櫻井焙茶研究所のカジュアルライン「SOUEN」が松陰神社前にオープン
2025年1月23日、松陰神社前に「櫻井焙茶研究所」が手がける新たな店舗「SOUEN(ソウエン)」がオープンした。
櫻井焙茶研究所は、南青山の「スパイラル(SPIRAL)」に入居する日本茶専門店。オーナーの櫻井真也が洗練された茶房で、一杯一杯丁寧に向き合いながら提供する茶の体験は、本格的かつ斬新な非日常である。
対してSOUENは、日常に寄り添うカジュアルな日本茶カフェだ。櫻井焙茶研究所の茶葉を使った季節のブレンド茶や抹茶、番茶を手軽に1杯から楽しめる。平日は22時まで営業しており、17時以降は、国酒と日本茶を掛け合わせたティーカクテルや茶割りを提供する。
青山店では、茶を「三煎」に分けて提供していたが、同店では1杯に集中。同店専用の急須を新たに作り、メニューも全てオリジナルレシピで仕立てるなど「おいしい1杯」への飽くなき探求は、常に日本茶の地平を開いてきた日本屈指のティーラボラトリーの誇りといえよう。
もちろん、茶への深い造詣と高い技術を持ったプロフェッショナルなスタッフが茶を淹れているのは言うまでもない。
「日本茶カフェ」の本格派であり、新解釈
「日本茶の枠にとらわれず、もっと自由に楽しんでほしい」と櫻井が語るように、独創的なアレンジが数多く見られるのも特徴だ。特にチャレンジングなメニューは「抹茶とオーツミルク」(935円、以下全て税込み)。これは櫻井焙茶研究所による抹茶ラテへの回答であり新解釈でもある。
煎茶とほうじ茶とユズの種をブレンドしたものを抹茶に仕立てることで、まろみの中に清涼感やほのかな香ばしさが香る。オーツミルクの味わいとぶつかることなく調和しつつも、クリーミーさは見事に引き立っている。飲みやすくも味わい深いオーガニックな一杯だ。濃度が混ざり合っている白と緑のグラデーションも美しい。
このほか、在来種という和紅茶にクローブ、カルダモン、アニス、シナモンをブレンドした「紅茶とスパイス」(891円)も面白い。インパクトはチャイのような味わいだが、紅茶はまろみがあり、柑橘のような清涼感があるため後味は爽やか。スパイスで茶葉をいぶす工程はカウンターで行われる。奥深いスパイスと紅茶の香りが広がるパフォーマンスも見事だ。
いずれも飲んだことのない味わいなので「おいしい発見」の楽しさと喜びを十二分に感じてほしい。
国酒×日本茶の可能性を広げるティーカクテル
国産にこだわったという夜のアルコールメニューも必見だ。季節のブレンド茶「紅茶と苺とホップ」と純米吟醸仁井田本家「おだやか」を組み合わせた一杯(1,540円)は、「おだやか」のジューシーな味わいとイチゴの酸味、紅茶ソーダのほのかな焙煎(ばいせん)香が絡む。果実感を感じるポップな飲み口なのも親しみが持てる。
五感で感じたいなら、芋焼酎「心水」とブレンド茶「白折と柚子と生姜と黒文字」を燗(かん)で注文してみよう。芳しい煎茶の香りとサツマイモの甘みが押し寄せてくる。ワイングラスから湯気が立つビジュアルも含めて、茶と焼酎の特徴を見事に引き出している。
フードは、自家製の「粒餡と湯葉のミルフィーユ」、「ブレンド茶のパンナコッタ」といった斬新な創作和菓子をはじめ、「焼き胡麻団子」や季節を感じるきんとんなどが並ぶ。もちろんフードも発見のあるおいしさなので、楽しみにしてほしい。
席数は30席程度と広く、中心には大きなオープンカウンターが広がる。明るくモダンながら、ハイチェアともスツールともとれそうな席を多く配置し、電源コンセントを用意するなど、訪れやすさへの配慮がそこかしこにある。テイクアウトもできるので、日常使いで重宝しそうだ。
「街に溶け込むお茶屋さんとして、茶に触れる入り口になってくれたら」と櫻井。今後は、生産者なども招待したイベントなども行う予定だと言う。肩肘貼らずに訪れて、茶という枠を超えたジャパニーズドリンクのおいしさと可能性を味わってみてほしい。