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【パリ五輪の取材裏話】“花の都”の熱気はどうだった?美味しかった食べ物は⁉︎現地で追いかけ続けた静岡新聞・山本記者の奮闘記

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静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「パリ五輪の取材裏話」。先生役は静岡新聞編集局運動部の山本一真です。聞き手は堀葵衣アナウンサーです(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年8月22日放送)

(山本)パリオリンピックに日本選手団は400人以上が出場し、海外開催では最多となる45個のメダルラッシュに沸きました。静岡県勢も36人が出場して、柔道、卓球、セーリングで銀と銅を合わせ四つのメダルをつかみました。

(堀)山本さんは実際にパリに取材に行かれたんですよね。いつからいつまでの期間行ってらっしゃったんですか?

(山本)開会式は7月26日でしたが、サッカーが先行開催するので7月22日に現地に入り、閉会式まで。22泊しました。

(堀)パリ出張について、どういう印象でしたか。

(山本)僕はスポーツ取材がしたくて静岡新聞社に入ったので、その中でオリンピックをメーン担当で任せていただけるのは本当にうれしかったです。読者の方に静岡県選手の感動を伝えたいなと思いました。

(堀)どんな競技を取材しましたか。

(山本)男子サッカーには関根大輝選手(静岡学園高出)、鈴木海音選手(浜松市出身)が出場しました。柔道では、男子73キロ級の橋本壮市選手(浜松市出身)が個人で銅メダルを獲得しました。あとは卓球の平野美宇選手が沼津市出身でしたので、平野選手の団体銀メダルも見届けることができました。

(堀)会場の盛り上がりはどうでしたか。

(山本)東京オリンピックが無観客だったので、反動というわけではないですが、盛り上がりはすごい感じましたね。特に日本がフランスと対戦する時などは、日本に対してのブーイングなのかわからないですが、現地の方々の応援の声はすごく響きました。

(堀)柔道のフランス対日本の団体戦もご覧になっていたのですね。

(山本)一番盛り上がったんじゃないかなと思います。フランスは日本と双璧をなすぐらい柔道が盛んで、皆さん、柔道が大好きな国ですね。

(堀)競技の会場はもちろんですけど、街全体としても盛り上がりは感じましたか。

(山本)街全体からオリンピックムードを感じました。フランス人だけではなく、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界各地から観戦に訪れている方々がいらっしゃるんだなと実感しました。

(堀)やっぱり東京で開催する時よりもフランスの方が欧米各国は行きやすかったりするんですかね。

(山本)そうだと思います。フランスは鉄道でイギリスも繋がっているし、EU圏は本当に移動が自由になっているので、いろんな国から来てるんだろうなと実感しましたね。

選手にインタビューできるのはわずか数分

(堀)いつ頃から取材の準備を始めたんですか。

(山本)僕が2度目に運動部勤務になったのが、東京オリンピックが終わった直後だったんです。その時からおよそ3年経っていますが、何となくその当時から意識はしながら日々の取材をしてましたね。

(堀)もしかしたら来るかもなという。

(山本)そうですね。そんな感じで、“におわせ”じゃないですけど上司から聞いていたので、頑張ろうと思っていろんな選手を追っていました。

(堀)具体的にはどういう準備をして、取材に臨むものなんですか。

(山本)実際にオリンピック会場で選手を取材できる時間は本当にごくわずかです。5分とか10分しかありません。当然それだけではいろんな情報を伝えられないので、全ての選手に関して、事前に取材をしておくということを数年かけて、ちょっとずつちょっとずつやってきました。

試合に行ったり、公開練習に行ったり。そういうのを繰り返して少しずつ情報を蓄積していって、それを本番で出し切るというような心構えでやっていました。

(堀)選手もそうですけど、取材陣としてもオリンピックという一大イベントになると、簡単な準備じゃできないですね。

(山本)準備が全てというのはいろんな方から言われていたので、それを肝に銘じて、常にいろんなアンテナを張り巡らせていました。静岡に来る機会はないかとか、このときだったら取材できないかっていうのを所属先や選手に伝えて、ちょっと時間をとってもらったりしましたね。

(堀)オリンピック会場で見る選手たちの姿は何か違うところがありましたか。

(山本)本当にみんなオーラがあるなっていうのは感じました。この瞬間に賭けてきているので、そこはやはり一流のアスリートの「そのときにしか出せない力」というか、そういった雰囲気は取材してる側からしてもすごく感じましたね。

柔道の橋本選手、卓球の平野選手はどうだった?

