「和の心!」「世界に誇るべき」 盃に隠された〝粋な演出〟にネット感動 お酒を注ぐと、桜の花が満開に
待ちかねていた満開の桜も、あっという間に散ってしまった(まだこれからだよ、という地域もあるだろうが)。潔く散ってしまうからこそ、桜は美しいと言えるのかもしれない。
「でも、もう少しゆっくり眺めながら、一杯やりたかったなあ」......という人にピッタリの、こんな盃が話題になっている。
春の訪れを告げる冷酒の平盃!これぞ令和の花見酒冷感桜と名付けてます❗️https://t.co/T3al9eOHkCIn Japan, when viewing cherry blossoms, we like to use the magic cup that makes the cherry blossoms appear when I pour cold sake pic.twitter.com/JkrT1VobJh
— 丸モ高木陶器 (@marumo1887) March 20, 2021
枝のような模様がついた盃に、酒を注ぐ。すると途端に鮮やかな桜の花が満開に。なんて美しい仕掛けだろう!
X上ではこんな声が寄せられている。
「素敵すぎ」 「和の心!!風流や!!」 「素晴らしい! 雅な演出です。まさに世界に誇るべき我が国の伝統と技術ですね」 「酒が飲めない体質を残念に感じることはあまりないんだけど、こういう時だけは別だな」
こちらは、岐阜県多治見市にある「丸モ高木陶器店」が販売する、「冷感桜シリーズ」の盃。このシリーズの盃やグラスに17度以下の飲み物を注ぐと、鮮やかに花を咲かせるという。
同社公式Xの2023年4月4日の投稿では、このシリーズについて次のように説明している。
「この器があればいつでも満開の桜を楽しむことができますよ」
なんとも粋な演出ではないか。Jタウンネット記者は丸モ高木陶器店に電話で話を聞いてみることにした。
「病床の父親が喜んでくれました」
常温だと、幹と枝だけが見える。冷たい酒を注ぐと、満開の花が咲き乱れる。なんとドラマチックな仕掛けだろう。このアイデアは、いつどんなきっかけで生まれたのか?
Jタウンネット記者の取材に応じたのは、丸モ高木陶器の高木正治社長だった。
「陶器やグラスに用いる絵の具の顔料の中に、一定の温度によって発色する性質を持つものがいろいろあることは、既に知られていたことです。その性質を応用して、楽しい商品化ができないだろうかと考え、いろいろデザインも工夫し、試作品も作りました」(高木正治社長)
丸モ高木陶器が本拠を置く多治見市は、土岐市・瑞浪市・可児市などと共に、古来より美濃焼の産地として名高い土地である。
丸モ高木陶器も業務用食器の開発・製造・販売を主な業務としてきた。ホテル、レストランなど、プロを相手にビジネスをする「B to B」が本業だった。
丸モ高木陶器が、温度で変化する陶磁器やグラスという、いわば「B to C」的な要素を持つ「温感・冷感シリーズ」製品の販売に踏み切ったのは、やはりコロナの影響が大きかったようだ。
「温度で変化する器を、温感・冷感シリーズとして発売を開始したのは、2020年でした」(高木正治社長)
お花見もできない、パーテイや宴会も自粛という時期だったからこそ、家庭で楽しめる仕掛けが喜ばれたのかもしれない。
そしてシリーズには桜だけでなく、「花火」「紅葉」「雪結晶」なども加わり、四季を楽しめるようにもなった。「桜」には2025年にも新しいデザインが追加され、様々な「開花」を楽しめるようになっている。
高木社長はこの「冷感シリーズ」によって、B to Bのビジネスでは経験できない手応えも、感じることができたという。
それは例えば、「病気で床にふせっていた父親が喜んでくれました」という購入者からの声。
外国から訪れた人へのプレゼントとして渡したら、後日伝わってきた感謝の言葉。 やがて、とある大使館から「乾杯するときに使いたい」と注文も入った。冷たいシャンパンを注ぐと、満開の桜の花が咲く......。なんと素晴らしい瞬間だろう。
結婚式や誕生日などプライベートなお祝いの場でも、大いに楽しませてくれそうだ。
「冷感」だけでなく、温かい飲み物を入れると桜が咲くマグカップなどもある。
丸モ高木陶器の公式オンラインショップ等で購入可能だ。
丸モ高木陶器
公式X:https://x.com/marumo1887 公式インスタグラム:https://www.instagram.com/marumo_1887/ 公式サイト:https://www.marumo1887.com/