」です。
開業は1979年(昭和54年)。最近では昭和レトロな雰囲気が味わえるスポットとして一部のマニアの間で評判になっており、地下1階の飲食街は周辺に勤めるビジネスマンのランチスポットとして連日賑わっています。その中でも、まるで秘境のような最深部にあるのが「ナマステ堂 カレーセンター」です。
迷路のような通路を辿ってなんとか店の前にたどり着くと、まず目に入るのは壁面いっぱいに掲示されたメニューボード。その数はなんと100種類近くもあり、一枚一枚に手描きのイラストとカレーの説明文が書かれています。「本日のカレー」は毎日この中から5種類がセレクトされるそうですが、その熱量に圧倒されつつ、期待感を持って入店しました。
さらに驚かされるのが、店内の壁に貼られたレトルトカレーのパッケージの数々。全国の名店やご当地カレーのコレクションは、さながらカレーミュージアムの様相を呈しています。カウンターの上には瓶詰の香辛料が並び、厨房からはカレーを煮込むスパイシーな香りが漂ってきます。
店主の深町一貴さんは、イタリアンやラーメンなど様々な飲食店で働きながらカレー作りを独学。壁のレトルトカレーも、カレーのレシピを研究するために実食したものだそうです。2015年からキッチンカーで移動販売を始め、2018年に「サンセルコ」飲食街で店舗をオープンしました。当初は10数種類ほどだったオリジナルカレーも徐々に数が増え、「気がついたら100種類近くになっていました」と苦笑します。ちなみにメニューボードのイラストはすべて深町さんの手描きで、「お客さんの中にはイラストの絵柄でカレーの種類を覚えている方もいらっしゃいます」とのことでした。
毎日提供するカレーは、レギュラーのカレー1種類と本日のカレーが5種類。まずは、定番の「チキンバターカレー」(小600円・中700円・大800円)から注文しました。キッチンカー時代から不動の一番人気だったというメニューで、トマトをじっくりと煮込んで旨味を凝縮し、生クリームやヨーグルトを加えてまろやかな仕上がりに。辛いのが得意ではない人にもオススメです。
本日のカレー(小600円・中700円・大800円)は毎日5種類のラインナップ。Aのみ曜日によって固定されており、他の4種類は「完全にその日の気分です」と深町さん。カレーのベースとなるブイヨンには煮干し、昆布、干し椎茸などの和出汁と豚骨、鶏ガラ、野菜を煮込んだトンコツスープを使い、じっくり炒めた玉ネギ、トマト、ヨーグルト、ココナッツミルクなどを加えて、具材によってスパイスの調合を変えています。この日は木曜日で、Aのカレーはピリッと辛めのスパイスカレーで煮込んだ「手作りハンバーグカレー」でした。
こちらは、「いい生クリームが入ったので作ってみました」というマイルドな味わいの「クリーミー欧風ポークカレー」。その日入った食材によって即興で作ることもあり、一期一会なカレーと出会えるかもしれません。
15時以降はスパイス料理をつまみに一杯呑める酒場としても利用でき、ドリンク2杯に小鉢2品が付いた「せんべろ」(1100円)、ドリンク1杯と小鉢1品の「ごへろ」(550円)のお得なセットメニューもあります。
まずは何度か通っていろんな種類のカレーを食べ比べ、自分好みの味を見つけてみてはいかがでしょうか。
ナマステ堂 カレーセンター
営業時間/11:00〜20:00(金曜・日祝日は〜17:00)