(堀)柔道の橋本選手を取材した時はどんなことを感じましたか。

(山本)橋本選手は金メダルを目指していたんですけど、個人戦は準々決勝で敗れて敗者復活戦に回って銅メダルでした。全てをかけ、「悔いを残さない柔道人生の集大成にする」と話していたので、その思いが銅メダルの後のすごく爽やかな笑顔に表れていたなと思いましたね。

(堀)みんなやっぱり、やりきった感じになるんですね。

(山本)悔しさはあったと思いますが、それ以上に、橋本選手の言葉からは20年以上の柔道人生の全てを出し切ったというような、何か達成感のようなものを感じましたね。

(堀)他に選手たちの印象的な行動やエピソードってありますか?

(山本)卓球の平野選手は、実は代表が決まった当時、他の代表が早田ひな選手と16歳の張本美和選手ということで「自分はそんなに前に出なくても、他の2人がしっかりしているので」っていうような話をされてたんですね。

でも始まってみて団体戦になると、早田選手はちょっと手首を怪我をしていて、張本選手は16歳で初めてのオリンピックということですごくプレッシャーを感じていたようでした。

その中では平野選手は2回目の出場で、「ここはもう自分がチームを引っ張らなきゃいけない」ということで、団体戦は本当にフル回転でしたね。そういう言葉が出てきた時に、僕らは取材する側ですが、すごく選手の成長を感じるような思いがしました。

「どんな言葉を引き出せるか」

(堀)私もスポーツキャスターを今やっています。選手たちにインタビューする時に気をつけてることってありますか。

(山本)これはちょっと県内での取材とはまた違うかもしれないんですが、やっぱり注目度が高くてメディアもたくさん取り囲むので、質問は聞けて一問くらいなんです。

(堀)結構な準備を重ねて、一問に集中して聞かないといけないんですね。

(山本)そうなんです。他のメディアの方も聞いてくれますが、自分の意図する質問を投げ掛けられる機会は本当に1回ないし2回ぐらい。そこでどんな言葉を引き出せるかっていうことに関してはすごく意識して取材はしてました。

何を食べても美味しいパリ

(堀)22泊っていうお話でしたけど、自由時間とか休養日はありましたか?

(山本)記者2人で行ったので取材がない日もたまにはありました。ちょっとパリを見て回ったりしましたね。

(堀)パリの街並みってやっぱり綺麗なんですか。

(山本)昔ながらの、石造りの街並みが連なってるので、ヨーロッパの雰囲気をすごく感じましたね。

(堀)どんなものを食べたんですか。

(山本)たまにレストランに入ることがあって、鴨肉のコンフィなどパリらしい料理も食べましたね。

(堀)ちなみに一番美味しかったものって何ですか?

(山本)一番美味しかったもの…これはちょっと難しいんですけど、日本選手団を取りまとめるJOCが設けたチームジャパンハウスというメダリストが会見している会場があるんですが、そこに味の素がブースを設けていたんですね。

そのブースで出していたアスリート向けのパワーボールという食べ物があったんです。ピンポン玉ぐらいのおにぎりで、ちょっと味がついているものでした。現地でしっかりしたお米を食べたのはその一回だけだったんですよ。そのお米はすごく美味しかったです。

(堀)結局、お米。

(山本)そうなんです(笑)。でも本当に、パリはどこで食べても全てが美味しいなって思えましたね。日本人でもしっかり美味しいなと思える味でした。

(堀)それを聞くと、オリンピックが終わっても旅行に行ってみたいなって思います。

(山本)移動の時間が気にならなければ、もう1回行きたいなと思いますね。

(堀)本当に山本さんにとっては充実した20日間だったんじゃないかなと思います。今日の勉強はこれでおしまい!

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