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K-POPオーディション番組「順位操作」被害者が夢を託して作った新人ガールズグループ「KISS OF LIFE」とは

Danmee

©Danmee

新人アイドルグループKISS OF LIFEが、音楽界で頭角を現わしている。

その躍進ぶりは、“中小芸能事務所の奇跡”と言われるほど。大手芸能事務所のような全面的サポートなしに人気を獲得中だ。

彼女たちを育てたのは、歌手のイ・ヘイン。K-POPオーディション番組で投票操作事件に巻き込まれた被害者だ。

表舞台から姿を消していた彼女が自身の夢をKISS OF LIFEに託し、プロデューサーという形で、今K-POP界を盛り上げている。

彼女は元々、アイドルになるのを夢見てサバイバルオーディション番組『PRODUCE 101』(Mnet/2016)と『アイドル学校』(Mnet/2017)に参加者として出演していた。実力が高く目立っていたため、覚えている人は多いのではないだろうか。

特に後者ではfromis_9のメンバー候補として有力視され、投票数が9位以内に入ればデビューが約束されていたのだが最終順位は11位。あと一歩のところでチャンスを逃すことに。

しかしこの時、実はイ・ヘインが1位だったという。大人の事情により、裏で投票数操作が行われていたのだ。

2019年に疑惑が浮上し捜査によって不正が明るみとなり、2021年6月にこの衝撃の事実が明かされた。担当スタッフには罰金や懲役が言い渡されたものの後の祭り。

イ・ヘインを応援するファンは多かったが、当時26歳(日本年齢)でアイドルデビューには遅いと言われる年齢に達しており、夢を断念せざるを得なかった。

複雑な心境であることが十分に推測できる状況であるが、それでも気丈に振る舞い、当時自身のインスタグラムを通して前向きなコメントを発表。心配し応援してくれる人や、『アイドル学校』出演時に投票してくれたファンに感謝の気持ちを伝えた。

(図)Danmee n.SSign カズタ「5月K-POP日本人男性メンバー人気No.1決定戦」の1位に!

これが気持ちを切り替えるきっかけとなったのだろうか、翌年2022年にはウェブドラマ『Tutorial』で役者デビューし、OSTにも名を連ねた。また、ミュージカルにも挑戦するなど、活躍の場を模索するかのようにジャンルを問わずチャレンジをしていく。

そしてこの頃、プロデューサー業をはじめるきっかけとなる出来事が。友人でアーティストADORAのアルバムに参加したのだ。

「もう少しうまくブランディングしたらよいのに・・」との思いからディレクター業に携わり、その実績が高く評価されてADORAの所属事務所からクリエイティブディレクターの道を提案されたのだとか。

こうして本格的にプロデューサーとして活動をスタートした彼女は29歳の時、自身の夢を託すかのように2023年にKISS OF LIFEをデビューさせ、彼女たちを瞬く間にスターの座へと押し上げた。

4人組多国籍ガールズグループで、メンバーの1人であるナッティは、イ・ヘインと『アイドル学校』で共演した人物。最終順位13位で脱落したがいまやグローバルスターに上り詰めている。音楽界ではもちろん各番組にも引っ張りだこだ。

またその他メンバーも高い実力を誇っており、大手芸能事務所の所属アーティストの口パクや、高音パートで音を外す事例などが議論となるなか、KISS OF LIFEは秀でた歌唱力で人気を思うままにしている。

事実、デビューミニアルバムからソロ曲が収録されるという異例の試みは大成功。新人とは思えないグループとして注目を浴びている。

もちろんダンススキルも抜群、高難易度の振り付けもお手の物だ。メンバー全員がボーカル、ダンスともに非常に優れており、安定感抜群なのが彼女たちの特徴であり最大の武器。今後更なる活躍が期待されている。

自身はアイドルになれなかったものの、クリエイティブディレクターとして間接的にその夢を叶えたイ・ヘイン。

彼女の生き様はまるで、諦めなければいつかなんらかの形で自分の願いを実現させることができると語っているようだ。

(ライター/西谷瀬里)

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