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【大江戸散歩コース】飯田橋・市ケ谷・四ツ谷~武家屋敷が集積する街。江戸切絵図はここから生まれた~

さんたつ

外濠公園

大河ドラマの影響か、今にわかに注目を浴びている江戸時代。その江戸期の古地図(切絵図)を見ながらの東京散歩がとても面白いことをご存じだろうか? 今回は、安政5年(1858)の「東都番町大絵図」を手に歩く飯田橋・市ケ谷・四ツ谷周辺の散歩コースを紹介。タイムスリップを楽しむ特別な散歩体験を!

四谷見附橋(よつやみつけばし)

【飯田橋・市ケ谷・四ツ谷周辺の切絵図】

東都番町大絵図

切絵図の名称の“番町”とは、徳川将軍家を直接警護する大番組の旗本を住まわせたことに由来する。そのため周辺には、錦絵にあるような大名や旗本向きの呉服店もあった。屋敷には表札がないため探すのもひと苦労で、こうした通行人に喜ばれたのが近江屋版切絵図。この3年後に本書で使用している金鱗堂版が刷られた。

切絵図が発行された江戸時代中期は、財政難を理由に上水道が廃止され、市中で井戸が盛んに掘られたという。この一帯は、関東ローム層の赤土に厚く覆われた土地で、かなり深く掘らないと水が得られなかったそうだ。ゆえに『番町皿屋敷』の菊が幽霊として現れるのも、この地形と深い井戸がなくては誕生しなかった話といえる。

※掲載の古地図は、江戸の町を32区画に分割して作った切絵図を使用。すべて、麹町にあった金鱗堂が出版したもので、屋号である尾張屋清七から「尾張屋板(版)」と呼ばれる。鮮やかな多色刷りが特徴。
※切絵図内の白色の部分は【大名屋敷などの武家地・御用地】、赤色は【神社仏閣】、灰色は【町屋】、黄色は【道】、青色は【海・川・池】、緑色は【山林・土手・馬場・田畑など】を示している。

菊川英山『英山呉服店の図』。

【散歩コース】

スタート:飯田橋駅はJR中央線で新宿駅から11分・170円、JR総武線・中央線で秋葉原駅から6分・150円。

JR中央線・地下鉄飯田橋駅→(すぐ)→牛込見附跡→(7分/0.4㎞)→外濠公園→(16分/1.0㎞)→定火消発祥の地→(7分/0.4㎞)→帯坂→(15分/1.0㎞)→靖國神社→(5分/0.3㎞)→塙保己一和学講談所跡→(2分/0.1㎞)→御厩谷坂→(8分/0.6㎞)→永井坂→(23分/1.5㎞)→四谷見附跡→(すぐ)→四谷見附橋→(すぐ)→JR中央線・地下鉄四ツ谷駅

ゴール:四ッ谷駅からJR中央線で新宿駅まで4分・170円、地下鉄南北線で目黒駅まで16分・210円。

今回のコース◆約5.5km/約1時間20分/約7300歩

江戸時代の石積みが残る「牛込見附跡」

上州街道に通じる江戸城北の丸近くに位置し、城や宿場町の出入り口を見張る見附が置かれた。牛込見附は寛永13年(1636)に築かれたもので、明治時代に門は撤去されたが、石垣の一部が残っている。

「牛込見附跡」詳細

牛込見附跡(うしごめみつけあと)
住所:東京都千代田区富士見2-9/営業時間:見学自由/アクセス:JR・地下鉄飯田橋駅から徒歩4分

春は桜、夏は深緑の並木が約2㎞続く「外濠公園」

徳川3代将軍家光の時に造られた江戸城外郭の堀跡。牛込濠、新見附濠、市ケ谷濠の土手や濠を利用している。太平洋戦争後は埋め立てられて公園となった。

「外濠公園」詳細

外濠公園(そとぼりこうえん)
住所:東京都千代田区富士見2丁目〜紀尾井町/営業時間:園内自由/アクセス:JR・地下鉄四ツ谷駅から徒歩5分、またはJR・地下鉄市ケ谷駅、JR・地下鉄飯田橋駅すぐ

江戸の町を大火から守る「定火消発祥の地」

明暦の大火以後、徳川4代将軍家綱の命により造られた消防組織「定火消」が置かれた場所。火の見櫓が建てられ、定火消役の旗本や火消人足などが火事に備えて出動できるように待機していたという。

