データベースをハッキングし、自身の死を捏造した男 「養育費の支払いを逃れたかった」(米)
米連邦検事局は今月20日、データを改ざんして自身の死を捏造した39歳の男に、81か月の有罪判決を下したことを報告した。男は医師のパスワードなどを盗み、州のシステムに不正アクセスしたことに加え、複数のネットワークのアクセス権を非合法の情報が集まる“ダークウェブ”で販売しようとしていた。男は養育費の支払いから逃れることが目的だったと供述していると、米ニュースメディア『USA TODAY』などが伝えた。
【写真】養育費の未払い分の支払いを免れようと、自身の死を捏造した男
データ改ざん容疑で有罪判決を受けたのは、米ケンタッキー州サマセットに住むジェシー・キップフ(Jesse Kipf、39)だ。ジェシーは昨年1月、他州に住む医師のユーザー名とパスワードを用い、ハワイ州の死亡登録システムに不正にアクセスした。
ジェシーはこの医師の電子署名を使って自身の死亡証明書を捏造した後、複数の行政のデータベースにも不正アクセスし、自身が死亡した人間であるとデータを改ざんして登録した。
その他、ジェシーは複数の人物から盗んだパスワードなどを使い、他州の死亡登録システムや民間企業のネットワークにも侵入し、ダークウェブ上でこれらのネットワークへのアクセス権を販売しようとしていた。
警察によると、ジェシーは元妻へ養育費を支払う約束になっていたが、その未払いの支払いから逃れるため、犯行に及んだと供述したという。
ケンタッキー州東部地区連邦検事局のカールトン・S・シアー4世検事(Carlton S. Shier IV)は、「今回のケースは、コンピューターを使用する犯罪者がいかに有害であるか、そしてコンピューターとオンラインのセキュリティが我々全員にとっていかに重要であるかを思い知らせるものです。法執行機関らの優秀な働きにより、この件は他のサイバー犯罪者への警告となり、ジェシーは自分がした行いの責任を取ることになるでしょう」とコメントを残した。
ジェシーの犯行により、政府や企業のシステムへの損害と養育費の未払いを合わせると、被害総額は19万5758.65ドル(約2830万円)にのぼると報道されている。
裁判は今月19日に行われたが、ロバート・ウィア裁判官(Robert Wier)は、ジェシーに81か月の有罪判決を下した。連邦法に基づき、ジェシーは刑の85%を服役しなければならず、釈放後は3年間、米国保護観察所の監視下に置かれることになる。
ジェシーは犯罪行為に手を染めており、罪を犯したことは褒められたものではないものの、政府のデータベースなどに侵入できたそのスキルの高さに、「FBIはこの人を雇うべきじゃない?」「こういう人を雇って働かせて、給与から養育費を払わせたら、お互いにとってメリットになると思う」「これだけのことができるなら、ちゃんと働けばしっかり稼げると思うよ」などの声が寄せられた。
ちなみに2020年7月には、刑務所行きを逃れるために死亡届を捏造した男がいたが、スペルミスが発覚しバレてしまうというお粗末な結末を迎えていた。
画像は『Metro 「Dad fakes death by hacking into database to avoid paying child support」(Picture: Grayson County Detention Center)(Picture: Justice Department)』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)