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75歳のバッグ作家が、99歳の母と向き合うことで学んだこと

毎日が発見ネット

75歳のバッグ作家が、99歳の母と向き合うことで学んだこと



「若く見えるより、元気に見えるほうが得だなって思う」と話すのは、umamibags(ウマミバッグ)クリエーターの江面 旨美さん。デザインし、縫製し、個展で販売する...という流れを75歳の現在までひとりで続けてきた彼女が、日々大切にしているのは「心が弾む」ことです。書籍『75歳、心が弾めば人生は楽しい』(KADOKAWA)には、彼女のさりげなくオシャレなファッションをはじめ、心の静穏をもたらすインテリア、自身の健康、家族、付き合いなど、ライフスタイルのすべてが詰まっています。そこにつづられた言葉から、年齢を重ねても心豊かに生きるヒントが得られるはずです。


※本記事は江面旨美著の書籍『75歳、心が弾めば人生は楽しい』から一部抜粋・編集しました。


介護のこと


母は今、99歳です。介護度は進みましたが、まだ歩けるし、身の回りのこともなんとか自分でできます。弟と一緒に住んでいますが、私が3~4日に一度訪ねるという暮らしです。

母は食いしん坊です。コロナ前は、自分で好きなものを作って食べていたので、私も「玉ねぎの皮をむいて冷蔵庫に入れといたわよ」なんて、ちょこちょこサポートしていました。でも、さすがに包丁は持てなくなりました。もっとも、食欲は衰え知らずで、先日も、鰻重をペロッと食べて「だから死ねないのよ」なんて軽口をたたき、しかも、体重は2キロも増えたらしい。びっくりです。


十数年前まで、私は独身だった伯母の介護をしていました。体が弱い母に代わって、私がその役目を引き受けたのです。近くのケアハウスに入っていましたが、仕事の合間にも、転倒とか骨折とか相談事でしょっちゅう呼び出され、一時期、腸の調子を狂わせてしまったことがありました。ここにきてまた、少しその兆候が出ているのは、やはり母のことをずっと気にしているからなのかもしれません。

母を訪ねると、決まって「過労に気をつけて」と心配し、出張に行くと言えば「飛行機、大丈夫かしら?」と不安がり、行き先が海の近くの時は、津波の心配までして顔を曇らせました。結局、私の体を心配するのは、介護が必要な自分のため? 帰り際には「迷惑をかけるわね、長生きも考えものね」なんて超ネガティブなことを口にするので、さしもの私もがっくりします。元気づけに来ているのに、なぜそんなことを、と思い、鬱々とした気分で帰路につきます。


でも、そういう時は思い出すようにしています、母の愛情を。過剰でうっとうしかったこともあったけれど、その愛は揺るぎないものであることを。そして、おっといけない、母は母で頑張っているのだ、と気分を修正するのです。本格的な介護は、これからです。ネガティブなことも含めて、母との時間を大切にしていきたいと思います。


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