「定火消発祥の地」詳細

定火消発祥の地(じょうびけしはっしょうのち)
住所:東京都新宿区市谷田町1丁目/営業時間:見学自由/アクセス:JR・地下鉄市ケ谷駅から徒歩1分

怪談噺(ばなし)が伝わる「帯坂」

『番町皿屋敷』のお菊が、髪をふり乱し、帯をひきずりながらここを通ったという伝説が残る。また、寛永年間(1624~1644)に、市ケ谷御門へ抜ける切通しとして造られたため、「切通し坂」と呼ばれることもある。

「帯坂」詳細

帯坂(おびざか)
住所:東京都千代田区九段南4丁目~五番町/アクセス:JR・地下鉄市ケ谷駅から徒歩2分

幕末の志士から先の大戦までの戦歿(せんぼつ)者を慰霊「靖國神社」

明治34年(1901)に造営された拝殿。

明治2年(1869)、旧幕府歩兵屯所跡に明治天皇の思し召しにより創建された招魂社を始まりとする。境内には、戊辰戦争の上野の戦いで総司令官を務めた大村益次郎の銅像が立つ。

大村益次郎銅像は明治26年(1893)に建てられた西洋形式の記念銅像。

「靖國神社」詳細

靖國神社(やすくにじんじゃ)
住所:東京都千代田区九段北3-1-1/営業時間:6:00~18:00(季節により変更あり)/定休日:無/アクセス:地下鉄九段下駅から徒歩5分

国学・国史をまとめた学術資料を編纂「塙保己一和学講談所跡」

江戸時代の盲目の国学者・塙保己一が、寛政5年(1793)に創立した、国語や国文学、歴史学、神学などを研究する国学(和学)の教育機関。江戸幕府崩壊後に廃止され、ゆかりの地には偉業を記した説明板が残る。

「塙保己一和学講談所跡」詳細

塙保己一和学講談所跡(はなわほきいちわがくこうだんしょあと)
住所:東京都千代田区三番町24-14/営業時間:見学自由/アクセス:JR・地下鉄市ケ谷駅から徒歩9分

将軍家の馬に関する施設があった「御厩谷坂」

切絵図の騎射調練馬場御用地から馬場近くまで南北に延びる坂のこと。徳川将軍家の廐舎があったことからこの名が付けられた。その後、旗本や大名屋敷となり、明治以降は華族や実業家などの邸宅が建設された。

「御厩谷坂」詳細

御厩谷坂(おんまやたにざか)
住所:東京都千代田区三番町/アクセス:JR・地下鉄市ケ谷駅から徒歩9分

2人の旗本の名にちなんだ「永井坂」

坂の名は、五百五十俵取りの旗本・永井勘九郎と、五百石取りの旗本・永井久右衛門の武家屋敷があったことに由来する。切絵図には坂の名前は記載されていないが、坂道を挟んで向き合うようにそれぞれの旗本の名が書かれている。

「永井坂」詳細

永井坂(ながいざか)
住所:東京都千代田区麹町1・2丁目/アクセス:地下鉄半蔵門線半蔵門駅から徒歩1分

江戸城の西の玄関になっていた要所「四谷見附跡」

甲州街道の起点にあり、徳川将軍家が有事の際に甲州へ逃れるための脱出路にもなっていた。石垣の上に生い茂るムクノキは江戸時代のものといわれる。周辺には名門校が立ち、通勤や通学の人々でにぎわっている。

「四谷見附跡」詳細

四谷見附跡(よつやみつけあと)
住所:東京都千代田区麹町6丁目/アクセス:JR・地下鉄四ツ谷駅から徒歩1分

迎賓館の景観に調和した「四谷見附橋」

寛永年間(1624~1644)に架けられた、江戸城外郭門の一つ・四谷門があった場所。現在の橋は、大正2年(1913)に竣工。近くにある迎賓館赤坂離宮(当時は東宮御所)にならったネオ・バロック様式の装飾が印象的。

「四谷見附橋」詳細

四谷見附橋(よつやみつけばし)
住所:東京都千代田区六番町14番地先/アクセス:JR・地下鉄四ツ谷駅から徒歩1分

取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『古地図であるく 大江戸散歩地図』より

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